《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》ただの子供じゃなさそうだ……

「な、なななな何でキャスパリーグがここにッ!?」

「何かの間違いじゃないのか!? キャスパリーグはとんでもなくレアな魔だぞ!? こんなそこらの野良貓みたいに姿を現すものじゃない!!」

「でも、いま俺たちの目の前にいるじゃないか……!! あの、耳と尾の形、なによりサイズからしてキャスパリーグ以外ありえない……!!」

腰を抜かしてしまった研究員たちが、あんぐりと口を開けたまま驚きの聲を上げる。

「となるとやっぱりこれは実のキャスパリーグ……!? す、すごい……思ったより巨大だわ……!!」

「いやそんなことより早く逃げないとッッ!!」

「逃げなくて大丈夫なので、皆さんひとまず落ち著いてください」

腰を抜かしたまま這いつくばって逃げようとする研究員たちに聲をかける。

「キャスパリーグはあなたたちに襲い掛かったりしません。大人しいいい子なんですよ」

僕がキャスパリーグの顎の下をくすぐると、キャスパリーグはゴロゴロと聲をこぼした。

「そ、そんな……。あのキャスパリーグを手懐けている……!?」

「まさか君はそのキャスパリーグと従屬契約をかわしているのか……?」

「いえ、そういった契約はしていません。ただ単にり行き上一緒に行しているだけというか……」

「な、なんだってぇ!?」

「契約もしていないのに、そんなに懐かれているのか!?」

「キャスパリーグといえば狂暴で有名なのよ!?」

「そんな魔が人と一緒に行しているなんてありえないよ……!!」

『人気者は騒がれちゃって困るにゃ』

大騒ぎする研究員たちをまんざらでもなさそうに眺めているキャスパリーグを見て、僕はあれっと思った。

これまで姿形が有名であるフェンが騒がれることはあっても、キャスパリーグのほうは巨大な貓と勘違いされてばかりだったから、彼らの反応が意外だったのだ。

「みなさん、キャスパリーグに詳しいんですね」

「そりゃあそうだよ。俺たちは魔に関する研究を行っているんだから」

「ちょっと、部外者の子供にそんなことベラベラ喋っちゃっていいの!?」

の一言によって、取りしていた研究員たちは我に返ったらしく、一斉に黙ってしまった。

「……いや、でも……キャスパリーグが懐いている相手だぞ……? この年を部外者の子供扱いするのはどうなんだ……?」

「……たしかに。年が若くても、特別な魔使いであることは確かだよな……」

研究員たちが額を突き合わせて、ひそひそと會議をはじめた。

流れがし変わったのはじられたので、とりあえず僕とキャスパリーグは彼らの意見がまとまるのを待った。

「キャスパリーグを連れているのなら、レイラとジェイラスの捜索に向かってもらえるぞ」

「この子がちゃんとした冒険者だと分かった今、捜索を止める理由はないよな……」

「そうよ。あの侯爵に任せておいたら、そもそも捜索だってしてくれなさそうなんだから」

研究員たちが僕らのほうをチラッと振り返る。

僕が想笑いを返すと、再び三人はお互いの顔を見てから頷き合った。

「……君の実力を知らずに失禮な態度をとってしまって申し訳なかった」

「ええ、子供扱いしたりしてごめんなさい」

「いえ、いきなり信用してくれと言う方が無理がありますから。改めて、僕に話を聞かせてもらえますか?」

「もちろんだ。できる限り協力するので、レイラとジェイラスを捜してほしい」

よかった。

これでようやくスタートラインに立てたわけだ。

「実をいうと、もしかしたら失蹤したのは僕の友人のお姉さんかもしれなくて……。だから、まずはそのことについて質問させてください」

「え、レイラの妹と友人なのか!?」

「僕の友人の名前はアリシアといいます。レイラさんの妹の名前を皆さんご存じですか?」

「……正確には覚えていないが、アリシアという名前に聞き覚えがある気がする」

「待ってくれ、レイラの使っていたデスクにたしか……」

研究員の一人がそう言うと、部屋の奧に並んでいるデスクの一つに向かった。

「そうだ、この寫真だ。これを見て確認してくれ。レイラが妹と撮ったものだ」

研究員から寫真を渡される。

「……」

寫真を見た瞬間、「ああ……」という聲がれてしまった。

殘念ながら危懼していたことが真実になった。

レイラさんと頬を寄せ合ってうれしそうに微笑んでいたのは、間違いなくアリシアだった。

「君の友人で間違いないか?」

「はい……」

「そうか……。殘念だ……」

「……僕が何としても失蹤した二人を見つけ出します」

「ありがとう……! 私たちの知っている事ならなんでも話すわ。どうかお願い、レイラ達を見つけ出してあげて……!」

研究員の一人のが手をとり、涙ながらに訴えかけてくる。

「はい、全力を盡くします」

アリシアのためにも。

レイラさんとジェイラスさんは、絶対に僕が見つけ出す。

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