《【書籍版発売中!】ヒャッハーな馴染達と始めるVRMMO》第278話 『蠱毒・2日目《さぁ、仕返しだ》』

ギリギリセーフ!

ラスト更新!

個々の因縁による擔當の希という若干の不安要素を抱えつつも、【対神楽連合】の作戦會議は進んでいく。

『さて、第1作戦ですが……。この作戦では【カグラ】は無視します』

「「「は?」」」

參謀たるヴァルゴが最初に提示した作戦は、この同盟が幹から揺らぎかねないものだった。

『あぁ、言葉が足りませんでしたね。【カグラ】を倒すどころか拠點にすらたどり著けていないのが我々の現狀です。【庭番衆】のフィロー殿の報提供によれば、森を抜けた先に河が、その先に城が待ち構えているとの事。しかし大半の者が森に阻まれています』

各人それなりに苦い思い出があるのか、それを聞いて苦蟲を噛み潰したように顔を顰める。

マップに乗っていない、突如として出現した森。人呼んで『通れずの森』。死亡しても復活出來るシステムだったから良かったものの、殘機ゼロの一発アウトシステムだったら『帰らずの森』と呼ばれていたであろう要塞は未だその全容を見せていない。

報を統合すると、森の中には獣型のエネミー、多種多様な罠、そして木々に隠れる、ジョブとしてでは無く言葉通りの狩人がいるとの事です。ただでさえ行を制限される森で完全アウェイの戦いは得策ではありません』

「うむ。拙者もかなり慎重にかなければ危なかったでござるな。なんというか、あの森は々と悪質でござる。恐らくはごくごく細い糸のようなものを張り巡らせてこちらの居場所やきを把握しているのでござろうな。しかもその糸は罠に連していないのがタチが悪い。気付かれたことにもなかなか気付けないのでござる」

『……と、隠に秀でた彼がこう稱する程には厄介極まりないという事です。さらに木々が生い茂っていて大人數での移が難しく、小分けにすれば各個撃破される。第一関門とは思えないほどの厄介さですね。運営が考えた仕掛けならお気持ちメールものです』

「でも運営が考えたなら攻略前提だからまだ救いがある方ってのが本當にひでぇよな。これ【カグラ】が作ったんだとしたらクリアルート作る必要ねぇもん」

『そう。それです』

フィローの実験に基づく報に毒づいたプレイヤーの発言をヴァルゴが拾う。

発言を拾われたプレイヤーはちょっと焦ったように周囲を見渡し、ほぼ全員が同意を示すように頷いている事にしほっとしていた。

『【カグラ】からしてみれば、クリア出來るようにする必要が無いんです。つまり、最初から正規ルートなんて無い可能が高い。むしろ、正規ルートがある方がおかしい』

『そこでだ。そっちがクリアさせる気がねぇってんなら、こっちだってまともに向き合ってやる必要はねえってこった』

ヴァルゴの言葉に続き、レオがあくどい聲音で告げる。仮面の下の素顔はさぞ悪辣に歪んでいる事だろう。

『よって。第1作戦では森を拓いて道を作ります』

彼らが導き出した結論は、森の開拓。

突如森を生やすなんて無法を通したのだから、その森を薙ぎ払い進む無法も通していいよな?という、ある種の意趣返しだった。

『さぁて、力自慢ども!武を手に取れ!開拓の時間だ!』

『『『うぉぉぉぉぉぉぉ!』』』

◇◇◇◇◇

ヴァルゴが立てた作戦をより正確に示すならば、大剣や大斧と言った一撃の威力に重きを置いた武を使うプレイヤーを主力に高速で木々を切り倒し道を作ろうというものだ。

魔道士や軽裝のプレイヤーは彼らが森を拓いている間の周囲警戒と迎撃を主に擔當する。

また、『土魔法』を使う魔道士はそれとは別に切り開いた場所に魔法で道と壁を作り安置を作る役目を任されている。

詳しい作戦伝達や各代表から提供された人員構を元に擔當を割り振り、1度解散して準備を整え通れずの森の前に再集合したのが解散から3時間後。

日も暮れ始めた午後5時頃のことである。

「なぁ、善は急げって気持ちは分からんでも無いけどよ、この時間からやる必要はあったか?暗くなりゃ有利なのは地の利がある向こうじゃねぇのか?」

時間が時間である。そんな質問が飛び出るのは、ある意味當然と言えた。

故に、ヴァルゴの返答にも淀みがない。

『えぇ、言いたいことは分かります。日を開けずにこの時間からでも始める理由は2つ。1つ、作戦が【カグラ】にれる可能を減らすこと。そうでなくても奴らの気まぐれで有力クランが壊滅させられでもしたらきにれが生じます』

