《【書籍化&コミカライズ】創魔法の再現者 ~『魔法が使えない』と実家を追放された天才年、魔の弟子となり正しい方法で全ての魔法を極めます。貴方の魔法は、こうやって使うんですよ?~》1話 出來損ないの年
新作! 追放&長もののファンタジー。
まずは第一話、そしてよろしければ序章の五話まで読んでくれると嬉しいです!
「貴様は出來損ないだ」
ひどく冷たい聲が、執務室に木霊した。
「生まれた時からあれだけ目をかけてやったのに、このワシの期待を裏切りおって」
怒りと失を等分に含んだ聲が、部屋の中央に立つ十歳ほどの年に浴びせかけられる。
「何の果もなく、覚醒の兆しすら見えない。そんなただの無駄飯喰らいをこの家に置いておかなければならなかったワシの気持ちが、お前に分かるか?」
ダン、と苛立たしげに機が叩かれる。それに呼応してびくりと怯えたようにを震わせる年。
ここで行われていること、そしてこれから行われることが、ただの叱責で終わらないことは彼も知っていた。
それでも、と一縷のみをかけ、年は聲をあげる。
「ち、父上。僕は──」
「黙れ! 最早貴様に父と呼ばれる筋合いは無い!」
けれど、そんな儚い希の燈火は大音聲の言葉であっけなくかき消され。
「エルメスよ、本日をもって貴様を勘當する!
今後一切、フレンブリードの名を名乗ることは許さん! 二度と我が家の敷居をぐなぁ!!」
エルメス・フォン・フレンブリード──否、既にただのエルメスとなった年が。
父、ゼノス・フォン・フレンブリードの手によって、魔法の名門、フレンブリード侯爵家を追放された瞬間だった。
◆
魔法國家、ユースティア。
その名の通り、魔法が國家の深いところまでに付いていることが特徴の王國である。
この國の王侯貴族は魔法の力でもって他國の侵略や自國を脅かす魔の暴から民を守り、代わりに高い特権と地位を手にする。
そんな魔法基準の分制度が、この國の基盤となっている。
故に、王侯貴族たる人間は須く高い魔法の能力を持ち、例外はない。
そう、例外はない。
何故なら魔法の能力を持たない人間は、その時點で貴族ではないから。
そんな魔法國家ユースティアの貴族の一角、魔法の名門フレンブリード侯爵家。
エルメスは、その家の次男として生をけた。
「おお、この子は天才だ!」
エルメスを抱き上げ生誕を祝い、続いて生まれた子の簡単な魔力測定。それを終えたのちの父ゼノスの言葉は、狂喜と呼べるほどの喜に溢れていた。
「なんと澄んでいて、そして膨大な魔力か! やはり、この子は我が一族を救うべく神が遣わした神に違いない!」
……余談だが。
フレンブリード家は、古くを辿れば王家の一族──つまり公爵たる資格を持ち、事実百年ほど前まではフレンブリード公爵家と呼ばれていた。
しかし、ここ數代有用な魔法使いを輩出できなかったこと、領地の経営不振等が重なって侯爵に格下げ。今後の狀況次第では伯爵家となってしまうことも考えられる、所謂落ち目と呼ばれる家であった。
だから、莫大かつ上質な魔力を持って生まれたエルメスは、現當主のゼノスにとって救世主のように見えたとしても不思議ではない。
「お前たち、この子は我が一族を救う存在だ。くれぐれも丁重に育てよ。この子の不利益となるような行為をしたものは即刻打首だ、そのつもりで扱え!」
橫暴とも言える指示を周囲の使用人に出すゼノスの瞳は、野心とでぎらぎらと醜いを放っていた。
かくして、過剰なほどに甘やかされる期を過ごしたエルメスであったが──周囲の予想に反して、我が儘放題のお坊ちゃんになることはなかった。
良心的な使用人に囲まれ育ったことが幸いしたのだろう。多自信家なところはあっても、基本は素直で道理を弁えた年に長した。
「ちちうえ、ちちうえ! 本日のまりょく放出くんれん、先生にほめていただきました! これほどの出力は同年代ではれきだいさいこうだと!」
「おおエルメス、流石は我が息子だ! よし、褒をやろう。何かしいものはあるか?」
「では、王家にひぞうされていると言われるまほうしょを!」
父との関係も、結果を出し続ける限りは優良であった。
