《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》二つの

覚悟を決めた僕は、扉を開いた。

それまでとは比べにならないような、甘酸っぱいような強烈な臭いが押し寄せてきて、嘔吐きそうになる。

臭だ。

「うっ……」

アリシアが何かを堪えるような聲を零す。

心配して振り返ると、青ざめた顔をした彼が大丈夫というように首を縦に振った。

……探索を続けよう。

ギィイイ………ギィ……。

を見回すが、臭いの発生元は見つからない。

僕は慎重な足取りで、狹い小屋の奧へと歩みを進めた。

後ろをアリシアがついてくる。

こもった空気がまとわりつく。

一歩踏み出すごとに、臭いがどんどんに染み付いていくような気がした。

薬品棚の脇に、その扉はあった。

おそらくトイレに続いているのだろう。

またドアノブに手をかけ、扉を開くと――。

ギィイイイイ……………。

……ああ。

「……っ」

僕の背後でアリシアが息を呑んだ。

最初に目にったのは、ゆらゆらと揺れる二本の足だ。

履いている靴が男だったことにホッとしてしまい、すぐにそれを恥ずかしくじた。

このはレイラさんのものではない。

でも、人が亡くなったことに変わりはないのだ。

天井の梁から吊るされたロープがギィっという音を立てながら、ぶら下がったをゆっくりと回転させる。

生気を失った男の顔が、ゆっくりとこちらに向き直った。

先程あってきたばかりの年と面影が重なる。

この人がジェイラスさんだ。

「……弟さんはこの事実を知ったら悲しむだろうな」

「……せっかく手功してこれからって時なのに……。殘酷すぎる……」

アリシアが絞り出すような聲で呟く。

やるせない気持ちで視線をかした僕は、トイレの棚の上に書が殘されているのを発見した――。

◇◇◇

――半日後。

王都へ戻ってきた僕らを、さらなる衝撃が襲った。

侯爵の屋敷の前は、今や野次馬と憲兵隊でごった返している。

門の前で僕らを待っていてくれたホランドさんたちと合流するのにも骨が折れたほどだ。

人ごみをかき分けて、必死に僕らを門のところまで導いてくれたホランドさんが、れた髪をかき分けながら眉を寄せる。

「大変なことになったぞ……。侯爵のが発見されたんだ。どうやら自殺らしい」

侯爵が今回の事件に大きく絡んでいることは想像の範囲だったが、自殺したというのは寢耳に水だ。

……いや、でも、まず先にやらなければいけないことがある。

「今、憲兵隊が々調べているんだが、って、おい、ディオ君!? どこへ行くんだ!?」

僕はアリシアの手を引いて、屋敷の中へずんずんとっていった。

アリシアも躊躇うことなく僕についていくる。

「君!? 君は侯爵家の関係者なのか!? いや、そうだとしても、まだ事件か事故かわからない狀況で勝手な行を取られては――」

憲兵隊の人間が慌てて引き留めようとしてくるが、強引に押しる。

「すみません、今、侯爵には用がないので、行かせてください……!」

「な、なんだって!?」

ジェイラスさんの書のとおりなら、ここに――。

「嗅覚強化、発

侯爵のつけていた香水の匂いと、それに混ざった死臭をじる。

さらにもうひとつ、別のにおいが――。

しかし、それは予想していたものとは異なり、僕を戸わせた。

……どうして、別のにおいなんだ……?

答えが分からないまま突き進む。

アリシアだけでなく、慌てたホランドさんやフェンたち、それから文句を言っている憲兵隊員たちが僕らについてくる。

においを辿っていくと、邸宅の中庭に辿り著いた。

花壇の脇を見ると、最近土が掘り返されたあとがあった。

……ここか。

『主、掘ればいいのか?』

フェンが何かを察して尋ねてくる。

「やってくれる?」

『ああ、任せろ』

フェンが土を掘りはじめると、隣にいるアリシアが僕の手を握りしめてきた。

その手を強く握り返す。

そう時間がかからないうちに、結果は出た。

最初に白い指先が見えた。

次に土にまみれた赤い髪が……。

「ここからは僕が」

フェンとれ替わり、の縁に膝を付く。

埋められた人を傷つけないよう、丁寧に土を払っていくと、やがてアリシアそっくりの白い顔が見えた。

「ああっ……………そんな………あああッ」

アリシアは取りした聲をあげ、その場に頽れた。

「……待って」

僕は、確信を得るために、すんと鼻を鳴らした。

やっぱり変だ。

レイラさんだけは違う……。

ジェイラスさんや侯爵から漂っていた死臭。

レイラさんからは、あの獨特の甘いにおいがしないのだ。

僕は地面に手をついてレイラさんの頬にれてみた。

「アリシア……! レイラさんは亡くなっていない! 溫もりがあるよ!!」

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