《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》57.第七王子は邪悪なる存在を滅する

俺、ノア・カーター。

帝國でのうのうと甘いを啜っていた。

しかし何を勘違いしたのか、領民どもが帝國に向かって進軍しているらしい。

場所は、俺にあてがわれている寢室にて。

『どーすんすかノア様!』

白貓ロウリィが、慌てて言う。

『サラ様たち領民が、ノア様を取り返しに、軍を率いてやってきちゃったっすよ!』

黒犬ナベリウスが、ため息をつく。

『領地への連絡を怠った、ノア様の完全な落ち度だけどな。なんだよ、悪の帝國に捕まった領主を取り返すんだって。全然のんきにプールで遊んでたし……』

さてさて、と。

狀況はわかった。じゃあこれからの方針を考えないとな。

「しかし……くくく! 天は俺に味方してるようだな」

『ほぇ、どーゆーことっすか?』

「良いチャンスじゃないか。カーター領をぶっ潰す……!」

『『はぁあああああああ!? か、カーター領を、潰すぅううううう!?』』

驚くペットどもに、俺は説明する。

「現狀、カーター領軍は帝國に戦爭ふっかけようとしてるんだ。つまり逆賊だ。なら潰したとしても大義名分はり立つだろ?」

『いやノア様……さすがに、だって……あんたの領地と領民っすよ? さすがに潰すのは……』

「ま、俺も鬼じゃあない。領民は殺しはしないよ。捕縛するだけ。け・ど! 帝國に弓を引いたんだ、領地は取り潰しになるだろう……くくく! 愚かな領民どもめ! 帝國に逆らうとどうなるか教えてやろう!」

『いつも思うが、ノア様はどうして敵サイドの発言するんだ?』

『ほら、闇の前世もってるから、もれちゃうんすよ、闇が』

「じゃあかしー! さて……じゃあ作戦はっぴょうしまーす」

俺はペットどもに言う。

『え、作戦??』

「そ、カーター領を確実に潰すためのムーヴよ」

『いやノア様……ほっとけば帝國軍は、戦力差があるんだから、領民達に勝つだろ』

ナベリウスが言うことももっともだ。

「しかーし! 念には念をれておきたい。確実な勝利のために、俺が出向く!」

『やめといたほーがいいっすよ~。それやって上手く行ったためしないじゃないっすかー』

ロウリィが注意してくる。

「まあ聞け。カーター領を潰すだけじゃ俺にうま味がない。だから手伝う」

『はい失敗フラグを著実に建設してるっすー』

「作戦はこうだ。【邪教徒どもを領主さまが自ら出向いて倒しちゃうぞ★】作戦だ」

邪教徒、つまりカーター領軍のことだ。

「そうと決まれば、皇帝のもとへ行くぞおまえら!」

『『へーい』』

気乗りしないじで、ペットどもが俺の後についてくる。

俺は皇帝の居る執務室へとやってきた。

「おお! ノア殿!」

皇帝は俺に気づくと、駆け足で寄ってくる。

「ご安心を。我ら帝國軍が、ノア殿を必ずやお守りいたすぞ!」

「いや、皇帝陛下。それには及ばん。なぜならこのノア・カーター! この手で自ら、領民達を倒して見せよう!」

「な、なにいぃ!? ノア殿が出軍するということかっ?」

驚愕の表を浮かべる皇帝に、俺は説明……というか、噓を言う。

「ええ、実は……カーター領軍たちは、取り憑かれているんだ」

「と、取り憑かれてる……? いったい、何に……?」

一拍おいて、俺は言う。

「【邪悪なる意思】に」

「邪悪なる意思だと!?」

『まー、たしかに。みんなノア様を狂信してるっすから、邪悪なる意思って言っても過言でもないかもっすね』

ロウリィが呆れたように言う。

「我が領民たちはみな、邪悪なる意思によってられている。それに気づけなかった俺の落ち度だ……だから、俺が全てのケリをつける」

心したように、皇帝がうなずく。

『で、本音は?』

ロウリィが念話(テレパシー)で聞いてきた。

『萬一、億が一、領民たちが勝たないように、俺が出向いてぶっ倒す。領地は潰れる、悲劇を演じることで皇帝は俺に同し、さらに甘やかしてくれる。一方で領民を倒した悪人として一部から無能扱いもされる。完★璧』

ふふん、どうやぁ~?

