《Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜》第14話 行き詰まりと報の共有
<行値を1消費して『群化移Lv1』を発します> 行値 0/11
群集クエストが始まってアルとPTを組み、1人で飛び出したは良いものの一つ問題が判明した。ただひたすらに群化と群移と群化解除を繰り返して、マップの空白部分を埋めていく。そこまではいい。だけど通常ならただ歩くだけの行為に俺はスキルの使用が必須なのである。
「また行値盡きた! 燃費悪すぎだ!」
サヤと一緒の時はサヤに運ばれて表面化していなかった致命的な問題。それはちょっとけばすぐに底をつく行値の回復を何度も待たないといけないという事だった……。
「おいおい、ケイ。ちょっと落ち著けって」
「あー聞こえてたか。すまん」
アルの聲が頭の中に直接響くように聞こえてくる。PTメンバーとは距離が離れていても會話が可能であるということも分かってきた。
「限定的とは言え、瞬間移みたいなもんなんだろ? そのくらいの制約は仕方ないんじゃねぇか?」
「そりゃそうなんだけどさ。多分、普段は問題ないんだよ」
「どういう事だ? 気になる點でもあんのか?」
「この群移って最大距離での移すると、群化したコケの周辺までしか埋まらなくてマップの埋まり方が飛び石みたいになるんだよ。大半の場所はコケがあるからカバーしきれるけど、その代わり短距離でも使わないと駄目とかな……」
「あーそういう欠點があるんか。短距離で何度もってのは確かに効率悪すぎるな」
普段は目視出來る最大距離で群化して群移すればいい。だけどマップを埋めるにはこの仕様が致命的なほどに相が悪かった。
サヤに運ばれていた時のマップの埋まり合と、サヤと會う前の単獨行していた時のマップの埋まり合を見ても違いは一目瞭然だ。どうも運ばれるというのは問題はないようで、サヤに運ばれていた時は普通に埋まっていて、単獨行の時のは飛び石のようになっている。なんか良い手段ないものか……?
「お、プレイヤーから半徑10メートルがマップの埋まる範囲らしいぞ」
「……報共有板の報か?」
「あぁ、どれも不確定な報ばっかだけどな。他にもいくつか気になる報が上がってるぜ?」
マップの限定的解放と共に解放された『灰の群集』用の報共有板は掲示板というよりはリアルタイムのチャットである。結構な人數が報を上げているようだけど、どうしてもマップを埋めながらだと報を拾いきれていなかった。やっぱり、協力プレイが前提となっているのかもしれない。
「あーちょっと休憩! アル、気になる報を教えてくれ」
「いいぜ! えっと、まず気になりそうな報をいくか。ずばりマップのエリア報!」
「……ん? 始まりの森林深部じゃないのか?」
「あくまでそれはエリアの1つってだけらしい。今のところ5つのエリアから報が上がってるぞ?」
「へぇ? すぐに関係あるって訳でもなさそうだけど、それは気になるな」
5つのエリアが今のところわかっているのか。ここ以外にどんなところがあるんだろうか? 掲示板でクジラの人がいたし海はあるんだろうな。
「今のところ出ている報はまず淺めの森でここほど鬱蒼とはしていない『始まりの森林・灰の群集エリア1』に、俺らのいる『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』だろ」
「深部じゃないとこもあるのか? てかエリア2とかって初期エリアの通し番號?」
「共通點のあるエリア名だからほぼ確実にな! ま、エリア1のはここほど深い森ではないってことらしいけど、畫像があるわけでもないから詳しくはわからんな。次行くぞ」
「おう、頼む」
「草原でライオンやゾウとかがいる『始まりの草原・灰の群集エリア3』と、植は疎らにしかなくカンガルーとかデカいトカゲとかがいる『始まりの荒野・灰の群集エリア4』と、掲示板のケイが言ってたクジラの人がいる『始まりの海原・灰の群集エリア5』が今のところ判明してるエリアだな」
「お、クジラの人って『灰の群集』なのか! てか々とあるんだな」
んな種類の生がいるんだからそりゃいくつもエリアがあって當然か。それぞれに始まりのがついてるのと灰の群集エリアってのが共通點と。これは赤の群集用とか青の群集用の初期エリアが同じくらい用意されている?
