アリシアのもとへ向かうため、大急ぎで外へ出る。

月は雲で覆われ外は真っ暗だが、幸い風はそこまで強くない。

「飛翔魔法発！」

夜の街の上まで上昇した僕は、呼吸ができるぎりぎりまで速度を上げ、ひたすらにギャレットを目指した。

魔力は自で生されるからどれだけ飛んでも盡きることはない。

しかし、ホランドさんの案じたとおり力的に無理があったのか、ギャレットまで半分の地點を過ぎた辺りで意識が朦朧としてきた。

……こんなところで休んでられないよ。

ぼーっとなるたび頭を振り、何とか意識を保ち続ける。

そんなことを繰り返しているうち、雲が晴れ、夜空の先に巨大な港町が見えてきた。

ギャレットだ。

「よかった。辿り著けた」

街の上空まできたんで速度を低下させ、アリシアの家の前に降り立つ。

「ひ、人が飛んできた……！？　そんなばかな……！！」

帰路に著く途中だったであろう酔っぱらいが、高速で飛んできた僕を見て腰を抜かしている。

「い、いや……これは幻覚だ……きょ、今日は飲みすぎちまったんだ……」

頭を抱えてブツブツ言っているが、気にせずアリシアの店の扉をノックする。

扉を開けてくれたアリシアは、目を見開いて息を呑んだ。

「デ、ディオ……！？　なんで……。……大丈夫だって言ったのに……」

「うん、伝言は聞いたよ。でも、どうしても心配だったから」

目を真っ赤に腫らしたアリシアが瞬きを繰り返す。

「アリシア、僕ら友達だよね？」

「え！？　當り前じゃない……！」

「だったら僕の前では無理しないでよ」

「……っ」

アリシアは震えるを噛みしめると、僕に抱きついてきた。

「ディオ、どうしよう！　お姉ちゃんにもしものことがあったら、私……私……！」

そこまで言うと、アリシアは聲を上げてわっと泣き出した。

アリシアの悲痛な泣き聲を聞き、僕のも痛む。

なんとかして彼をめたくて、僕は震える背中をできるだけ優しくさすり続けた。

「大丈夫、お姉さんはきっと無事だ。必ず僕が捜し出すから」

「ほんとに……？　見つけてくれる……？」

「ああ、約束する。僕を信じて」

アリシアが僕のの中でこくりと頷いた。

◇◇◇

――しばらくしてアリシアがし落ち著きを取り戻したので、僕らは薬師店の中へった。

「しキッチン借りるね」

アリシアをソファーへ座らせ、お茶をれに向かう。

お姉さんの件で揺していたせいか、部屋の中はいつもと違ってし散らかっている。

「なんで鍋の中に本がってるんだ……？」

見た目以上にアリシアが混していたことをじ取りながら、お湯を沸かす間にササッと片づけを行った。

それから紅茶をれたマグカップを手にリビングへ戻ると、ソファーに座ったアリシアはぼんやりとしていた。

泣き疲れて放心狀態にあるのだろう。

「アリシア」

そっと聲をかけると、ハッと息を呑んで顔を上げた。

「あったかいお茶だよ、あったまるから飲んで」

「ありがとう……」

僕が差し出したマグカップを両手でけ取ると、アリシアは潤んだ目で僕を見つめてきた。

「あの、ディオ……いきなり泣いたりしてごめんね。恥ずかしいところ見せちゃった……」

僕はアリシアの隣に座ってから、首を橫に振った。

「恥ずかしいなんて思ってないよ。君の不安な気持ちは痛いほどわかるから」

「うん……でも、ディオのおかげですごく楽になったわ……」

そう呟いたアリシアは、僕の肩に頭を預けてきた。

大丈夫、傍にいるよと伝えたくて、僕はアリシアの肩を抱きしめた。

「ディオがいてくれて本當によかった。私一人じゃ揺するばかりでどうしようもなかったから……」

「実をいうと、追い返されるかもって心配しながらここまで來たんだ」

「そうだったの？　実をいうと、扉の前にいるディオを見たとき、追い返そうかって思った。泣き言を言って困らせたくなかったから……。でも結局頼っちゃった……」

「アリシアが頼ってくれて僕はうれしかったよ」

「ありがとう。ディオはほんとに優しいね。……辛いときに傍にいて支えてくれたこと、私絶対忘れないわ……」

アリシアはそう呟くと、頬ずりをするように僕の腕に顔を埋めてきた。

【※作者からの大切なお願い】

皆様のおかげで現在日間ハイファンランキング31位に位置しています。

応援、本當にありがとうございます！

なんとかもうし上を目指したいので、どうか一度だけお力を貸してください……！

下にある☆☆☆☆☆を★★★★★に変えていただけると、ポイントを追加できます。

ブックマーク登録も是非お願いします。

まだまだ更新がんばりますので、ご支援よろしくお願いします！(๑´▿`๑)