エルメスはそれが喜ばしく──何より彼自魔法が好きだったため、魔力作や放出の基礎訓練に勵み、神の名を徐々に広めていったのだった。
「素晴らしいぞエルメス。いずれお前は一族最高の魔法使いとなるだろう。ああ──お前にどんな『統魔法』が宿るのか、今から楽しみでならぬわ!」
統魔法。
それは貴族が貴族たりえる象徴である、名の通り統にけ継がれる魔法である。
その能は、一言で言うと規格外。
それ以外の誰でも使える魔法──所謂『汎用魔法』と比べると、天と地ほどに隔絶した能差が存在する。
これをけ継ぐことができるから貴族は貴族でいられると言っても過言ではなく、どんな統魔法をけ継ぐかによってその人間の地位が決まる、貴族にとっては冗談抜きに人生を左右する魔法だ。
「やはりワシや先代もけ継いだ魔法、或いは傍系の強力な魔法か。いやいや、我が一族は王家のを引く。よもや失われた王家伝説の魔法が発現することも……!」
「楽しみですね、旦那様!」
「ええ、エルメス様のことですもの。きっと素晴らしい魔法を授かるに決まっていますわ!」
皮算用を始めるゼノスとそれを全力で持ち上げる使用人たち。
エルメス自、父親の語る未來を無邪気に信じていた。
自分には、優れた魔法の才能がある。
そんな自分にはきっと、とても強力な統魔法が発現するに違いない。
統魔法が発現するのは、5歳から6歳。自分にとっては來年か再來年。
どんな魔法であっても自分は將來それを自在にり、戦場を駆けて悪を滅する、おとぎ話の英雄のように偉大な魔法使いになる。
そんな未來を、何の疑いもなく信じ込んで──しまっていたのだ。
◆
「……あ、ありません」
エルメス・フォン・フレンブリード、7歳。
その日は、不吉な雨が降っていた。
「……何だと?」
信じられない、と言った聲で父ゼノスが問いかける。
「で、ですから、無いのです。エルメス様に、統魔法の反応が」
ゼノスと同等かそれ以上に揺した聲で返すのは、王家直屬の鑑定士。
「統魔法は、に刻まれた魔法に耐えうる程にが長すれば自然と授かります。エルメス様の長はその點において十分、なのに反応は微塵もない。ならば──」
大きな雷が鳴った。
「ならば、エルメス様は何の魔法もけ継いでいない。つまり──『無適』です。王家の鑑定士として、この結果は保証せざるを得ません」
「ばかな……!!」
父ゼノスの絶の聲が、広間に鳴り響いた。
「そんなことがあり得るのか!? エルメスだぞ、我が一族最高の神、魔力の量も扱いも並ぶ者無き、紛れもなく神にされし子──それが、よりにもよって無適だと!?」
「……私も信じられませんが……あり得ない話ではございません」
ゼノスの狼狽を見て多冷靜になったのか、鑑定士が淡々と続ける。
「何の統魔法を授かるか。これはの濃さで多左右こそされますが、基本的には天運次第です。魔力の多寡は然程関係ございません」
「そんな──」
「エルメス様は、誠に殘念ながら……真に、神にされてはいなかったのでしょう」
気の毒そうな視線をこちらに向ける鑑定士。
(え……?)
エルメスは、唖然としていた。
自分には、統魔法が──魔法使いとして最大で必須の魔法が、無い。
どれほど魔力が多かろうと、どれほど魔力の扱いに長けていようと。
それを発揮するための魔法がないのであれば……寶の持ち腐れだ。
つまり、自分は。
生まれてから散々言われてきた神などではなく。
むしろその逆。どうしようもない、欠陥者だと──
「何と言うことだ……ワシの野が、エルメスを使って再び公爵へと返り咲く計畫が……これでは全て、臺無しではないか……!」
ゼノスが床に膝をつき、失意の聲がその口から溢れ出る。今の父が絶に支配されていることは、誰が見ても明らかで。
「このワシがあれほど気にかけてやったのに……あれほどしいものを與えてやって、くだらない自慢話を毎日聞いてやったのに……!」
そして、その絶が。
「……ふざけるなッ、この、出來損ないがァッ!!!」
エルメスへの怒りと憎悪に変換されるまで、そう時間はかからなかったのだった。
一話を読んでくださってありがとうございます。
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