「とりあえずは今ログインしてて書き込みしてる人が知ってる報だけだから、まだ他にもある可能もあるけどな。とりあえず今はこんなもんだ」
「なるほどなー。そのうち行けるようにはなるんだろうけど、流石にまだまだ無理そうだ」
「だな。他のエリア行っても環境適応出來ずにすぐ死ぬだろうし。まぁ死んでポイント貯めて適応スキル取るか、適応するように進化しろってことだろうけどな」
オフライン版も基本的にはそんなじだったしな。無茶な環境に敢えて飛び込んで、死んで転生しての繰り返しで進化させてたしね。オンラインだと多バランスは変わってそうな気もするけど。
うん、俄然やる気が出てきた。まだ進化のしの字も出て來てないんだ。こんなとこで挫けてられるか! とは言ってもなんか足がかりくらいはしいよね。
「……ん? へぇ、なるほど、そういう事か」
「アル、どした?」
「いや、ちょっと面白いじの推察が出て來ててな。ケイが掲示板で見たっていうおっかないプレイヤーがな、おそらくこの群集クエストの開始フラグ建てたんじゃないかってよ? ケイ、マップの詳細部分を出せるか?」
「ちょい待って、すぐに出す」
詳細表示だと視界の占有率が高くて々と邪魔だったので、細かいとこの確認はアルに任せて簡易表示にしていた。それを詳細表示へと切り替える。ふむふむ、々と書いてるな。……あれ? 最初に開いた時にはなかったような気がする欄がある?
「マップ解放、エリア別貢獻度ランキング……?」
「おう、それだそれ! ついさっき表示されて30分毎に更新だとよ。ちなみにその一位のヨッシってプレイヤーが暴走バチだった人」
「そういやアルは目撃してたんだったな。えーと、今はエリア踏破率6%で、ハチの人が2%!? え、1人で3分の1も行ってるのか!?」
「らしいぜ? んで、このマップ作の群集クエストの開始條件は何処かのエリアのマップが5%を超えた時じゃないかって推測されてるぜ。他のエリアだとまだ5%超えてないんだと」
「恐るべき執念だな。だけど褒めていいのか微妙な心境になるな……」
「……だなぁ。だけど運営も処罰出來んわな。管理AIがポロッとらした報でクエストフラグ立ててるプレイヤーだったってわけだし」
「……で、そのハチの人は今どうなってんだ?」
「報共有板には本人の書き込みも目撃報も全くない。座標表示されるようにはなったから、合流自は別エリアでない限りもう可能だから目的果たしたんじゃねぇか?」
「あーそうなるのか。無事合流してくれればいいけどな。俺らのプレイの支障にならないようにさ」
「はは! そりゃそうだ!」
さてと、とりあえずし気分転換終了っと。數時間無茶な暴走を続けて2%という事は、すぐに終わる類のクエストではなさそうだ。いや參加人數次第でもあるのか? まぁとにかくこのコケの移じゃランキング上位は間違いなく無理だろう。のんびりやる事に切り替えよう。
「あ、あと30分毎の更新で他のプレイヤーの踏破報がマップに反映されるんだとよ。ざっと見たじ埋め殘しがちらほらあるみたいだし、それを埋めていくってのはどうだ?」
「え、マジで?」
アルが言ったことを確認する為に自分でもマップを眺めてみる。そうしてみると確かにあちこちに、歯抜けのように埋まっていない場所が點在していた。途中で寸斷されているような場所もある。
「……なんでこんな風になってんだ?」
「俺の近くの崖みたいにすぐには行けないとこでもあったんじゃねぇか? それでも場合によってはケイなら行けるだろ?」
「あー確かに視線が通って、先にコケさえ広がってればどうにでもなるな」
「なぁケイ、貢獻度って量だけだと思うか?」
「思わないな。それだけじゃ種族差が大き過ぎる」
「俺がルートを選ぶから、ケイが埋め殘しを埋めていくって作戦どう思う?」
「良いと思うぜ? やってやろうじゃん!」
「よし、なら決定だ! 俺らの位置はマップの端に近いから端の方の埋め殘しから埋めていこうぜ!」
「おうよ!」
アルの側にある崖などは直接よじ登るのは厳しいだろうし、どうしても遠回りが必要になってくる場所もあるのだろう。そういう所を重點的に狙っていくということだ! ついでに端からやる事で無駄な行き來を減らす!
そうして一度行き詰まった俺とアルの共同攻略作戦は形を変えて再びき出す事になったのであった。
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