《【書籍化】勇者パーティで荷持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。》09 武闘家トレジャーハンター③

「薬草屋さん。そんなところで何してるのですか? なんかぐらとか摑まれてますけど。その人たちは知り合いなのですか?」

俺は、振り手振りで「関わるな」とロロイを追いやろうとしていたが。彼は逆にひょこひょこと近づいてきた。

「この間のこと。謝って言葉を撤回するなら助けてあげるのですよ?」

一応、ロロイはちゃんと狀況を理解しているようだった。

『この間のこと』とは。

俺がロロイの扱う商品を、ガラクタだと言ったことだろう。

「悪かった。謝るし撤回するから、さっさと離れろ。お前まで巻き込まれるぞ!?」

俺がそう言った時にはもう遅かった。

俺を取り囲んでいた悪黨どもの興味は。若いの子…ロロイへと移っていた。

俺から離れ、ロロイへと近づいていく。

「あん? お前が、代わりにマナを払ってくれるってことか?」

「いいね。せっかくだから、マナよりも現支給で頼むよ、お嬢ちゃん。ぐへへへ」

ロロイは肩から先の出るノースリーブで。

丈は長いが、くと太ももがチラチラと見えるようなスリットの深い武闘著をまとっていた。

名乗っている「武闘家」と言うジョブを意識しているのだろうが。

見ようによっては、結構エロい。

いや。決して俺がそう言う目で見ていた訳ではなくて『周りからはそう見られるかもしれない』と言うことだ。

本當に。

神には誓えないが、本當に。

そんな俺の心配通り、悪黨どもの意識は完全にロロイに向いてしまった。

下品な顔で、舌なめずりまでしている。

正直、俺が逃げるには絶好のタイミングだった。

だがさすがの子を囮にして逃げるようなことはできない。

それは、さすがに人として良くない。

こうなったら…

1萬マナはキツいから。渉をして、1,000マナくらいで手を打ってもらおう。

うん、そうしよう。

俺がそんなことを考えてると。

「倉庫取出(デロス)」

ロロイはその、倉庫スキル発の呪文を唱えた。

次の瞬間。ロロイの両手の拳には使い古されたカイザーナックルが出現した。

「さぁ…」

姿勢を低くして構えをとるロロイ。

かなり様になっている。

もしかしてこの娘、結構強いのか?

さらに…

「剛力発(マッスル)、アンド、鉄壁発(ガード)」

それは、天賦スキル「剛力」の発呪文と、習得スキル「鉄壁」の発呪文だった。

に闘気(オーラ)をみなぎらせ。発後は元の2倍以上のパワーを発揮することができる、天賦スキル「剛力」

そして、発後にの一部を闘気(オーラ)で包み込み、そこを鋼鉄のようなさへと変える「鉄壁」

武闘家の戦闘用スキルとしては、最高峰とも言える組み合わせだ。

これで格闘技がそこそこ使えるならば、上級者のパーティでも普通に歓迎されるレベルだ。

「さぁ、行くのですよ」

男たちの顔が一斉に引きつり、

勝負は一瞬でついた。

3人の男たちはロロイの繰り出す連続攻撃でボコボコに毆られ、一瞬でボロ雑巾のようにされた。

そして、次々と悲鳴を上げながら投げ飛ばされていった。

「ぎゃーー! なんだこいつ!」

「めちゃくちゃつえぇぇ!」

そして、泣きびながら逃げていくのだった。

「あー…助かったのか。俺」

「薬草屋さん大丈夫? 怪我はないですか?」

危機的狀況に。颯爽と現れてチートスキル無雙で悪黨を薙ぎ倒す正義の味方。

普通は…逆だよな…。

男となのか。

主人公とヒロインなのか。

その辺は曖昧にしておくが。

とにかく普通の語では、立場が逆だよな。

本來は、主人公的なやつの仕事だぜ、それ?

剛力発中のロロイに助け起こされ。危うくそのまま投げ飛ばされそうになった。

そして実は俺、結構悲しかったりするのだ。

自分が超絶弱いってことは、前々からわかっちゃいたけどさ。

「はぁ…」

娘みたいな歳のの子に救い出されるとはな。

そんな俺に…ロロイがいきなりもたれかかってきた。

「おいおい…」

なんのつもりだ?

「お……」

「ん?」

「お、な、か…ずぃだぁぁぁーーー!!」

スキル発の反

力、神力、そして満腹値の大幅な減

人によってバラツキがあるのでなんとも言えないが。通常、戦闘系のスキルは非常に燃費の悪い力だ。

「うっ…ううぅ……。もうダメぇぇ…なのです」

昨日からほとんど何も食べてないと泣きながら、ロロイはその場にへたり込んでしまった。

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