《Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜》第30話 移の難しい場所

その後もいくつかの一般生を仕留めていった。群れを見つけたのは一度だけで、それ以降は群れと逸れた草食ばっかりだった。Lvが上がるほどは経験値は手にっていない。

「そういやアル、ちゃんと経験値ってるか?」

「おう、まだ一応な。距離が離れるほど取得量が減ってる気もするが、狩ってる數自も一定じゃないし問題はない範囲だな」

「それなりの距離離れてても大丈夫なんだな」

「移が出來ない種族の固有仕様の可能もあるけどな。報共有板じゃ離れ過ぎたらすぐ経験値貰えなくなるってボヤいてる奴もいるし」

「へぇ、そんな可能もあるのか。まぁ無制限じゃ寄生プレイやりまくれるしな」

「そういう奴はそのうちPT追い出されるけどな」

「そりゃそうだ」

何もせず経験値だけ貰おうなんてプレイヤーは邪魔なだけだしPT追放機能は當たり前の仕様だ。アルは報支援してくれてるし、まだけないんだからしばらくは仕方ないだろう。このゲーム、オフライン版をした事なくてオンライン版をいきなりやって植系引いたら結構悲慘かも……。まぁオフライン版の攻略サイトもあるし大丈夫か。

「そろそろ埋まってない場所に著くな」

「まさに今著いたぜ。って、これは埋まってない訳だな」

「あ、ここ陥沒してるんだね」

「ホントだ! 高いね!」

「こら、ハーレ、あんまり乗り出すと落ちるよ!」

目の前の道は途切れ、し高めの崖となっている。その先は陥沒したように広がる段差により隔絶された木々。夜で暗いせいか夜目があっても反対側が見えない。マップを見た限りではそれほど広くはなさそうけど、下に一度降りれば上がれそうな場所は軽く見たじでは見當たらない。ゲームだから行き止まりということはないだろうけど、これは確かに埋めているプレイヤーによっては避けるしかない場所だ。

そしてハーレさんはを乗り出して崖の下を覗き込んで危なっかしい。まぁゲームだし落ちて死んでも大丈夫だけどヒヤッとするな。この危なっかしさ、ちょっとの一人が思い浮かぶなぁ……。

「なるほど、陥沒してて降りられないからそこは埋まってないわけか。そういうパターンもあるんだな。って、この辺りが『同族同調』有効範囲のぎりぎりだな」

「って事は、ここから先はアルは音聲のみでお屆けしますって事になるな。まぁ仕方ないか」

「アル、気にしなくてもいいよ。どっちにしろこの崖をみんなで降りるのは難しそうだしね」

確かにサヤはこの崖を降りるのは厳しそうだ。ハーレさんもちょっと厳しいだろう。大丈夫なのは飛べるヨッシさんくらいだ。ヨッシさんに運んでもらえれば、一応俺も行ける。俺は行きは楽勝なんだけど、帰りがコケの有無で左右されるから確実とも言えないんだよな。

「ここは晝間の日の方が良いんじゃないか?」

「確かにそうだね。『夜目』があっても晝間ほどはよく見えないもんね」

「オーケー、それじゃそこは今度に後回しって事で。他のとこ埋めに行くか?」

「んーどうしたもんか」

このまま進むのは明るい方が確実に良いし、かといってこの周辺のマップは埋まり済み。ここを迂回してその先にはまだ埋まってない所もあるけど、アルの『同族同調』の範囲外か。これは一度戻って別方向のマップを埋めに行くか?

「みんな、気をつけて! 何かいる!」

「え? ハーレ、いきなーー」

「ヨッシ!?」

「くそっ、敵か!?」

何かがヨッシさんに飛びかかったのは分かった。だが急過ぎてそれしか分からなかった。飛びかかった影はヨッシさんを襲い、何処かへと姿を隠している。ヨッシさんは不意打ちで即死したのか、既にHPは殘っていない。今頃はアルの木に作った巣でリスポーンしているところだろう。

「……ごめん。『危機察知』ってスキル持ってたの、説明忘れてた……」

「気にしなくていい。それで、まだ近くにいるかは分かる?」

「うん。まだこっちを狙ってウロウロしてるみたい」

「何が襲ってきたのか、分かるかな?」

「ごめん、それは分かんない。でもあのフクロウよりも危険なじがするよ」

もうしお互いに持っているスキルの確認をしておくべきだった。ハーレさんが『危機察知』なんてスキルを持っていたとは。捕食されることの多い小だからこそのスキルなんだろう。

「……狙われてるのはハーレさんか?」

「多分そうだろうね。次に來たら私が食い止めるから、ケイは毒をお願い。ハーレさん、私の頭の上に登ってきて」

「う、うん、分かった」

「おう、任せとけ」

ぶっちゃけて言ってしまえばハーレさんを囮にして、襲ってきた敵をサヤがカウンター狙いということになるだろう。俺もサヤの足元に移しておく。カウンター狙いならサヤの近くのほうが狙いやすい。

敵の姿を探しながら、周囲の様子を警戒し探っていく。先程ヨッシさんを襲ってきた方向とは逆側に飛んでいっている可能が高いのでそちらを重點的にだ。そしてすぐ近くが崖だから、位置取りには注意しなければならない。

「……妙だな?」

「……アル、どうしたよ?」

「その周辺の木々に『同族同調』してみたんだが、敵の姿が見つからん……」

なくとも私を丸呑みにしたんだから、それなりに大きさはあるはずだけど」

「ヨッシさん、リスポーンしたんだな。てか丸呑みって食われたの? 無事か?」

「無事じゃないからリスポーンなんだけどね。多分食べられたんだろうね。いきなり真っ暗になって捕食されましたって表示が出たから。でもごめん、敵の姿は全然見えなかった」

あぁ、捕食されましたって表示が出たのか。俺も魚に食われた時に表示されたな。って、あれは捕食した相手の名前出てなかったっけ?

