《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》34.第七王子は食糧問題も解決する(事故)

ある日のこと。

俺の住む、領主の館にて。

「ふぇーん……ろりえもーん……お仕事辛いよぉ~……」

俺は機に頬をべったりつけて、ロウリィの球をぷにぷにっていた。

『だれがろりえもんっすか。自分、誇り高き魔神なんで。そこらへん、ちゃんと敬意払ってしいっす』

「煮干しにつられてらせちゃう貓がなーにいってるんだかね」

とんとん、と部屋がノックされる。

その隙にロウリィが逃げやがった。

「失禮するのじゃ」

「おお、ヒルデ。どうした?」

角が生えた、ヒルデがってくる。

「実は早急に解決してしい問題があるのじゃ」

「そうか。奇遇だな。俺もこの書類の山を早急になんとかしてしい。燃やして」

『ノア様、深刻な話の最中に茶化すのよくないっすよ……あ、あ、ら、らめっ、球くすぐるのらめー!』

ヒルデが問題とやらを説明する。

「実はいま、うちは深刻な食糧不足らしいのじゃ」

「あん? なんでだよ」

「そ、それは……しょ、しょう……しょうかん……もにょにょ……」

「は? なんだって?」

「だから! おぬしが作った娼館が大人気で! あちこちから人がいっぱいきて困ってるのじゃ!」

『マダムのお店繁盛してるんすね。さすが、エロは世界を救う……』

働き口が増えたは良いが、そのぶん食い扶持も増えたって事か。

「サブリーナの商會やグラハムのじいさんからの援助けてるんだろ? それでなんとかならんの?」

「結局外から仕れるからの、限界はあるのじゃ。自給自足できればいいのだが……」

「できねーの?」

「うむ……奈落の森の土地では、田畑を耕せる場所が限られているのじゃ」

魔王ヒルデ曰く、奈落の森、特に魔王國の領土になっている場所は、土地が死んでいるそうだ。

を育てようにも、土に毒が含まれているんだと。

「せっかく人が増えたのに、これでは民が飢えて死んでしまう。ノア殿、どうにかできぬだろうか……」

めんどくせー。

パンがなけりゃケーキ食えば良いじゃんか……。

『作もないのにケーキはどうやって作れば良いんすか?』

『魔法でちょちょいと』

『あんたと一般人を同列に扱っちゃだめっすよ……』

さて、まーた面倒な問題が來やがったな。

ちくしょう、次から次へと……。

「よしわかった。この問題、このノア・カーターがなんとかして見せよう」

「おお! ノア殿! なんと頼もしい!」

「ふっ……ほかの連中にも言っとけよ。ノアが食糧問題を全部解決してやっからってな! いくぞロウリィ!」

俺は白貓の首っこをつまんで、窓から外に出る。

『はいはいさすノア』

「まだなんもしてないでしょうが!」

『どーせ無能ムーヴしようとしてやらかしちゃってノア様すげーされるんすから、さすノア前借りで……うひゃあああああ!』

俺が空中で手を離すと、ロウリィが下へと落ちていく。

カッ……! とると、白竜姿のロウリィが俺の前までやってくる。

『死ぬわ!』

「死なないだろう、魔神なんだし」

まあ何はともあれ、俺は今回、食糧問題を使って、無能ムーヴすることにしたのだった。

やってきたのはカーター領のとある森の中。

比較的開けた場所にて。

「ここが畑か」

『なんかパサパサしてるっすね、土が』

眼前に広がる畑は、たしかに栄養がないのか、ひび割れていた。

「ロウリィくん、し土を舐めてみたまえ」

『りょーかいっす。ぺろ……これは青酸カリ……じゃねーっす! どうしてそー自分を殺そうとするんすかね!? あ、あ、し、しびれ……しびれて……のあひゃま……へるぷ……』

