《【WEB版】灼熱の魔様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】》78.魔様、超質レンガを焼く、焼く、とことん焼く。そして、貓人姉妹は冒険者ギルド設置のためにき出す

「ユオ様、ここは一発、訓練場をつくったらええやない!」

メテオはらんらんとした目つきで、私にずずいと顔を寄せる。

近い。

訓練所ね、ふむ、メテオにしては普通に聞こえる響きだ。

目の中にお金のマークが見えるんだけど、ぜったい、企んでるよね。

「めめめめ、めっそうもあらへんで! ほら、うちの村も冒険者が増えてきたし? 村人は割引料金で使えるやし? 専用のストレッチジムもあるんやで? リリの殺人的マッサージサロンと合わせて、ええじの相乗効果も期待できるんやで? そんで、いつの日か大陸中から冒険者を集めて、闘技場とか作って賭博したりとか、冒険者ギルド設立でがっぽがっぽ、うはははは」

疑いの視線を向けられたからか、やたらと早口かつ饒舌になって釈明を始める。

あんまりやかましいので、最後の方は聞き取れなかった。

「ええい、煩悩ダダれやんか、このアホ姉!」

「ひでぶっ!?」

「よっ、ようは冒険者たちが安全にトレーニングできる場所を作りたいってことです! 純粋に村を思ってのことですよ!?」

クエイクはけっこう真面目な顔をして私に食い下がってくる。

真剣すぎてメテオのことを一発ぶんなぐるぐらいだ。

ふむ、トレーニングできる場所ねぇ。

「せや! それや! 村長さんとかハンナのトレーニングは崖から突き落としたりとか、飛竜の上に乗ってみろとか、そんなんやからな。命がいくらあっても足らへんねん」

「現場で訓練しようとしてもモンスターが強すぎたら話になりませんし。いつまた不測の事態で巨大なモンスターがやってくるかわからないやないですか」

「せやで! 巨大なスライムとか巨大狼とか、湧き出てきたら困るやろ!」

「いくらユオ様が人外だからって、冒険者がいて困ることはありませんよ!」

メテオとクエイクはお互いの意見にかぶせてくる。

うーむ、相変わらずやかましい。

……っていうか、巨大スライムも巨大狼も貓人姉妹(あんたたち)が連れてきたような気もするんだけどね。

とはいえ。

訓練するための施設かぁ。

いったいどんなものなのか想像もつかないけど、確かにメテオたちの言っていることにも一理あるかもしれない。

冒険者たちができるだけ安全に仕事をできるようにしてあげたいし。

そのためには冒険者のための安全快適な訓練所が必要なんだろう。

「それに今みたいな騒音問題もある程度なら解決できるかもですよ。防音できるような設計図も作ってみました! これはザスーラにある冒険者ギルドの訓練場がモデルなんですけど、ドラゴンの一撃にも耐えるとかって言われましてん」

クエイクはそう言うと機の上に建の図面の書かれた紙を広げる。

即興で描いたからというのもあるけど、その絵はお世辭にも上手とは言えない。

だけど、彼たちなりに冒険者向けの訓練所に熱をじてるんだろう。

二人はいつもわちゃわちゃしているけど、この村のために貢獻したいっていう気持ちは本だ。

「わかったわ。とりあえず、建てる場所はララに、建築の手順はドレスに相談してみて」

「ってことは、ええんですね?」

「いいわよ、何事も即斷即決がポリシーだし。責任は私がとるから、好きなようにやっていいよ」

「「ユオ様、大好きや!」」

私が許可を出すと、二人は私にハグをする。

それから大急ぎで走っていった。

いったい、どんなものをつくろうとしているのだろうか。

まぁ、この地域のために頑張ってるんだから、なんでも応援するのが領主の仕事だよね。

「よっし、できたわよ! 次、もってこぉーい!」

どういう風の吹きまわしだろうか。

1時間後、私はレンガを焼いていた。

ドレスたちが言うには、防音効果もある超質レンガを作るんだとかなんだとか。

質レンガというのは、ハンナやクレイモアが暴れても、ある程度はもってくれる素材なのだそうだ。

「魔様、もってきやしたぁ!」

「んじゃ、いっくよぉー!」

私は用意されたレンガを乾燥させ、ついで高溫で焼き上げる。

質レンガはこれまでの赤レンガとは違って、真っ黒で沢がある。

焼き上げるときもコツが必要な代だ。

「さすがは魔様! 仕事が早い! さぁ、こちらもどうぞ!」

職人さんたちは焼き上げたそばからレンガを運び出していくけれど、その量が尋常ではないのだ。

まるで村の塀を作り替えるぐらいの勢い。

こんなのどうやって準備したんだろう。

「へへへ、レンガの製造機をつくったんだよ! 魔様が焼き上げてくれるんなら朝飯前だ!」

ドレスは嬉しそうに笑い、ドワーフのおじさんたちもガッツポーズをする。

この人たちは本當にものづくりが好きだな。

その笑顔に支えられて、この村があるんだと実する。

「よっし、私も頑張ってやろうじゃないの!」

そういうわけでレンガを焼くに今日は徹する。

私もやるときはやるってことを見せなきゃね。

途中でレンガ以外のものもあった気がするけど、建築にでも使うつもりなのだろうか。

焼き上げたばかりのレンガはめちゃくちゃ熱いので、明日以降に作業を開始するとのこと。

私がサジタリアスに出向いている間に建築する予定だけど、どんなものが出來上がるのか今から楽しみだ。

◇ メテオとクエイク姉妹の會話

「うまくいったなぁ。これで冒険者ギルドの設立要件をクリアできるで」

「姉ちゃんがギルド本部にいくらかけあっても、『斷の大地にギルド建設なんてできるか、あほ!』言われとったからな」

「せやで。なにが『安全な施設がないと駄目なんですぅう』や、あの若作りギルド長が」

「ガツンとええじの施設を作って、きゃつらをあっと言わせたる」

「ほんで、正規の冒険者ギルドができて、冒険者が集まってきたら、この村はもっともっとかになるやろ!」

「せやな。しかし、ユオ様に冒険者ギルド設置のために訓練所作りたいって素直に言えばよかったやん」

「それなんやけどな。ユオ様はぜったい、サプライズが好きやろ? 溫泉リゾートのり口をボボギリの顔にしたときも足を震わせるほど喜んどったし」

「そうなん? そんなにサプライズ好きとは知らへんかったわ。お姉ちゃん、人を見抜く力がさすがやわ」

「ふふふ。ユオ様をあっと言わせて喜ばすのが、うちらの仕事やで。肝に銘じとき」

「お姉ちゃん、めっちゃ好きやん、ユオ様のこと」

「……好きやな。めっちゃええ子やし」

「何、顔、赤くしとんねん!」

「うぐっ。グーパンチやめろ。まぁ、それもこれも、ユオ様が『責任は私がとる』って言ってくれるからやで。ほんと、ザスーラにおったときとは大違いや」

「おかんのところで、姉ちゃんは苦労してたからなぁ。うちもユオ様に仕えて本當によかったわ」

メテオとクエイクは設計図を握りしめながら、今後のことについてを膨らませるのだった。

【魔様が発揮した能力】

レンガ焼:これまで以上に固いレンガを焼くためのスキル。高溫を発するため、相応の施設がいるが出來上がったレンガは高品質となる。単に熱を発しているだけではなく、一個一個の熱の合まで「なんとなく」わかってしまう。人間に使用した場合にもこんがり焼きあがる即死技。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「冒険者ギルド……」

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