《【書籍版発売中!】ヒャッハーな馴染達と始めるVRMMO》第29話 混ぜるな危険は混ぜる前も危険

リクルスがアッシュと共(狂)闘を繰り広げているのと同時刻。

比較的町に近い場所で迫り來るモンスター達を焼き払っている緋がいた。言わずもがな、カレットである。

「【ファイアストーム】!むぅ、やはり範囲攻撃がないな……」

広範囲を焼き払う炎の竜巻が哀れにもその範囲にってしまった《スタンピード・ウルフ》や《スタンピード・ラビット》、更には《スタンピード・バイソン》すらも一瞬で消し飛ばし、ポイントに変えていく。

アッシュの回転斬撃よりも広範囲を巻き込み、更には緋杖にローブの効果によって超高威力で撃ちらしも無く殲滅出來るカレットの【ファイアストーム】だが、いつの世にも強い技には欠點が付き

「むぅ、またか……」

カレットが戦績が映し出されるウィンドウを眺め呟く。そこにはカレットの【ファイアストーム】での殲滅が抱えている問題點が映し出されていた。

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兎炭(とたん)×8《ポイント換算》

狼炭(ろうたん)×5《ポイント換算》

牛炭(ぎゅうたん)×2《ポイント換算》

暴走兎……10P×8

暴走狼……20P×5

暴走牛……30P×2

一撃討伐……50P×6

討伐距離……13m×1P

アイテム換算

-20P×15

合計 253P

総合 1224P

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そう、あまりの火力故にモンスターの素材を全て消し炭にしてしまってるのだ。それもマイナス換算だからタチが悪い、0ポイントなら今回も500ポイント越えの戦績を叩き出せたのだが……マイナス換算のせいで200強しか稼げていない。

しかし焼き盡くさない様にし弱めの技を使おうとすると範囲攻撃が無いせいで1ずつしか相手に出來ず、そのうち押し切られてしまう。

ならばと『風魔法』の【ウィンドストーム】を使ってみても火力不足でうちらしが多數出てしまい、更にはヘイトがカレットに向かってるせいで袋叩きにされてしまう。

「ならば數でカバーするまで!【ファイアランス】!【ウィンドランス】!」

しかし考えた所で範囲攻撃が増える訳では無い、ならば數でカバーする!と言う作戦に出るのは當然と言えば當然なのかもしれない。

【ファイアランス】が《スタンピード・ウルフ》の頭部を焼き付くしながら突き進み後方にいた數匹のモンスターも巻き込んでぜ、【ウィンドランス】が數匹の《スタンピード・ラビット》を突き抜け後方へ飛んでいき、《スタンピード・バイソン》にぶち當たり霧散する。

『ブルモォォォォォッ!』

ぜろッ!【ファイアボム】ッ!」

カレットへ狙いを定め、突進してくる《スタンピード・バイソン》の進路に【ファイアボム】を置く(・・)。

ドガァァンッ!

『ブモォォォッ!?』

自ら【ファイアボム】へ突っ込んだ《スタンピード・バイソン》はその頭部を焼き付くされ、となってカレットの戦績に牛炭として現れる。

「やはりこっちの方がよくダメージが通る」

カレットが言うように彼は現在、北西ーー魔法が効くエリアで火炎と風刃を撒き散らしている。とは言ってもそれは彼だけではなく、辺りを見れば、炎が《スタンピード・ウルフ》を焼いたかと思えば水弾が《スタンピード・ラビット》を穿(うが)ち、土槍(どそう)が《スタンピード・バイソン》を串刺しにする橫ではいくつもの風刃が《スタンピード・ベア》を切り付ける。