「捕食なら相手の名前出なかったか?」

「あーごめん、何かに捕食されましたって出ただけでわかんないんだ。相手を認識してからじゃないと駄目なのかも」

申し訳なさそうにヨッシさんが謝るが、それは気にしても仕方ないだろう。あの奇襲は避けられなくても仕方ない。まだこのゲームも2日目だし、知らない要素も多くある。なんでも初見で楽勝ならばゲームの面白みというものがなくなってしまうしな。

「となると、捕食するようなモンスターか。何か心當たりある人いる?」

「ハチのヨッシを一番に狙ったのは気になるけど、夜の森で姿が見つかりにくいなら、またフクロウとかの夜行の鳥類か、もしくはヘビとか……?」

「げっ……」

「どうしたの、ケイ?」

「もしかしてケイさん、ヘビ苦手?」

はい、その通り。ヘビは大の苦手です……。苦手生フィルタにれてたよな? よし、確認しとこう。そうしよう。よし大丈夫、これでリアルなのじゃなくてデフォルメされたやつに変わるはず。これは素直に言っといた方が良いかな?

「悪い、実はかなり苦手……」

「まぁそういうこともあるよね。私も蜘蛛は駄目だし……」

「私は黒いGが駄目!! 出てきたらいつも兄貴に処分してもらってるよ……」

「おい、苦手トークも良いけど、狙われてんの忘れんなよ!?」

「まぁ苦手生フィルタはかけたから多分大丈夫だ」

サヤは蜘蛛が駄目で、ハーレさんは黒いあれが駄目で名前を口にするのも嫌と。てかハーレさん、兄貴がいるんだな。奇遇だな、全く知らないハーレさんの兄よ、俺もよく妹にあれの処分はさせられているぜ。

さてアルの言う通り余計な事を喋ってる場合じゃないな。確かに夜の森でヘビに噛まれるとかいう話は聞いたこともある。ヘビと仮定してし調べてみるか。

<行値を2消費して『群化Lv2』を発します> 行値 11/13(−1)

<行値を2消費して『群化Lv2』を発します> 行値 9/13(−1)

<行値を2消費して『群化Lv2』を発します> 行値 7/13(−1)

よし、これで周辺の見える範囲のコケは全部群化した。群化したコケは俺のの一部だ。何かがれたり、踏んだりすれば察知出來る。行値の消費も多いからあんまり効率の良い手じゃないけど、こういう待ちの狀況ならば有効に使える筈。

「っ! サヤさん、來るよ!」

「よし、狙い通り! サヤ、正面左の地面からだ!」

「わかったよ!」

ハーレさんが『危機察知』で前兆を察知し、俺が僅かなコケの上の生きを捉えた。だが予想以上にきが早い。

「きゃ!」

「ハーレさん!」

「これ、速すぎだよ!?」

あまりにも速すぎる敵の突撃に辛うじて攻撃を當てることには功するが、それでもハーレさんがぶつかられてサヤの頭の上から吹き飛ばされ、背後の木に打ち付けられてしまった。ハーレさんのHPは今の一撃で半分以上無くなっている。あえてマシな點を上げるなら向き的に崖の方でなくて良かったと思うべきか。向きが悪ければハーレさんは、そのまま崖下へと落下していただろう。

そして僅かにサヤの攻撃が當たった事で行パターンが変わったのか、ようやく敵が姿を表した。土気のその頭はヘビそのものだが、は何だか膨らんでいてヘビにしては妙に短い気がする。

「ヘビ……にしてはなんか変だな? これ、ツチノコじゃねぇ!?」

「……ツチノコだよね?」

「ツチノコなの!?」

・暴走種を発見しました>

・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント4獲得しました>

<規定條件を満たしましたので、稱號『・暴走種の発見』を取得しました>

<増強進化ポイントを3獲得しました>

あ、なんか稱號が手にった。っておい、こいつ『黒の暴走種』かよ! しかもと來やがったか! 聞いていたの発見報酬よりポイントが多いけど、これもだからか。……これがワールドクエスト、結構キツいな。でもなんでこんなとこにがいるんだろうか。進化階位が一段上なら、隣接マップの解放のボスモンスターとかじゃないのか?

「あー、アル、ヨッシさん。敵の正の『黒の暴走種』だ。発見の稱號が出た」

「……マジか。見えてはいるけどこっちは稱號はないな。直接視認しないと駄目って訳か」

「……それって勝てるの?」

ヨッシさんが心配そうに聞いてくる。俺達の戦力は3匹で、敵は『黒の暴走種』ので確実に格上。そしてまともに一撃喰らえば即死レベルの攻撃。まぁ俺はそれでもHPはないから死にはしないだろう。ツチノコがコケを食べなければだけど。……サヤとハーレさんは死ぬ可能大だな。かといってあの瞬発力から逃げられるとは思えない。となればやる事は一つ!

「勝てるか怪しいけど、出來る限り手札を使わせてやるしかないか」

「そうだね。ただで殺されて終わりは嫌だしね」

「私もだよ! ここで倒されてもリベンジしてやるもんね!」

こうして俺達にとってとても厳しい戦いが始まった。

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