《【書籍化】【SSSランクダンジョンでナイフ一本手渡され追放された白魔導師】ユグドラシルの呪いにより弱點である魔力不足を克服し世界最強へと至る。》59.弱さ
靜かに鳴る、彼のの音。
トクン、トクンと彼の心臓が脈を打つ。
「な、なに......え、リアナ?」
訳もわからないまま、顔を抱かれている僕。
するとリアナは無言で頭をなで始めた。
「......え、え」
「レイ様はご立派です」
「はい。 これまで、お一人で......その辛く寂しい道のりを耐えてきたのですから」
辛く、寂しい......
確かに、パーティーに見捨てられた時は、辛く寂しかった。
いや......違うか。
冒険者時代での日々も雑用をこなしその傍らで魔法の勉強、本を読み戦闘での立ち回りの勉強。
皆が寢靜まっても僕は一人燈りを頼りに......ああ、懐かしいな。
――ポタッ
頬を伝い、落ちる雫。
僕は......そうか、寂しかったんだ。
自己を保つために、守るために記憶の奧に封じ込めた。
それがになる。
「私は......レイ様の味方です。 ど、奴隷なので當然ですが......でも、レイ様の事を心より慕っております」
の奧が、心が溫かい......。
「ありがとう、リアナ」
抱き締めている腕がほどかれ、彼の顔を見る。
にっこりと笑う彼は、とてもしかった。
「......あ」
だが、リアナは自分がしたことに気がつき一瞬固まると、サーっと青ざめ始めた。
勢いで抱きしめたのだろう、激しく揺するリアナ。
目が泳ぎまくっている。
「ご、ごごご、ごめんなさいっ、私......ご主人様になんて事を」
「ううん、ありがとう。 君の優しさに救われたよ」
「い、いえ......」
恥ずかしそうにリアナは、ぎゅっとベッドのシーツを握りしめる。
「ところでリアナ」
「はい」
「もう僕に対して様付けるのやめない?」
もう僕はリアナを家族のように思っている。彼が僕を同様に思ってくれているのかは分からないけど、これは僕のわがままだ。
彼と対等なところに居たい。
目が點になっているリアナ。ゆっくりと口を開く。
「......それって」
「うん」
「ご主人様では無くなる......私、捨てられるんですか?」
「うん......え、いや違うよ!?」
どうしてそうなった!!
「その、君の言った通りだよ......僕は寂しいんだ。 だから、君には対等な立場になってしい。 もっと近い所に居てしいんだ......これは、僕のお願い」
本心をぶつける。
「......無理かな?」
視線を戻すと、リアナは真剣な眼差しで僕を見つめていた。
「わかり、ました......よ、よしっ」
うんうんと頷き、すうっと深呼吸した。
「?」
「わかりました。 私、何があってもあなたの側にいます......レイ」
顔を赤らめたリアナは潤んだ瞳でこちらを見つめていた。
「うん、ありがとう。 リアナ」
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