「なるほど。魔の糞尿に含まれる毒が、土を汚してるわけだな」

びくんびくん、と痙攣するロウリィをよそに、俺は土の分析をする。

『ぷはっ! なんとか解毒できた……ノア様! ひでーっすよ!』

「おまえのノリが良いのか悪いのか。さて、原因はわかった。あとはちゃちゃっと……召喚(サモン)」

俺が右手を挙げてぶ。

地面に魔法陣が展開。

そこから出てきたのは、全が水で出來た霊だ。

『う、ウンディーネ!? 水の大霊じゃねーっすか!』

「おう。俺のマブダチ。な?」

ガタガタ……とウンディーネが震えている。

『の、ノア様……? とてもマブダチとは思えない反応してるんすけど……なにしたんすか?』

「え、前世でボコった。こいつ調子のって水害おこしやがったからよ」

『大霊ボコれるあんたすげーよ……可哀想に、悪魔と契約されちゃって……自分もなんすよ』

ロウリィとウンディーネが意気投合したようにうなずく。

「ちゃっちゃとすますぞ。おいウンディーネ。この畑……大量の水で、洗い流せ!」

『ちょっ!? ノア様!?』

ウンディーネは俺の言うことにうなずくと、両手を広げる。

離れた場所の水源から、大量の水があふれ出て、畑を洗い流す。

『ふんぎゃぁああああああああ!』

「あ、やべ、回収するの忘れた」

俺は飛行魔法で回避したが、ロウリィは地面にいたので、洪水によって流されていった。

「ま、いっか」

『よくねええええええ!』

またも白貓から白竜狀態になって、やつが俺の隣までやってくる。

『ノア様なにしてるんすか! 畑が大洪水になってるっすよ!』

「ああ。言ったろ? 無能ムーブだって。名付けて、【毒なんて水で洗い流せば良いじゃない】作戦だよ」

畑は水浸しで使えない狀態になって、農家たちは俺へのヘイトをためるって寸法よ。

「これで向こうがなんてことしてくれたんだって噛みついてきたら、【俺がせっかくやってやったのに、なんだその態度!】って言ってやりゃ好度も落ちるってもんだろ」

『ノア様……そんな回りくどいことせず、浄化魔法でちゃちゃーっと畑を浄化したほうが、みんな幸せになると思うっすけどね』

「うっせえ! よぉうし、これで完了。おつかれウンディーネ。帰って良いよ」

ホッ……と大霊は安堵の吐息をつくと、煙のようにきえていった。

ロウリィは「今度飲みにいこっす。愚癡聞くっすよ」となんだか友達になったみたいだった。

まあいい。

これで俺の目的は達せられた!

畑は水浸しで使いにならない、しかも広範囲にわたって水害が発生。

領主の不始末、糾弾は避けられない。

くく……やっと俺の評判が落ちる日が來たな!

後日、俺の屋敷にて。

「ノア殿! さすがじゃ! ありがとう!」

「ふぁっ……!? な、なにぃ~……またなのぉ~……」

魔王ヒルデが笑顔で、俺の屋敷へとやってきた。

「お見事ですじゃ! 畑の毒を、大霊の魔法で洗い流してくれるなんて!」

『え、どういうことっすか?』

白貓ロウリィがぽかんと口を開いて言う。。

「水の大霊ウンディーネ。かの霊の呼び出す水には浄化作用が含まれておるのじゃ。けがれた大地はこれによって洗浄・浄化され、栄養満點な見事な沃野へと変貌したのじゃよ!」

「う、うそぉおおおおおん!」

ウンディーネのやろう! あいつそんな力隠し持ってやがったのか!

「いやしかしノア殿はさすがじゃな。大霊との契約など……いにしえの時代以來、誰も出來たことはないというのに。いったいどのようなすごい儀式を行ったのじゃ?」

『恐喝・暴行・ノア容疑者』

「おお! 力で屈服させてみせたのじゃな! すごいな! さすがノア殿じゃ!」

『やべーっすよノア様。このも信者っすよ』

そんなことより……。

え、俺……またやっちゃいました!?

「ありがとうノア殿! これで作が育ち、食糧問題は解決じゃ! 謝申し上げる!」

「うがぁああああああ! ちくしょおおおおお! ウンディーネおぼえてろよぉおおおおお!」

『あ、もしもしウンちゃん? うん、逃げた方が良いっすよ。いまノア様激おこなんで。え、ううん、気にしないで、また飲みにいこーっす』

「ああもうどうしてこうなったぁあああああああ!」

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