《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》54.第七王子は皇子暗殺の首謀者を突き止める

帝國に留まっている俺たち。

俺に割り振られている部屋にて。

「『うぅ~……あたまいたいぃ~……』」

俺と白貓ロウリィは、ベッド上でダウンしていた。

『お前ら、昨日酒飲み過ぎなんだよ』

黒犬ナベリウスが、やれやれとため息をつく。

俺、ロウリィ、ナベリウスは一緒に酒場で飲んだのである。

『のあさま~……二日酔いに効く魔法で、ぱぱっと直してくださいっすよ~……』

『いや……そんな都合の良い魔法なんてないだろ……』

「ふぅ……すっきり! え、なに?」

『あるのかよ!』

ナベリウスが目を丸くしてぶ。

「いや、なかったから作った。今」

『……魔法をゼロから創造できるの、世界でおまえだけだぞ』

「はー? そんなことないだろ?」

『だから、貴様がいた時代と今は違うんだってば!』

一方で、ダウン中のロウリィが、俺に懇願するように言う。

『ノア様~……わたしにも、二日酔いに効く魔法を~……』

「どうしようかなぁ~。助けてやっても良いけど、高くつくぜぇ~」

『く……背に腹はかえられないっす……』

ぱちんっ、と俺は指を鳴らす。

ロウリィの顔が戻る。

「では1週間、俺がりたいといったときに、好きに球をらせる権利をもらおうか!」

『なっ!? なんて高い代価を要求するんすか! 鬼! 悪魔!』

「ふはは! 罵倒が心地よいわ! おらぁ! 球ぷにらせろー!」

『いやーん、のあ太さんのえっちぃ~』

俺がロウリィの球をぷにってると、ナベリウスがため息をつく。

『なんだこの茶番……』

と、そのときだった。

「ノア・カーター様。失禮します」

帝國の城で働くメイドだった。

「なんだ? 俺は見ての通り忙しいんだ」

『どう見てもサボってるようにしかみえないっすけどね』

『寢転んで白貓のってるだけだからな』

うっさいよ!

「で、なに?」

「皇帝陛下がお呼びです。でのご相談とのことでした」

うへぇ~……めんどくさそー……。

「ろりえもん、代わりにいってきてぇ」

『ダメっすよノア様。いま皇帝陛下のもとでご厄介になってるんすから。一宿一飯のお禮くらいはするほーがいいっす』

「チッ……しかたねえなぁ……」

嫌でしょうがねえけど、俺は著替えて、皇帝のもとへいく。

「ノア殿、およびだてして申し訳ない」

「いや、いいよ。んで、なに?」

俺たちがいるのは、皇帝の執務室だ。

俺と皇帝、そしてメイシェン姉上がいた。

なんで姉上が?

