「なんで教える前に取得してんだよ、ケイさんよ……」

「いや、そんな事言われてもどうしろと！？」

アルは木なので表は無いが、あれば恨みがましい表をしているような気がする。いや、ホントそんなこと言われても頼まれた事をやっただけだぞ！？

「やべぇ、とっておきのつもりの報のアドバンテージが無くなった……」

「あーもう報酬とか別にいいさ。ある意味では稱號取得出來たのが報酬みたいなもんだしな」

「そうか。そう言ってもらえると助かるわ！」

俺の一言で一気にアルに元気が戻った。はい、またもやアルの一本釣り！　まぁ何度もする気はないけど、今回は収穫もあるし別に良いだろう。新実裝の稱號が2つにスキルが1つとか水やりの報酬としては充分すぎる。

「でも一応アルの稱號は聞かせてもらうぞ？」

「そりゃもちろんだ。俺が手にれたのは稱號『同族の命を脅かすモノ』だな。増強進化ポイントが3貰えたわ」

「木が植を枯らす寸前まで弱らせたからか。取得條件わかりやすいな」

「だろ？　だから応用出來るかと思ってたんだが、まさかその報を教える前に取得しちまうとは思わなかったぜ……」

アルとしても予定外ではあったのだろう。俺もまさか聞く前にその報源を手にれるとは思わなかった。それにしても俺の手にれた稱號とアルの稱號を合わせて考えたら、稱號＋各種進化ポイントかスキルが獲得報酬か。

「なんか思ったよりは簡単に稱號は手にりそうだよな？」

「だからこそ、あえて伏せて先に取っておきたいんじゃねぇか！　報共有板でも稱號の報は出てないんだぜ！？」

「あぁ、なるほど。みんな稱號の報は伏せておきたい訳か」

何やらアルが熱弁している。下手なLv上げより場合によっては稱號の方が意外と良いものが手にるかもしれないし、報を伏せてる人も多いのだろう。俺だって『一発蕓・り』の報は伏せてもらっているしな。誰かがポロッと存在をらすまでは報共有板には稱號の報は出てこないかも。

「で、ケイの稱號ってのはどんなのだったんだよ？　教えてくれるよな？　な！？」

「……なんか一気に遠慮がなくなってきたな？」

「ケイが相手だとその必要もない気がしてきたからな！」

「おい！？」

結構失禮な事を言ってないか？　いや、心の中でアルの一本釣りとか思ってる俺も俺か。お互い様って奴だな。毎回報換のやり取りで報酬だの何だの言うよりはこっちの方がいい。

