《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》47.第七王子は飛竜の群れを倒す(黒歴史パートⅡ)

ある日のカーター領。

寢室にて。

「いやぁ~。サボるのさいこー」

俺はベッドの上で、ゴロゴロと転がる。

『んも~。ノア太くん、だめじゃないっすか。ちゃんと働かないと』

白貓ロウリィもまた、ベッドの上でゴロゴロしている。

「いいのだよ、ろりえもん。今……ナベリウスが影武者として、働いているからな!」

先日、俺は影の悪魔ナベリウスを舎弟にした。

あいつは変能力を持っている。

俺の姿に変裝させて、働かせているのだ。

『あんまサボりすぎると、リスタにばれちゃいますよ?』

「わーってるよ。たまにね。週6くらい働いてもらうだけだから」

『ほぼ毎日じゃねーっすか!』

「日曜日だけ働くよ」

『ほかの人たち休みっすよ! 実質7日休んでるじゃん! ずるい!』

「うるへー! 週七で休んでる貓には、労働の苦しみは理解できないんだよぉ!」

俺とロウリィはゴロゴロとベッドの上で転がる。

ああ……サボり最高!

ずっとこんな日が続けば良いのに……。

「って、ロウリィ。おまえ、何読んでるの?」

『これっすか? コミックっすよ』

ロウリィがベッドの上に、漫畫の単行本を広げている。

「コミック?」

『そー。今ね、ちまたで大流行のお話があるんすよ』

「へー……なんてタイトル?」

『【白銀剣聖(ホワイトノア)の刃】』

「そーーーーーーーーーーーーい!」

俺はロウリィからコミックを奪うと、窓から放り投げた。

『ちょっ!? なにするんすかぁ! わたしの漫畫ぁ……!』

「う、うるさいよ! あんなもん読んじゃいけません! 教育に悪い!」

『どこの教育ママっすか! ……てゆーか、ノア様』

「な、なんだよ……?」

『なんで漫畫なんて興味なさそうだったのに……捨てたの? 【白金剣聖(ホワイトノア)の刃】めちゃ面白いっすよ?』

「作品はどうあれそれは読んじゃだめだ。いいか、読むなよ、今後一切……絶対読むなよ!」

くそっ!

どうなってやがるんだ!

なんで今更……白金の剣聖なんて……。

「作者は殺す……! 誰だぁ……! 作者ぁ……!」

と、そのときだった。

『ノア様』

「んだよナベ! 俺は忙しいんだよ!」

悪魔ナベリウスから通信がった。

『サブリーナ様が來るらしいんだけど、どうする?』

「それを先に言え! 俺が行く!」

俺はロウリィの首っこを摑んで、部屋を出る。

ややあって。

「お久しぶりですノア様!」

商人のサブリーナが、笑顔でアイサツをしてくる。

相変わらずなのか男なのかハッキリとしない、年(?)っぷりだ。

「サブリーナよ。今日はおまえに頼みたいことがある。【白金剣聖(ホワイトノア)の刃】ってコミックしってるか?」

「もちろん! 今すっごい大流行してますよね!」

ああぁあああああマジかよぉおおおおおお!

『サブリーナ様も、白金のファンなんすか?』

「はい! 主人公のホワイトノア様がほんとにかっこよくって……!」

『そっすよねぇ。今どき珍しい、熱主人公っぷりが、逆に目新しいっていうか』

ああああああああああああああああ!

「そうなんです! どんなピンチにもすかさず現れて、『大丈夫、私が來た……!』っていつも笑顔で……かっこいい!」

『使う剣が二刀流ならぬ三刀流ってのがまたかっこいいっすよね! まあ口に剣をくわえるのどーかと思うっすけど』

「ど、どこがかっこいいんだよ!」

ロウリィ達がきょとん、と目を點にしている。

ハッ……! し、しまった……つい……。

「と、とにかくその、白金剣聖の刃? だっけ、その作者に會いたい。頼めるか?」

「ノア様の頼みでしたら! なんでもします! たとえ火の中に飛び込めと言われようとも喜んで!」

「言ってねえよ」『こえーよ』

まあ……この件はサブリーナに任せておこう。

數日後。サブリーナが尋ねてきた。

「ノア様、白金剣聖の刃の作者さんと、アポイントが取れました!」

「でかした!」

「ただ……今すごい忙しいらしく、來月にならないとダメだそうです」

「チッ……! まあいい……頼むぞ」

「はいっ! あ、そうだノア様! お土産があります!」

サブリーナが笑顔で言う。

……なんか嫌な予

「じゃーん! 白金剣聖様が使っていたって言う、【第3聖剣ファルシオン】ですっ!」

『ファルシオン……!? って、あのファルシオンっすか!?』

「はいっ! ホワイトノア様が使ってたって言う、3本の聖剣のうちの一つです!」

……なぜ!?

なぜここにぃ!?