例えば、日をいで【カグラ】に報を知られれば対策がされてしまうだろう。他にも、【カグラ】に襲撃されたクランが主武裝などの資を失い実質的なリタイアに追い込まれるかもしれない。

時間は味方では無いのだ。

『2つ、こちらが【カグラ】に勝っている『量』という武を活かし常に攻撃を仕掛け続けられること。フィロー殿によれば、【カグラ】には新メンバーないし使い魔のような高防の甲冑がいるそうですが、數もそう多くはないでしょう。しづつでも常にストレスを與え続ければ、來る決戦の時にミスを犯してくれるかも知れませんからね』

代で休憩、あるいは仮眠が取れる【対神楽連合】と人數鋭ギルドである【カグラ】では人員のスタミナレースになった際には【対神楽連合】に分がある。

他にも、ここで早めに損害を出しておけば修繕ないし対応にリソースを割かせる事が出來る。そうすれば、その分他の作戦が功しやすくなる。

『3つ。仮に作戦が失敗に終わるなら殘り時間が多い方が建て直しやすいから』

「2つって言わなかったか?」

『言ってる途中で思い付きました。タイムアップになった際にポイントで勝つのは十中八九【カグラ】ですからね。時間は節約出來るならした方がいいんです』

「ま、それもそうか。『暗視』はここまで來る奴なら基本持ってるし、持ってねぇ奴はそれを補える何がある。暗闇よりも時間の浪費の方が重いと參謀様は考えた訳だな」

『そういう事です。納得頂けましたか?』

「おうよ。こんなイベントで同盟を立案するギルトの參謀してるだけあって々考えてんだな」

『それが役割ですから。私としても安心しました。その戦斧を木ではなく私に振るわれたら一溜りもないですからね』

「はん。【カグラ】を片付けたらお前にも刃は向くかもしれねぇぜ?」

ヴァルゴに疑問を投げかけたプレイヤーのの丈もあろうかという大きな戦斧がすっとヴァルゴに向けられる。

『おっと怖い。では作戦中に尊い犠牲になってもらいましょう』

「ひぇー、參謀様はおっかねぇぜ」

だが、ヴァルゴは焦った様子なく軽口で返し、戦斧を構えたプレイヤーもその様子に笑って背を向け、森を構する木々に向かう。

『では。作戦開始です』

ヴァルゴの號令でプレイヤー達がき出した。

◇◇◇◇◇

「【ハイスラッシュ】ッ!」

大剣の一閃で直徑30cmはあるだろう樹木が斷ち切られる。

「【ウッドブレイク】ッ!」

戦斧による樹木屬特効の一撃に砕された樹木が倒れ、また僅かに森の面積を減らす。

大剣が、戦斧が、変わったところでは大槌が。

森を構する木々を切り裂き打ち砕き歩を進める。

森の外では分が悪いと思ったのか、あるいは何かしらの理由があってか、獣や狩人といった邪魔はほとんど無い。

威嚇するように獣が姿をチラつかせたり、矢が飛んできたりしたが、當初想定していた程苛烈な妨害は無かった。

そんな中、一際目立つ存在が木こり隊の中にいた。

彼らの例にれず全鎧にを包んだ巨軀は鎧が無くとも優に2mを越すだろう。

そんな巨漢が持つのは、の丈よりも一回りほど大きな片刃の巨大剣。あまりに巨大なその剣は峰が分厚く、エクスキューショナーズソードのように切っ先がない。真正面から覗き込めば二等辺三角形が見えるだろう。

それが見た目だけではない証に、振るわれる度にヴォンヴォンとあまりにも重く鈍い風切り音が鳴り響く。

そんな、大剣にしてもバカを極めたような剣を巨漢はあろう事か片手で振り回している。

まさに刃の暴風圏。巻き込まれた木々は呆気なく切り裂かれ、それ以上に砕されて行く。

『…………ッ!』

ヴォンヴォンと雄々しい音と共に破壊を振りまく彼の名はタウラス。

何を隠そう【アルガK】のメンバーである。

『…………これさ、タウラスひとり突っ込ませて他全員周囲警戒に努めればよくね?』

リーダーのレオをしてそう言わしめる破壊の権化は重機もかくやの勢いで森を開拓(はかい)して突き進む。

彼らが渦巻く河の畔までたどり著くのに、そう時間はかからなかった。

戦闘になったら空いた手の方でがすっぽり隠れる大盾を裝備する事になるタウラス君です

まさに牡牛の如き猛威ですね

場合によっては大剣も盾にするし大盾も振り回すお茶目さも兼ね備えているぞ!

それでは皆様、良いお年を!

攻め込まれているヒャッハー達が書籍版でも大暴れ!

書籍版1巻&2巻が発売中!素敵なイラストで彩られたヒャッハー達の冒険をお楽しみください!

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