斷の大地、初日、腰が痛む。

俺こと冒険者のハンス様は疲れていた。

いや、正直、疲れ果てていた。

村の森に出てくるモンスターはまさかの陸ドラゴン。

しかも、群れをなして襲ってきやがる質のわるいやつらだった。

俺たちは手も足も出ず、死すら覚悟した。

しかし、村の男やメイドのはそんなドラゴンを子供扱いするように、なぎ倒す。

極めつきは、あの領主。

名前はユオとかいう、そのは一人で複數の陸ドラゴンをばらばらに分解しやがった。

疲れた足を引きずり、とぼとぼ村に戻ってみると、おんせん、なるものに案された。

領主のいわく、疲れたときは溫泉が一番ということだ。

おんせん、なんて言葉は聞いたことがない。

どんなものかと尋ねても、「ってみなよ、ればわかる」などと煙に巻きやがる。

「な、なんだ、このにおいは？」

黒りする溫泉なる建に近づくにつれて、俺達は異変に気づく。

おんせんに近づくにつれて、異様な臭いが強まっていることを。

しかし、かなり強い臭いだ。

まるで地獄の釜の蓋が開いたような臭いってやつだろう。

そして、目の前にあれが現れる。

「ひぃいいいいいい！　ば、化けだぁ！」

黒りする建造のり口に、巨大なトレントが口を開いたまま鎮座していた。

いや、正確にはトレントの顔だけなのだが尋常じゃなくでかい。

通常のトレントの何倍もの大きさで、こんなものは見たことがない。

顔にある傷からして俺はあることを察知する。

「この大きさって、もしかして、城壊しのボボギリなんじゃないか！？」

そう、それはかつての魔王大戦で人間の領地を荒らし回った化けだった。

その化けが、おんせんなるものの材料にされているのだ。

巧なレプリカなのではと思ってってみるが、さやからして、どう見ても本だ。

明らかにモンスターのトレントを材料にしたものだ。

「この建、ぜんぶ、トレントかよ……！！？」

仲間の一人が目を丸くしながらつぶやく。

よく見れば、この建はトレントのでできていることがわかる。

確かに長生きしたトレントの樹皮は超高級素材だ。

しかし、何の因果があって、こんな恐ろしいものを置いているんだ！？

壽命で死んだやつをここまで運んだっていうのか？

いや、トレントの壽命はほとんどないとさえ言われている。

ま、まさか討伐でもしたというのか？

「にしし、それはユオ様がさくっと破してもうたんやで。一撃必殺やで」

俺たちの後ろにいた、クエイクの姉がそんなことを言う。

「い、一撃で！？　う、噓だろ」

思わず聲がれてしまう。

ボボギリと言えば、當時の剣聖たちが押し戻すだけで一杯の＜＜歩く要塞＞＞だったはずだ。

城を何度も踏み潰したやつで、一撃でやられていいような相手じゃない。

さすがに冗談を言っているのだろうと思い、領主の顔を見ると、照れたような顔で、

「しょせん木だから熱に弱いよね？　そういうことだよ？」

と、言いやがった。

その照れた表から俺は理解する。

これは噓ついている顔じゃない、と。

照れるとか、そういう反応はおかしい、と。

つまり、あの化け領主はボボギリを討伐してしまったのだ。

しかも、やつはボボギリを面白建築の材料にしていることに一切のがいていないらしい。

平然と、何事もなく、まるで「処理」するようにボボギリを圧倒したに違いない。

……この領主の、化けを超えた、化けだ。

ぞくり、とした。

「ひっ」

森での出來事に俺はもう何が起きても驚かないつもりでいた。

それなのに、俺は本日、二度目の腰抜かしが発生してしまう。

驚いたなんてもんじゃない。

戦慄した。

れそうだった。

この領主のは何かまったく違う存在だ。

「木だから熱に弱いとか、そういうことじゃない！　絶対にそれじゃないだろ！」

俺はふらふらになりながらも、林の方にかけこんで、そうぶのだった。

ばなければ、気がおかしくなってしまいそうだったから。

「面白かった！」

「続きが気になる、読みたい！」

「ハンス、お前の腰、大丈夫か……」

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