魔法有利地帯、つまりは魔道士の聖地だ。辺り一面を魔法が駆け巡りモンスターを殲滅し、不幸にも至近距離に近付かれてしまった魔道士が悲鳴と共に弾け飛んでいく。

「それはいいのだが辺りがチカチカして目に悪そうだ」

モンスター襲撃の波一旦切れたタイミングでカレットがふぅと息を吐きながら辺りを見渡し呟く。

魔法は普通、理攻撃と違い鮮やかなエフェクトが煌めくだ、そしてそれは普段はたいして気にならなくても、一定範囲に何十、何百と集まれば話は別だろう。

とりどりのエフェクトが地味に目にダメージを與えて來るのだ。そしてそれはこの場にいるプレイヤー全員が共通して抱えている問題でもあった。

「そうねぇ……確かに目に悪そうよねぇ……」

「ぬっ?誰だ?」

カレットが零した獨り言に返事をする様にすぐ側から響いた聲にカレットが振り返ると、そこには銀の髪を腰までばし、鮮やかな黃緑と水のオッドアイを持つ、おっとりとしたがいつの間にか佇んでいた。

「そうねぇ、まずは名乗らないと失禮よね、私はノルシィよ、よろしくね?」

「そうか、私はカレットだ!」

「カレットちゃんの火魔法は凄いわねぇ、私も火魔法は使えるけど威力は完全に負けちゃってるわねぇ」

おっとりとした聲で會話を続けるノルシィの言葉にカレットが反応を示す。近寄ってきていた一団に【ファイアストーム】を打ち込み全てを消し炭に変えた後に問いかける。

「ぬ?ノルシィも火魔法使いなのか?」

「いいえ、基本的に全部使えるわよ、ただ回復魔法と付與魔法は使えないわねぇ、流石に魔法六つも取ってるとそっちまで手が回らなくなっちゃうのよねぇ」

「なるほど、トーカと真逆なのだな!」

ノルシィの言葉にカレットがなるほどと言った様子で頷く。

傍から見れば穏やかな會話だが辺りには大量のモンスターに散する魔法。更には會話しながらもちょこちょこ魔法を使っているので空気は殺伐としてしまっている。

「へぇ、トーカって子は回復魔法と付與魔法が得意なのねぇ」

「そうだな……よく使ってる魔法はその2つだぞ、トーカが気になるのか?」

「いえ?気になるは気になるけどそこまで大した事じゃ無いわよ、ただ自分があまり使わない魔法を使う人はし興味があってねぇ」

「そうなのか……はっ!す、すまないノルシィ!」

會話の途中で急に何かを思い出した様に顔を青ざめさせ、カレットが必死さを滲ませながらノルシィに懇願する。

「あら?どうしたのかしら?」

「トーカに無闇に人にそういった事(スキル構とか)を話すなと言われていて……私のだけならともかくトーカのを教えてしまったと聞かれたら……うぅ……」

いつかの記憶に遡っているのか,腕で自分のを抱きながら震えるカレット、もしかしたらトーカが本気で怒った時の事を思い出しているのかもしれない。

「あらぁ、それは大変ねぇ……そうだわ!カレットちゃん」

「うぅ……どうしよう……ぬっ?なんだ?」

「カレットちゃんは火の魔道士なんでしょう?風魔法は使えるかしら?」

「それなら使えるぞ!それがどうかしたのか?」

答えた後にまた簡単に話してしまったと気付いて頭を抱えるカレット、ただし襲い來る《スタンピード・ウルフ》を正確に【ファイアランス】で焼き盡くしてるので周囲警戒は怠っていない様だ。

「なら私も一つ教えてあげるわ、それで私はそれをバラされたくない、だから私もそのトーカって子の事は誰にも話さない。それでどぉ?」

「それはとても助かるが……良いのか?」

「私は構わないわよ、カレットちゃんの火魔法が素晴らしかったから同じ魔道士としてアドバイスしてあげたくなったり、ってのもあるのよ」

「おおっ!それはありがたいぞ!」

「ふふっ元気ねぇ、それじゃぁよく聞いてね?」

そして數分後、ノルシィから教えてもらった方法を実踐しようとカレットがモンスターの大群へと向き直る。

「頑張ってねぇ〜カレットちゃんなら出來るわよ〜」

「うむっ!行くぞっ!【ファイアストーム】ッ!【ウィンドストーム】ッ!」

眼前に群がるモンスター達、《スタンピード・ウルフ》や《スタンピード・ラビット》、更には《スタンピード・バイソン》に《スタンピード・ベア》すらも巻き込む範囲にカレットが二種類の魔法を連続して放った瞬間。