「ま、そっちの方が気楽でいいか」

「そういうこった！　つーことでお互いに報は隠し事なしと行こうじゃねぇか！」

「はいはいっと。俺が取得したのは稱號『植達の救世主』と稱號『水を扱うモノ』の2つだな」

「2つ！？　同時取得とかもあんのか！」

「ちなみに『植達の救世主』で融合進化ポイント3、『水を扱うモノ』でスキル『水の作』が貰えたぞ」

「スキル取得まであんのか！？」

なんか驚きまくってるな。まぁ完全にアルが持ってた稱號の報より上を行ってるもんな。そりゃ驚きもするか。俺もこの一気に取得は驚いたしな。

「あー報共有板で稱號の報が出てこない理由に納得したわ。スキルまであるならそりゃ気軽にはバラさんわな……」

「そういや報共有板って言えば、攻撃スキルの取得方法を探ってくれるってのはどうなった？」

「あーあれか。悪い、その手の報はみんな出し渋ってるみたいだ。稱號の報みたいにな」

「ちっ、それは仕方ないか。俺も人の事言えないしな」

「いっそ、俺らの方から稱號の報を流すか？　しは話に乗ってくる奴いると思うぜ？」

「そうしてみるか。一回じっくりと報共有板も見ときたいしな」

アルはずっと表示したままらしい報共有板の畫面を俺も開き、初めてまともに容に目を通す事になる。

VRが主流となっても大多數が一気に流する場合はチャット形式か掲示板形式が便利なんだよなー。そういや軽く炎上中とか聞いたけど、どうなってんだろうか

木 ：　新報を手にれたぜ！

クジラ ：　お、木の人がまた新報か！　今度はなんだ？

オオカミ　：　コケとかいう変な新報に続いてどんな報だ？

クジラ ：　変な新報とか言うなよ。運営から種族認定って地味に嫌なんだぞ！

木 ：　いや、フレのコケの人、ノリノリで楽しんでるぜ？

クジラ ：　え、マジで！？　俺もちょっとクジラを全力で楽しんでみようかな……？

キツネ ：　クジラとか頑張ったら、空とか飛べんじゃねぇの？　そういうモチーフ結構あるじゃん。

クジラ ：　あ！？　そうか、そういう可能もあるのか！

キツネ ：　気付いてなかったんかい！？

クジラ ：　いや、種族認定に凹んでた。うん、やる気が出てきたぞ！　キツネの人、ありがとう！

キツネ ：　いやいや、頑張ってくれ。エリア5はクジラの人のきも重要そうだしな。

名前はキャラ名じゃなくて種族名になってるのか。それにしてもクジラの人、凹んでたんだ。同じ種族の認定仲間として早めに覗いておけば良かったか？　そしてキツネの人、グッジョブ！　炎上はもうとっくに収まってるようだな。対応策も出されたしそんなもんか。それにしても……。

「アル、思いっきり話が線してるぞ」

「まぁよくある事だ。ケイは書き込まねぇの？」

「俺は基本的に読み専だしなー」

「ケイはそういうタイプか。しゃーねぇ、俺が代行しとくわ」

「お、助かるね」

「いいってことよ。んじゃ稱號の事、書き込むぜ」

「おうよ！」

木 ：　とりあえず新報な。なんと、稱號というものを発見した！

キツネ ：　なん……だと……？　木の人、それを言ってしまうのか！？

リス ：　ただいまー！　ってなになに？　稱號ってどんなの？

オオカミ　：　お、リスの人お帰り。分斷されたのはどうにかなりそうか？

リス ：　うん、友達と話が纏まったよー。明日配布されるアイテム使って合流予定！

トカゲ ：　キツネ、こそこそ何か隠してると思ったら貴様、何を隠してる！？

シカ ：　こらこら落ち著け。でもその言い方は気になるね？

キツネ ：　ヤバ！？　失言したか！？

トカゲ ：　あ、キツネめ、逃げやがった！？　おいこら待て！

シカ ：　あーウチの2人が迷かけてすみません。ちょっと2人共止まれ！

オオカミ　：　……なんだったんだ、あいつら？　とりあえずリスの人、おめでとさん。

リス ：　ありがとー。一時はどうなるかと思ったけど、なんとかなりそうで良かった。他の分斷された人達もなんとかなればいいけどね。

オオカミ　：　多分、大は大丈夫だろ。森と海とかで分斷さえなければだが……。

クジラ ：　そんな人は俺と一緒にやろう！　海は海で楽しそうだぜ！

ライオン　：　クジラの人、なんかフッ切れたか？　コケの人のおかげという事か。

リスの人はエリア分斷を食らってた人っぽいな。なるほど、々と分斷された人がいてこうして會話してたのか。シカとキツネとトカゲの組み合わせってマップ埋めしてた時に遭遇した俺に気付かなかった3匹組か？　これ、キツネの人は確実に稱號の報持ってるだろ。

というか意外と俺の話題がよく出ているな。うん、普段から書き込まないタイプだけど、余計書き込みにくいね。

リス ：　ねぇねぇ、木の人。稱號について教えてよ？　かなり気になるんだけど！

木 ：　教えるのは良いんだが、こっちもしい報があってな？　誰か知ってたら教えてくれよな？

オオカミ　：　教えてもらうんだから、知ってるだったら教えるぜ。

リス ：　私もだね。それくらいは當然！

木 ：　サンキュー！　コケの人の要でな、植系での攻撃スキルの取得方法が知りたいそうだ。稱號報は俺とコケの連名報なんでそこのとこ宜しく。

オオカミ　：　なるほど、コケも一応植だしな。序盤は攻撃手段に乏しいってことか。

クジラ ：　え、コケの人も稱號を手にれたって事か！？　すまん、俺は何も報は持ってない……。

木 ：　知ってたらでいいぜ。とりあえず稱號報な。俺が手にれたのは『同族の命を脅かすモノ』って稱號だ。近くの植弱らせてたら手にった。ちなみに増強進化ポイント3が貰えたぞ。

