《【WEB版】灼熱の魔様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】》36.魔様、ペットにご飯をやるついでに即死技を開発する

「よぉし、いい子!」

メテオとクエイクがお風呂にっている間、私はシュガーショックのトレーニングを行う。

私が棒きれをもって投げるとシュガーショックが必死にそれを追いかけるのだ。

実は聖獣という生きらしいのだが、今の私にとっては完全な犬なのである。

棒をくわえて、はっふはっふ言っているシュガーショックを見て、はたと思いつく。

「聖獣らしいけど、この子のご飯って普通のでいいのかな?」

「……どう見ても犬っぽいですし、大丈夫かと」

「ふふ、飼い主のたっぷりの手作りご飯ってわけね」

王都にいた時にはペット専用のご飯を扱うお店さえあったのだが、ここは辺境。

ペットを飼うなら、そのご飯は自分たちで手作りしなきゃいけないのだ。

そんなわけで屋敷の食料貯蔵庫に行ってみよう。

「すごいじゃん! ララって頭いい!」

ほとんどのが氷漬けになっていて備蓄されていたのだ。

ララいわく、冷凍保存した方が長期間持つとのことで、これは便利だと心する。

鮮度を保つためには週に1回は氷魔法をかけなければならないらしいけど。

「よし、これにしましょう」

ララは「トカゲ」と呼ばれているモンスターのの塊をかつぐ。

それをキッチンの大きな臺の上に置くと、大きめのナイフでゆっくりとを切り分け始めた。

その手際は素晴らしく、犬でも食べやすい大きさにカットされていく。

「んぐぐ……、ちょっと骨にあたりますね」

しかし、骨の部分はかなり固いらしく、ララとはいえ両斷することはできないようだ。

通常は骨に當たったならその部分は避けて、あとでスープにでもするとのこと。

「骨ごと切ることができれば楽なんですけどね」

ララはそう言いながらもどんどんシュガーショック用のご飯をこしらえていく。

確かに骨ごと切りになっていればかなり楽そうだなぁ。

うーん、どうにかできないかしら。

「……そうだ! ララ、ちょっと離れてて」

私はララに代わってしっぽの前に立って、あるアイデアを実行してみることにした。

この間みたいに村の空気を暖めることができるのなら、私のれている空気のうち、ごく一部を暖めることもできるはず。

例えば、刃のような形に熱を発生させることとか。

目の前にあるの塊をじぃっと見つめ、深く息を吐く。

私の側にある熱が赤い直線狀のとなって塊をすぱっと切るイメージをする。

いわば超高溫の空気の線で焼き切るっていうイメージ。

「あ、出た!」

うーむ、ぐーむとうなること數十秒。

私の目から赤いが飛び出すではないか!

本當はかっこよく指先から出す予定だったんだけど、なぜか目から出てきた。

目から線って、変かな?

ま、いいよね。

人に見せるもんでもないし。

じじじじじじじゅううう。

その赤いにぶつかると、の焼ける音との焼ける匂いがしてくる。

さらには數秒もたたないうちに目の前の塊が真っ二つに割れる!

しかし、それだけじゃなかった。

飛び上がって喜ぶのもつかの間、おを置いていた頑丈な木の臺までが真っ二つに割れる。

さらには視線の先にあった石畳の床も真っ二つに割れる。

石畳が溶けたらしく、その斷面がなぜかキラキラっている。

熱(高熱?)過ぎてガラスでもできたんだろうか。

「あわわわ! 出力を間違えた!」

ひぃいい、床まで切り裂いてしまうとは。

熱中するあまり、やりすぎてしまったようだ。

なんなのよ、これ!?

一歩間違えれば、家を破壊しかねないじゃん!

この技は封印しといたほうがよさそうだな。

「ご主人様、素晴らしい能力です! まさに殺人線! 明日からトレーニングしましょう!」

自分の無駄な能力に辟易する私とは対照的に、ララはやたらと興している。

どうやらこの熱線を護にでも使えると踏んでいるらしい。

をスパッと切るだけの能力なんだから、殺人線だなんて騒なことを言わないでほしいなぁ。

【魔様の発揮した能力】

・熱視線(初級):目から赤い熱線を出して焼き切る。現時點ではコントロールができていない。當たれば両斷される。當たれば準・即死技。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「魔様、いよいよ人間じゃなくね……!?」

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