辺り一面が地獄に変わった。

広範囲を焼き盡くす【ファイアストーム】が全てを消し炭に変える直前に【ファイアストーム】の炎が【ウィンドストーム】に乗せられ、更に広範囲にその威力を薄めながらも撒き散らされる。

瞬く間に辺り一面に広がった炎がモンスターの大群がいる場所を侵食していく。

普段なら消し炭になるまで焼き盡くされるはずのモンスター達だがその炎の威力が【ウィンドストーム】により広範囲にばらまかれ、消し炭にならない程度に火力が薄められているため、消し炭になる事もなくそのに変えていく。

《稱號『風炎使い』を取得しました》

《稱號『大量殺戮者』を取得しました》

《『魔法合』を習得しました》

《レベルが上昇しました》

《レベルが上昇しました》

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暴走兎の角×11《ポイント換算》

暴走兎の×11《ポイント換算》

暴走狼の皮×8《ポイント換算》

暴走狼の牙×8《ポイント換算》

暴走牛の角×12《ポイント換算》

暴走牛の蹄×2《ポイント換算》

暴走熊の爪×2《ポイント換算》

暴走熊の掌×1《ポイント換算》

暴走獣(ぼうそうじゅう)の魔核(まかく)×2《ポイント換算》

暴走兎……10P×11

暴走狼……20P×8

暴走牛……30P×6

暴走熊……50P×2

一撃討伐……50P×16

討伐距離……28m×1P

アイテム換算

10P×11

10P×11

15P×8

15P×8

20P×12

50P×2

50P×2

80P×1

150P×2

合計 2658P

総合 4022P

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「おおっ!これは素晴らしい!ノルシィ!ありがとうだぞ!」

一気に來たインフォメーションと自の魔法が引き起こした現象、そしてなによりウィンドウに表示された己がたたき出した戦績に興した様子のカレットがぴょんぴょんと跳ねながら瞳をキラキラと輝かせてノルシィにお禮を言う。

ノルシィはと言うと、予想以上の結果になったのかおっとりとした笑みをし崩していたが、無邪気にお禮を言ってくるカレットを見て、笑みを戻した。

「本當に凄いわねぇ……私がやってもこんなに凄い事にはならないわよ?」

「むふふっ、火魔法には自信があるのだぞ!」

手を腰に當ててえっへんとを張るカレットとぱちぱちと手を鳴らすノルシィ、地獄絵図の直後とは思えない和やかな空気がそこには形されていた。

「そうねぇ正直予想以上よ、魔法の合なんてそんなに簡単に出來るじゃないってのにねぇ。まさか1回で功しちゃうなんて」

「それは凄い事なのか!?私は凄いのか!?」

ノルシィの言葉にさらにぴょんぴょんのレベルを上げたカレットが嬉しそうに聲をあげる。

実際、魔法の合というのはそのタイミングや相、その他もろもろのシビアな判定があるのだが……実はカレットは以前にも偶然に魔法の合功している事があったのだ。

そして今回手した新たなスキル『魔法合』このスキルは他のスキルと違い、スキルレベルが無いと言う特殊を持っているスキルで、その効果は『オリジナルの合魔法を登録する事が出來る』と言うで、今回の【ファイアストーム】と【ウィンドストーム】の合わせ技も既に登録されている。

カレットは魔道士(火)としての階段を一歩どころか二歩三歩も駆け上がることになったのだ。

正直やり過ぎたはある、ただトーカの方がやり過ぎる気がする

今後その場のノリで々なスキル(複合スキル含む)や稱號、武アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!

おかしい所や誤字字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本當にありがとうございます!

今後も當作品をよろしくお願いします!

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