ナベリウスがロウリィに、呆れた調子で言う。

『ノア様ってもしかして最低なのか?』

『え、そうっすよ、何言ってるのナベちゃん、今更』

『こんなのが王子なんて世も末だな』

『まったくっすよね~』

『『ねー』』

魔法でペット二人を、大車の刑に処しておいた。

「ノア殿……この件は、ノア殿に一任いたします」

皇帝が俺に頭を下げる。

「おう、任せておけ。帝國軍の恐ろしさ……奴らに教えてやろうじゃあないか」

『いやあんた敵軍の將っすからねほんとは』

カーター領軍どもは、帝國の外、草原にいた。

領民だけでなく、やつらモンスターまで駆りだしてやがる。

まあ領民の中には魔王がいて、そいつがモンスターを率いてるんだろう。

『ノア様だいじょうぶ~? やめといたほうがいいっすよー』

ロウリィは白竜狀態。

俺は彼の背中の上に乗っている。

「うっせ。黙って見てろ」

俺は息を吸い込んで、眼下の領民どもに言う。

「全員、注目ぅううううううううううううううううううううううう!」

俺が聲を張り上げると、領民達は、頭上に現れた白竜と俺に気づいたようだ。

「ノア様だ!」「ノア様ー!」「良かった無事で-!」

領民達が歓聲を上げる。

みな笑顔だった。

『あの人ら本気でノア様心配してるっすよ? 良心は痛まないんすか?』

「ぜんぜん★」

『マジでクズっすねあんた……!』

ちら、と俺は背後を振り返る。

カーター領軍とにらみ合う位置に、帝國軍も控えている。

俺がやると言った、帝國側も念には念をれて、と軍を敷いてる。

だがまあ、俺がそうなるよう仕向けたんだけどね。

ほら、俺の活躍を、ちゃんと皇帝に伝えてもらわないといけないからさ。

「おうおうよく聞けおまえら!」

びしっ、と俺は領民達に指を指す。

「邪悪なる意思に支配されてる、邪教徒どもめ!」

『その原因ノア様なの、わかってる?』

うっさいわ! わかってるよ!

「じゃ、邪教徒……?」「誰のことだ……?」「ノア様は何を言ってるのだ……?」

眼下のカーター領民たちが揺してる。

まあ急にそう言われたらそうなるわな。

けどお前らやってること、完全に邪教徒だからね。

「帝國に弓引くなんて普通考えない。つまり、お前らは今、正常な狀態じゃない!」

「そんなこと、ありませんわ、ノア様!」

領民軍たちの中から、婚約者の、サラが現れる。

「わたくしは! ノア様を純粋にお慕いしているからこそ! 行に移したのです! 邪悪なる意思になんて取り憑かれてません!」

『サラ様……おかわいそうに。した男がこんなダメ男で……』

俺は背中を思い切り踏んづける。

「サラ。お前が一番取り憑かれてるんだよ。今……俺が目を覚まさせてやるぜ」

俺は手を上げる。

頭上に巨大な魔法陣が展開する。

『何するんだよ、ノア様?』

俺の影から、にゅっ、と黒犬(ナベリウス)が顔を出す。

「ナベ。顔引っ込めとけ。消し飛ぶぞ?」

『え……?』

俺は魔法を発させる。

「【神聖斷罪(ホーリー・ジャッジメント)】!」

カッ……!

凄まじいレベルの、の魔法が発する。

それは大軍を率いていた領民達を、一瞬で包み込む。

『ほげぇえええええええ!』

『ナベちゃんが苦しんでる……! ノア様、これは?』

「ん? 目くらまし。り出した方が、それっぽいだろ」

まばゆいが領民達を包んでいる。

「さぁ目を覚ませ、すべき領民たちよ! 邪悪なるものの意思から、解放されるのだ!」

と、そのときだった。

【なぜバレたぁあああああああ!?】

「『『ふぁ……!?』』」

が収まると同時に、領民達のから、黒い靄が発生する。

それは頭上で集まって、雲のように結合し、やがてそれは人の形へと変わる。

『! ノア様、あいつ邪神だぜ……!』

「はぁ!? 邪神ぅ!?」

『ああ。オレ様は悪魔だから知っている。。やつは邪神の一柱、人の心に巣食う邪悪なる存在!』

『「まじで邪悪なる意思に支配されてただとぉおおおおおお!?」』

俺とロウリィ、驚愕する。

そりゃそうだろ! テキトーに言ったのに、まさかガチで取り憑かれてるって思わないじゃん!?

邪神はふらふらと、俺の前にやってくる。

【くそっ! ノア不在で開いた心のを、われが埋めて支配し、この世界を支配する作戦が! まずはこいつらを使って、帝國から潰す作戦が! なぜバレた!】

『うわー、この邪神自分からペラペラと作戦語ってるー。これ負けフラグっすよー』

バレたもなにも、最初から気づいてないんだけど……。

「おお! やはりそうであったのか!」

俺たちの背後で、皇帝たちがぶ。

「ノア様の言っていたとおりだ! 悪いのは邪神! カーター領の民は、すべき隣人だ!」

皇帝のかけ聲と供に、帝國軍たちがうなずく。

【くそっ! こうなったら……いでよ、眷屬ども!】

邪神が眷屬を召喚。

草原に黒い獣たちが現れる。

「帝國のみなさん……! お聞きください!」

サラが前に出て言う。

「我らノア様をするもの! 帝國の皆さまに弓を引く気はございません! ただ……ただわたくしの、夫を帰してほしいだけなのです!」

「やはりそうか! 見事な夫婦……服した!」

『ノア様ー、完全に蚊帳の外っすねー』

「うん……もう……だめだわこれ……」

皇帝はうなずくと、騎士達に言う。

「みな! カーター領民たちと手を組み! 邪悪なるものを退治するぞ! 抜剣!」

「「「おう!」」」

一方で、サラはうなずくと、領民どもに言う。

「みなさん! 帝國と供に戦いましょう! 我らの心を弄んだ……真に悪なる存在と!」

「「「はいっ……!」」」

二大勢力が、共通の敵である邪神の眷屬に襲いかかる。

ちゅどーん!

どがあああああああん!

ずどどどどどどどどどどど!

「ロウリィ……俺、どこで間違ったのかな……」

俺は白竜の背の上で三角座りしながら、躙劇を見てることしかできない。

『だからー、最初から余計なことせず、黙って見てりゃ良かったのに〜』

「くそぉおおおおおおお! どうしてこうなったぁああああああああ!」

その後、カーター領軍と帝國軍は、協力して邪神と眷屬を討伐。

両軍はより強固に関係を結び、二つの軍の架け橋になった俺は、伝説になるのだった……。

『オレ様も邪神も、どうしてこんなアホに負けたんだろうな……』

『ほんと、それな』

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