「実はノア殿に、ガルシア暗殺未遂の、首謀者を見つけてしいのだ」

「暗殺未遂? え、ガルシアにそんなことあったっけ……?」

はぁ……とナベリウスがため息をつく。

『この間、皇子の誕生日あったでしょ? そのときに、襲撃者が皇子を連れ去ったじゃないっすか』

あー、あったね、そんなことも。

『……鳥頭。あ、あ、やめてっ、尾を持ってぐるんぐるんしないでーーーーぬわぁああああああ!』

ぽいっ、と放り投げると、ロウリィが空中に飛んでいく。

そこへ、ナベリウスが影の尾をばして、白貓を回収した。ちっ、余計なことを。

『ナベちゃんないす! だいすきー! ノア様のあほー!』

ペットどもは無視して俺が言う。

「暗殺未遂の犯人なんて、部外者に頼むのはお門違いだろ。そーゆーのは自分ところで調べるべきじゃねーの?」

「無論だ。しかしいくら調べても、首謀者が現れないのだ」

するとメイシェン姉上が一歩前に出て頭を下げる。

「ノア、お願いします。どうか……」

姉上が頭を下げるのは、ガルシアの奧さんがメイシェンだからだ。

『ノア様、どうするのだ? ガルシア皇子はいちおうお前の義兄、が困っているぞ?』

『でもこの人クズだしなぁ、どうせめんどくせって言って拒むっすよ』

ふっ……。

「わかった。このノア・カーターが、犯人を見つけてあげましょう!」

「「おお……! さすがノア(殿)!」」

メイシェン姉上と、皇帝が目を輝かせる。

「では調査にる。あとは俺に任せてくれ」

「頼むぞ、ノア殿!」

俺はペットたちを連れて部屋を出る。

廊下を出て、犯行現場(パーティ會場)へと向かう。

ロウリィがひょいっ、と肩に乗っかる。

『無能ムーヴ?』

「もちのろん」

『はー……あんたも好きっすねぇ』

『なぁロウリィ、どうしてこの男は、結局失敗するのに、無能ムーヴするのだ』

ナベリウスが首をかしげる。

『趣味なんすよ』

『ああ……そういう特殊な……』

「じゃかーしー! 今度こそ! 俺の無能ムーヴは功するのだ! 聞きたいか、俺の作戦!」

だがナベリウスもロウリィも、興味なさそうに言う。

『『いや、別に』』

「なんで!?」

『だってどーせ功するんでしょ~?』

『二秒くらいで犯人見つけそう』

ふっ……わかってねえなペットどもは。

「俺は……犯人を、見つけない!」

『『犯人を見つけない……?』』

「そ。正確に言えば、真犯人を見つけない。テキトーなヤツを犯人に仕立て上げる」

『あー……なるほど。間違った人を犯人として指摘して、実は違いましたってやって、信頼を落とす作戦なんすね』

「ふっ……さすがロウリィ。俺の理解者はおまえだけだぜ……」

『ふっ……當たり前じゃないっすか、わたしだけっすよ、ノア様のバカにつきあってあげるのは……』

「ロウリィ……」

『ノア様……』

『おいなんだこの空気。さっさと現場に行くぞ』

『「うぇーい」』

ガルシア皇子暗殺を手引きした、首謀者を探し當てることになった。

『でも今回の作戦、らくしょーっすよね。だって、てきとーなひとに、こいつ犯人なんですーって言えばいいんすから』

「ふっ……甘いよロリソンくん」

『ロリソンくん!? だれ!?』

「あのね、テキトーじゃだめなんだよ」

『どういうことだ?』『ねえロリソンくんってなに!? 自分魔神っすよ扱い軽くね? ねー!』

しゃーしゃーうるさい白貓に、マタタビを放り投げる。

『ふにゃ~~~~~~~~ん♡』

「つまりだ、テキトーに指摘した犯人が、実は真犯人でした! ってなること、なくはないだろ」

『まあ……今までのあんたのパターンなら、あり得るな。結構あったし』

「だろ。つまりだ。俺がするべきなのは、完璧なアリバイのある人を探し出すこと。100%犯人じゃないと、確信を得た人。そいつを見つけ出して、犯人にすれば、完全に間違えることができるだろ?」

『はぁ……まあ……そこまでする必要あるのか?』

「あるの。どうにも俺は、なんかテキトーにやったことが、全部裏目に出て大功しちゃうんだから。大失敗するためには、真剣に、失敗の布石を打たないとだめなの!」

『その熱をほかにむければいいのでは……なあロウリィ』

『にゃんにゃーん♡ ふにゃにゃ~~~~~ん♡』

『こいつ完全にマタタビに酔ってやがる……!』

ペットどもをよそに、俺はパンッ……! と手を打つ。

俺の足下に、巨大な時計盤が出現する。

『な、ナニヲするのだ……?』

「タイムスリップ」

『ふぁ……!?』

時計の針が逆回転し出す。

會場のなかの景が激変する。

全ての出來事が逆巻いて……やがて、暗殺未遂の事件の夜まで、戻る。

『なんてことだ……本當に時間が戻っている……』

「え、おまえ何驚いてるの? 時間戻したくらいで」

『時間魔法の使い手は、この世界には存在しないんだよ! 超高度な古代魔法なんだよ!』

「ふーん。あっそ」

ちなにみ俺たちの姿は、見えないように不可視の魔法をかけておいた。

そうしないと、この時代の俺たちとバッティングするからな。

『時間を戻したのはわかった。が、ここからどうするんだ?』

ナベリウスが問うてくる。

俺はパンッ、と柏手を打つ。

すると周囲に、青い白いが、無數に広がる。

もちろん會場のやつらは気づかない。

『これは?』

「低級の霊。こいつらを、パーティ會場に來てるやつら全員に1人1匹ずつつける」

『なるほど……監視させるわけだな』

「そのとーり。んで、怪しいきを【してないやつ】が、俺の探し求める人材ってわけ」

ナベリウスは、俺に呆れたような顔を向ける。

『なあノア様……? そのやり方なら、真犯人、わかるのでは?』

「まあそうだな」

『なんでそれしないんだ?』

「それやったら有能扱いされちゃうでしょ!?」

『……何かが本的に間違っているような。なぁロウリィ、お前もそう思うだろ?』

『にゃんにゃーん♡ にゃにゃんにゃーん♡』

『こいつまだマタタビ酔いしてやがる……!』

まあペットどもの手など借りない。

「まあ見てろ。俺がアリバイのある人を捜し當てて、偽の犯人に仕立てあげてやるぜぇぇ!」

「ということで、犯人はあなたです、メイシェン姉上」

現代に戻ってきた俺は、皇帝の城へとやってきた。

皇帝の私室にて。

俺は、メイシェン姉上を指さして言う。

「ば、バカを言うな! ノア殿!」

皇帝が慌てて言う。

「そ、そうだっ。めいしぇんが、はんにんなわけがない!」

ガルシア皇子は、聲を荒らげる。

『そーすよ! メイシェンさんは、ガルシア皇子の奧さんなんすよ!? それにノア様のお姉さんだし、犯人なわけないじゃないっすか!』

そのとおり。

100%犯人じゃない人だ。

過去で調べたから、この人はあの場において、完璧なアリバイがある。

『ロウリィ。忘れたのか、ノア様は犯人じゃないヤツを探してたんだぞ』

ナベリウスがため息をつく。

『いやでも! だからって自分のお姉さんを犯人に仕立て上げるなんて! ひどいっすよ!』

「くそっ! なぜわかったぁ!」

「「「へ……?」」」

メイシェン姉上の顔が……溶けた。

『顔が溶けたぁあああああああああ!?』

メイシェン姉上【だった】ものは、泥へと変化した。

そこにいたのは、人間サイズの泥の塊だった。

「この魔族、【マッド・メタモン】! 変裝の達人と言われたわたしの変裝を見抜くとは! やはりノア・カーター……恐るべし!」

『魔族がメイシェンさんに化けてたんすか!』

『なぁなんでこの魔族は、自分でタネを証してるのだ? こう思うオレ様がおかしいの? なあ?』

くそ!

なんてこった! メイシェン姉上に、まさか魔族が化けてたなんて!

「捕らえろ! 魔族だ!」

「「「ハッ……!」」」

城の兵士達がマッドメタモンを取り押さえる。

「さすがノア殿。見事な名推理であった! やはりノア殿はすごい!」

「くそっ! どうしてこうなるんだよぉおおおおおおおお!」

『ちなみにノア様の姉上は、遠く離れた森の、窟の中で、後日発見されたそうっす』

『どうやらパーティが始まる結構前かられ替わっていたらしいな』

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