《【書籍化&コミカライズ】創魔法の再現者 ~『魔法が使えない』と実家を追放された天才年、魔の弟子となり正しい方法で全ての魔法を極めます。貴方の魔法は、こうやって使うんですよ?~》23話 婚約者の
このようにして、エルメスとカティアは活を続けていった。
あるときは以前と同じように、他の貴族が持て余している魔を撃退したり。
あるときは難度の高い迷宮にって、古代魔道(アーティファクト)とまでは行かないものの有用な魔道をいくつか持ち帰ったり。
當然、それらの中には多の統魔法を持っている程度では歯が立たないレベルのものもあった。
けれど、エルメスの手によって日に日に魔法を使いこなして強くなっていくカティア。そして、戦闘においては火力以外の補助的な全てを擔當し、カティアの護衛も完璧にこなすエルメス。
彼のおかげで護衛の騎士すら不要ということで二人行することが多くなり、フットワークが軽くなったことでより多方面で活躍できるという好循環。
おまけに救った相手に対して彼らは他の貴族のように無駄に高圧的な態度を取ることはなく、それが好意的な印象を持って民に語られていく。
徐々に若くしい二人組、公爵家のお嬢様と凄腕の使用人として民の間で名が広まり、それを耳にした貴族の中でもしずつカティアを再評価する者が増えていった。
それはすなわち、アスター第二王子の判斷を疑う者が増えることと同義で。
まずは文句を言われないほどに活躍し、彼の発言力を削ぐ。
その目的は、順調に進んでいた。
◆
そんなある日、忙しかった最近にしては珍しく丸々休養に當てられる日のことだった。
トラーキア家のシェフに頼まれ、買い出しのために城下町に出てきたエルメス。
必要なものを買い終えた帰り道。ふと路地裏に視線を向けた時に、その景は目にってきた。
(……下町の子供と……の人?)
恐らく近くで暮らしている平民の子だろう、簡素な服を著た年と。
その対面、エルメスに背を向けるフードを被った人影。聲からして若いだろう。
れ聞こえてくる話からすると、どうやら年の方が怪我でもしてしまったらしい。それをの方がめているのだろう。
というかこの聲、どこか聞き覚えが──と思った瞬間。
「【天使の手は天空(そら)を正す 人の加護に冠の花 大地に満ちるは深なる慈】」
「!?」
「統魔法……『星の花冠(アルス・パウリナ)』」
明らかに聞いたことのある詠唱とともに、フードのから紺碧のがれ出る。
それが年の膝頭に吸い込まれ──溶けるようにそこのり傷が消えていった。
「い……痛くない! すごい! お姉ちゃん魔法使いだったの!?」
「ええ、そんなところです。でも、勝手に魔法を使ったことがバレると怒られちゃうから……お姉ちゃんに治してもらったことは、緒にしてくださいね?」
し茶目っ気のある響きを込めた可憐な聲。加えてフード越しの貌に見惚れたのだろう、年が顔を赤くする。
「う、うん! ──ありがとう!」
最後は大きく禮を言って、路地裏からエルメスとすれ違いざまに飛び出して行き。
それを微笑ましそうに見守ってから、の方も立ち上がってこちらに向かって歩いてきて──
──ばったりと、エルメスと目があった。
「え……? あ、あなたは……!!」
向こうも、こちらを見て目を見開く。
フードの向こうに覗くのは、淡いブロンドの髪と深いの碧眼、そしてさを殘す優しげな貌。
サラ・フォン・ハルトマン。
第二王子アスターの新しい婚約者。つまり現在対立している陣営の人間と、エルメスは偶然にも邂逅を果たしたのだった。
「カティア様の、従者の──ッ!」
エルメスを認めるや否や、サラは焦りと怯えをわにした表でを翻し、その場から走り去ろうとする。
しかし、現在彼がいるのは路地裏の袋小路。この場から逃げ出すためには大通りに出る他なく、そのルートは丁度エルメスが塞いでいる形だ。
それを認識した瞬間、彼の表が絶に変わって。
「……ゆ……許して……」
膝をついて、懇願するように頭を下げてきた。
「わ、わたしは、アスター殿下の婚約者ですが……実質的な影響力はないに等しい、お飾りのようなものです……だから……」
「……いや、そもそも」
一人で々とを忙しなくさせているところ悪いのだが。
「今ここで、貴をどうこうするつもりはありませんよ?」
「──え?」
きょとんとした顔でサラが顔を上げる。
大凡考えていることに見當はつく。ここでサラを拉致なり何なりしてアスターとの渉カードに使うとでも思っているのだろう。
最近のエルメスとカティアの活躍は彼の耳にもっているだろうから、目的も予想がつくだろうし。
だが。
「貴の言う通り貴を攫ったところで殿下がくとは思えませんし、僕たちは僕たちのやり方で殿下の間違いを認めさせるつもりです。……それに」
だとしても、彼は紛れもなくあのパーティーでカティアを貶めるのに加擔した人間だ。
ひょっとしたら悪態の一つもついていたかもしれないけれど、それもしない理由は。
「……カティア様が、貴のを案じておられました」
「!」
「貴がカティア様からいじめをけたと認める発言をしても、なお。……僕は貴のことをよく知りませんが、事があることだけはよく分かりました。だからこの場で責めることも、どうにかするつもりもありませんよ」
きっぱりと告げ、噓偽りないことを示すようにサラの方を見やる。
彼はエルメスの言葉を呆然と聞いていたが、やがて。
「……っ!」
ぽろりと、大粒の涙をこぼした。
「え?」
「ご……ごめん、なさい……っ」
そのまま、止めどなく。
次々と溢れ出てくる涙を拭いつつ、途切れ途切れの聲で彼は語る。
「あんなこと言って……ぜったい……嫌われたって、思った……でもっ、心配して、くれてたなんて……ごめんなさい……ごめん、なさいっ」
「……」
案の定、事はあった……というか、事と言うほど難しいことではないだろう。
単純に、アスターには逆らえなかったのだ。涙を流す彼を見て、彼はそう確信した。
エルメスは一先ず、人気のない場所に彼を案する。
流石に、泣いているをそのままにしておくわけにもいかなかったというのもあるが。
何より、知りたかったのだ。
彼がこうなった理由。あまり自分のことを語りたがらないカティアとこのが、かつて通っていた學校でどう流し、そこで何があったのか。
十中八九、そこにはアスターも絡んでいるだろう。
パーティーでの印象だけではなく、過去の行や多くの人からの話を元にもう一度、彼らに対する立ち位置を考える。
一面的な報からの一方的な決めつけ。それをしていては、現在敵対しているアスターたちと同じことをすることになってしまう。
それに、多面的な視點を持つことは魔法解析においても重要と、師匠にも言われたことだし。
そういう意味で、この場でサラに出會ったことは運が良かっただろう。
考えつつ、エルメスは彼に聞くことを頭の中で整理し始めるのだった。
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