《【書籍化】【SSSランクダンジョンでナイフ一本手渡され追放された白魔導師】ユグドラシルの呪いにより弱點である魔力不足を克服し世界最強へと至る。》29.食事

「......けれど......それだけではなく、村ではもうひとつ不思議な事件も起こっていたなんて......」

「うん......神隠し、か」

話によれば、村人が突然消える事が幾度となくおこっているらしい。

ワーウルフが現れはじめた頃かららしく、その間に消えた人の數二十八人。、子供には被害は無く、消えたのは全て男。悲鳴も痕もの一部も無く、気がつけば煙のように消えているという。

その為、ワーウルフとは無関係との話だが。

「こ、忽然と人が消えるだなんて、不思議な話ですね......。 神門があるので、外からはワーウルフも侵できないはずですし......」

「うん......」

その時、コンコンとドアがノックされ、扉を開けるとそこには宿屋の店主さんが立っていた。

「あ、すみません、お客様。 お食事のご用意が出來ましたので、ご都合の良い時間にお越し下さい」

ああ、食事か。って、あれ?

「あ、えと......食料不足だって聞いていたんですけど......大丈夫なんですか?」

その言葉を聞いた店主はキョトンとした顔をした後、にこりと笑みを浮かべこう言葉を返した。

「そう、ですね。 確かにこの村は食料不足に陥っています。 でも、せっかく來てくださったんです。 どうぞ食べていってください」

「すみません、ありがとうございます」

「......あ、ありがとうございます」

食卓へと行くと、用意されていた食事は、小さなパンと量の野菜サラダ、焼かれたがふたきれ。これが今だせる一杯の食事なのだろう。ありがたくいただこう。

......。

しかしさっきから視線をじるのは気のせいではないはず。

ふと向けた視線の先、扉のから子供二人がよだれをたらしていた。

「ご、ごめんなさい」

「いいにおいで、つい......ごめんなさい」

おもしろい合に慌てるシュウとリズ。

「君たちは食事は済ませたの?」

「う、うんたべたよ」

「パンたべた」

「......パンだけ?」

「うん、あまりたくさんたべられないんだって」

「でもがまんしてたら、たくさんたべられるようになるって」

ぎゅるるるー。

リズの腹のねが響いた。

「あっ」

「あー!」

この子達も食糧不足で、まともに食べれてない。當然といえば當然か......空腹だとなかなか眠れないんだよな。

二人の姿に、僕は奴隷時代を思い出す。

あの頃は最低限の食事しかあたえてもらえなくて、常にお腹をかせていた。空腹で眠れない日もあったけど......でもいつも、あの子が食べを譲ってくれた。

男の子はたくさん食べなきゃおっきくなれないよ、なんて適當な理由をつけて。

は、いつも僕を気遣ってくれていたんだ。懐かしいな。

「ふたりとも、こっちにおいで」

ふたりを僕の席へまねき座らせる。ふたりはあたまに?を浮かべていたが、僕の一言でそれも一瞬で消える事となる。

「ふたりともこの僕の食事を食べてくれないかな?」

「「ほ、ほんとうに!?」」

「僕、お腹が空いてなくてさ......ただし、ひとつだけ約束があるんだ。 守れるなら食べても良いよ」

「な、なんですかっ」

「なーにっ?」

僕が人差し指を立てて、言う。

「ふたりで仲良くわけること、それだけ。 できる?」

「「うん!!!」」

二人の表がパァっと明るくなり、元気に返事をした。

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