ライオン　：　ほう、ポイントが貰えるのは魅力的だな。

リス ：　同族ってことは自分の種族系統の一般生を弱らせたら良いのかな？

オオカミ　：　なるほど、意外と條件は厳しくなさそうだな？　って事はキツネのヤツみたいに報隠し持ってるのがいる訳か。まぁそれが悪いとは言わんけど。

木 ：　それで、コケの手にれた稱號は『植達の救世主』と『水を扱うモノ』との事だ。融合進化ポイント3と『水の作』ってスキルを手にれたそうだ。

クジラ ：　コケの人、稱號2つも手にれてんの！？　すっげぇ！？

オオカミ　：　コケの人って水分吸収してインベントリにれられるとか言ってたよな？　攻撃スキルって訳じゃないかもしれんが、その『水の作』とやらでれたりはしないのか？

なんだって！？　オオカミの人、その発想は無かったわ。というかろくに確認すらしてなかったわ。よし、その案は採用。後で実験しよう。てか、俺の報ってそこそこ広まってるんだな。アルがずっと書き込みながら報収集してた果って事か。良く話題になるおかげでスムーズに話が進むことに謝しておこう。

木 ：　その可能は充分あるな。オオカミの人、サンキュー

オオカミ　：　木の人こそ報助かるぜ。ところでコケの人の稱號の取得條件はわかるか？

木 ：　あ、すまん。書き忘れてたわ。俺が周辺の植を弱らせるのをやり過ぎて全滅させかけたのをフレのコケに水やりと合で回復を頼んだんだよ。そしたらそうなった。

ライオン　：　それはマッチポンプではないのか？

木 ：　あー意図してなかったとはいえ、結果的にはそうなるのか……。

オオカミ　：　良いんじゃねぇの？　とりあえず簡単な傾向は見えてきた。

リス ：　ほうほう、どんなじの傾向？

オオカミ　：　どれも一般生や元々あるものに関與して取得に至っている。クエストの注みたいなのは無いみたいだが、実質クエスト扱いなんじゃないか？

リス ：　そっか！　一般生を倒す以外にも々やってみろって事なんだね！

木 ：　ま、推察は任すわ。直接攻撃手段とはまだ言えないけど、足掛かりは見つかったしな。

なるほどね。報共有板はこんなじなのか。それなりに役に立ったな。

「よし、參考になった。アルもサンキューな！」

「これくらいならいつでもやってやりますぜ。って夕暮れになってきたってことはもうしで日付が変わるのか」

「あ、ホントだ。もうこんな時間か」

このゲームは24時間で晝と夜がれ替わるようになっている。切り替え時刻は0時であり、夕日が出てきたという事は夜の11時を過ぎたころである。そして明日は丸一日夜へと変わるのだ。明後日には晝間に戻る。天気はランダムで決まるらしい。

「俺はそろそろ落ちるけど、ケイはどうするよ？」

「眠くなってきたし、俺も落ちるわ。『水の作』は明日試そう」

「そうか。それじゃまた明日、時間合えばな！」

「おう、またな！」

アルと別れの挨拶をしてログアウトを選択すると、ログイン畫面へ戻される。もちろんそこにはいったんがいた。

強制ログアウトでない限りは一度ここを経由するらしい。

「あ、お疲れ様〜。今日はもう終わりかな？」

「そのつもりだよ」

「公式サイトからお知らせがあるから確認しておいてね〜」

「おう、わかった」

「初日からプレイしてくれてありがとね。またログインしてくるのを待ってるよー！」

そんないったんの聲を最後に、ゲームは終了し現実へと戻ってきた。さてと風呂ってから寢るとするか。