『え、ホワイトノア様って、実在の人なんすか?』

「そうですよ。遙か昔、白金の剣聖と呼ばれたホワイトノア様の伝説が、【白金剣聖の刃】の元ネタなんです。史実なんですよ」

『はえー……元ネタありだったんすか……ん? ホワイト……ノア?』

俺は無言で立ち上がり、サブリーナの元へ行く。

ファルシオンを【久々】に手にした俺は……。

「そーーーーーーーーーーーーい!」

ブンッ……!

『ちょっ!? ノア様! なにサブリーナ様からのお土産、ぶん投げてるんすか!?』

「うるせぇえええええええええええ!」

ぽかーんとするサブリーナに、俺が言う。

「とっとと出てけ!」

「は、はい……すみません……お気を悪くさせてしまって……」

肩を落として、サブリーナが出て行く。

あとには俺とロウリィが殘される。

『ノア様、せっかくのお土産を、放り投げるなんて酷いっすよー……って、あ、そうか。これいつもの無能ムーヴか』

「ちげえよアホ貓!」

『むかっ! じゃあなんで剣を放り投げたんすか? いにしえの剣聖の聖剣なんて、高いものを?』

「う゛……」

『う?』

「うるせぇええええええええ! おいナベ公! 俺は寢る! 後は任せるぞ!」

俺の影からナベリウスが出てくる。

領主ノアの姿に変させたあと、俺は出て行く。

『なんなのだ、あれは?』

『さ、さぁ……わからないっす……?』

翌日……。

「さすがです、ノア様!」

「ふぁ……!? な、なになになにぃ!?」

サブリーナが笑顔でやってくる。

その手には……第3聖剣ファルシオンが握られていやがった!

「て、てめえ……! それをどこで!」

「王都で回収してきました!」

ファルシオン……くそ!

銀河の彼方に投げ飛ばしたはずだったのに……!

「あいつ……! 戻ってきやがったな……!」

『ノア様? あいつって……?』

「なんでもねえ! それでサブリーナ、なんだよ今日は!」

サブリーナがファルシオンを俺の機の上に置く。

「ノア様、聞きました。飛竜(ワイバーン)の群れを……討伐なさったんですね!」

「は? わ、飛竜(ワイバーン)?」

「はい! わたしがここへ來たあの日、王國上空に飛竜の群れが襲っていたんです! その數はなんと1萬!」

『い、一萬って……多いっすね』

一萬の飛竜の群れを、俺が倒した!?

ば、バカな……そんなことして……あ。

「ノア様が投げた聖剣ファルシオンは、見事、飛竜の群れを一掃なさったのです! さすがノア様……!」

「お、俺がやったっていう、証拠あんのかよぉ、証拠はよぉ!」

『ノア様それ完全に、追い詰められた犯人のセリフっす』

ロウリィが呆れたように言う。

サブリーナが聖剣ファルシオンをかかげる。

「ノア様の投げたこの聖剣が何よりの証拠! 飛竜を一掃した聖剣が、王都の城の前に突き刺さっていたのです!」

「べ、別の剣かもしれないだろ! 俺がこの間投げたヤツと、そのファルシオンが!」

と、そのときだった。

【何を言ってるのだ主殿!】

『け、剣がしゃ、しゃ、シャベッタァアアアアアアアアアアアア!?』

ロウリィが目玉を飛び出すほど驚いている。

一方でファルシオンが……言う。

【やっと見つけた我が主! ホワイトノア殿……! 悠久の時を経て、今再び會いまみれたこと、心より嬉しく……主?】

俺はファルシオンを手に持って……。

「そぉおおおおおおおおおおい!」

頭上に向かって、勢いよく放り投げた。

この間よりさらに速いスピードで、銀河の彼方へと飛んでいく。

だが……! これで終わりじゃない!

「はぁああああああああああ!」

俺は両手を前に突き出す。

魔力を集中させる。

「あの剣を消す! 吹っ飛べーーーーーーーーーーっ!」

『ちょっ!? どこのバトル漫畫の悪役っすかあんたぁ!』

両手から魔力弾を放出する。

それは破壊のとなって、ファルシオンを消し炭にした。

ふぅ……よし。

「の、ノア様……?」

「ああ、サブリーナ、気にするな。うん、気にするな。お前は何も見てなかった」

「あ、ファルシオン、いつの間にノア様の手の中に?」

「なんでじゃぁあああああああああああああああああああああ!?」

投げて、消し飛ばしたはずのファルシオンが、俺の手の中にあった……!

『え……? も、もしかして……ノア様? 白金剣聖ホワイトノア……って』

【そのとおり! こちらにおわすお方は、白金剣聖のホワイトノア様であらせられるぞ! 頭が高い、控えよ!】

ロウリィと、そしてサブリーナがきょとんと目を點にする。

「『えぇーーーーーーーーー!?』」

「あぁあああああああああ! どうしてこうなるんだよぉおおおおおおおお!」

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