《【WEB版】灼熱の魔様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】》69.魔様、剣聖と対面するも嫌われる

「えーと、まずはこの子を運ぼうか……」

レーヴェさんたちが引き揚げると、私たちは倒れているクレイモアを客室へと運ぶ。

リリの見立てだと、しばらく寢かせれば大丈夫だとのこと。

「それにしても、ユオ様、大きく出たなぁ。サジタリアス級の領地で賄える塩っていうたらめちゃくちゃ大量やで」

「ぐむむ、だって仕方ないじゃん。たかだか塩のためにリリが結婚させられるとかありえないし」

「まぁ、用意できればがっぽり儲けさせてもらえるわな」

「そういうこと」

「くひひ、儲けさせてもらいひょか」

私たちは屋敷に戻り、今回の塩の件をどのように対処すべきかを話し合う。

啖呵を切った以上、塩の大量生産の手筈を整えなければならないのだ。

それもこれもリリアナの婚姻を阻止するためだ。

リリがあのローグ伯爵と結婚するとか、ぜったいありえない。

あの邪悪なオッサンは何か企んでるような気もするし。

「しかし、納期が1週間って、ありえへんですよ」

メテオの妹、クエイクは渋い顔をする。

しかも、納期は1週間。

これについてはレーヴェさんの「1週間だったら待ちます」の言葉を鵜呑みにしただけであり、迂闊だったかもしれない。

だけど、この山を乗り越えたら、サジタリアスとの太いパイプができるはず。

「ユオ様、クレイモアをお連れしました」

しばらくすると、リリがドアをノックする音がする。

リリアナの聲におどおどした様子はないので、クレイモアもしは落ち著いているだろうか。

「……事はリリアナ様から聞いたのだ。でもでも、あたしは許したつもりはないのだ! 一騎打ちの途中で剣が溶けるとか絶対にありえないのだ! ぜったいにずるなのだ!」

は開口一番で怒っていた。

それもかなり。

さすがは剣聖。

ずるいとかいって私をにらみつけている眼の鋭さよ。

口調はじなのに、はっきり言って、ちょっと怖い。

「クレイモア、ユオ様にそんなこと言ったらダメでしょ?」

「ぐむむむ……、いくらリリアナ様でもいうこと聞けないぐらい、あたしは怒ってるのだ!」

クレイモアはそう言ってぷいっとそっぽを向く。

今は寢巻代わりのワンピースを著ているけど、長なのでとてもよく似合っている。

青い瞳は大きくて、はっとする人。

出るところが出ていて、文句のつけようがない。

正直、こういうのに生まれたかったと、ごくりとつばを飲み込んでしまう。

「それに私の剣を破壊したのもあんたなのだ! 絶対に許さないのだ!」

は怒りついでに剣を破壊したのも思い出したらしい。

見かけは長人なんだけど、怒っている様子はどちらかというと子供っぽい。

語尾の「のだ」というのも気になる。

「大切な剣を壊しちゃったのは謝るよ。でもまぁ、ほら、生きているだけで丸儲けっていうじゃない?」

とりあえず謝罪の言葉を口にして謝っておく。

起きたことは戻らないし、無理やりいい話にでも持っていこう。

「生きてるだけで丸儲け!? そんなこと、生まれて初めて聞いたのだ」

メテオ譲りの格言を聞いたクレイモアは騒ぐのをやめてきょとんとした表になる。

このまま騙されて、いや、納得してくれればいいんだけど。

「生きてればええことあるやろ? これまでの嫌なことは水に流そうっちゅうありがたいお言葉なんや。あんたも下著姿で失神したこととか忘れてしまうんがええわ」

クレイモアをなんとかなだめようとメテオが口をはさんでくる。途中までは確かにいい話風だった、途中までは。

「なっ!? あたしが下著姿で失神!? ななな、この黒髪冷酷おんな! あんた、命のやり取りをするときは相手への尊敬が大切なのだ! あたしはぐーで毆っただけなのに!」

わぁぎゃあと騒ぐクレイモアはどういうわけか私にお説教まで始める始末。

怒ってはいるのだと思うけれど、なんというか子供っぽいというか。

しかし、あんたのパンチはグーで毆るとかそういう可らしいのじゃない。

普通に人が死ぬやつだからね。

……まぁ、今回の場合、毆ったら、あんたの腕が死んでたと思うけど。

「ほらほら、クレイモア。とにかく一旦、落ち著いて。いい子だから、ね? ほらほら、飴があるから」

「ふぐぐ、この飴は味しいのだ……」

リリは懐から飴を取り出すとクレイモアにあげる。

昔から知り合いの彼はクレイモアのし方を心得ているらしい。

「とにかく! あたしは絶対にこんな村なんか認めないのだ! 私の剣を壊したやつなんか、大っ嫌いなのだ!」

クレイモアはそう言うと、バタンとドアを閉めていなくなってしまう。

うーむ、不可抗力だったとはいえ、剣を真っ二つにしたのが悪かったらしい。

修理してあげたいけど、私には鍛冶師の心得はないしなぁ。

「ユオ様、申し訳ございません。クレイモアは普段はとっても素直でいい子なんですが、頭にが上りやすい分で……」

リリが悲しそうな顔をしてぺこぺこと謝ってくる。

まるで保護者みたいだ。

確かにクレイモアは戦いの続きだと言ってケンカを仕掛けたりはしてこなかった。

あくまでも剣を壊されたことへの不満だ。

「クレイモアの持ってた剣って、どういうものだったの?」

「……クレイモアは剣聖になった時からあの剣をすごく大事にしているんです。お母さんから與えられたんですけど、剣の中に彼の寶っているそうで」

リリは苦笑いをして、クレイモアの武について教えてくれる。

なるほど、家族との思い出の品ってじなんだろうか。

私もおじい様の品を壊されたら怒ると思うので、彼の気持ちもしは分かる。

とはいえ、どうしたものだろうか。

「にぎゃあああああ!? このトマト、でっかすぎるのだ!?」

うーむと考えていると、屋敷の外からクレイモアの大きな聲がする。

窓から見てみると、村人の抱えた巨大な野菜に大聲をあげているらしい。

確かに巨大なトマトとか、初見の人はびっくりするよね。それにしても騒がしすぎるけど。

「私、クレイモアがご迷をかけないように見張っています! 失禮します!」

リリはそういうと足早に屋敷を出ていく。

クレイモアが護衛役って聞いてたけど、立場が逆のような気もする。

私はとりあえずみんなに仕事を割り振ると、ララと一緒にとある場所へ向かうのだった。

「ふぅむ、この修理は無理だなぁ。素材が特殊過ぎる」

クレイモアの巨大な剣を回収した私はドワーフのドレスの工房にいた。

の本業は大工や家だけど、工房には鋳のための施設もある。

だから、クレイモアの剣の修理も大丈夫だろうと高をくくっていたけど、返事はまさかのノー。

「魔様、刀鍛冶って言うのは奧が深いんですわ。簡単なのを叩いたり形したりだけなら、あっしらでもできますが、この刀の素材はミスリルが混ざっていて、この設備じゃ難しいんですわ」

珍しく苦い顔をするドレス。

ミスリルというのは鉱の一種らしく、剣の素材とすることで度や弾を増すことができるらしい。

ただ非常に高溫にしないと溶けないらしく、うちの村の鍛冶場じゃ難しいとのこと。

非常に高溫ってどれぐらいなんだろう?

私の力で出力できるものなんだろうか?

「ご主人様、クレイモアさんとハンナが一即発です!」

ドレスたちと刀鍛冶について話しあっているとララが駆けこんでくる。

それもまさに危懼していた事態が起きていた。

剣聖のクレイモアと剣聖の孫のハンナがいがみ合っているらしい。

どちらも直的で妥協のない格だ。

二人が衝突してしまったら溫泉を破壊される可能だってある。

私は溫泉リゾートのほうへ慌てて急行するのだった。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「剣の中は……」

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