《Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜》第40話 転がり続けて

コケに覆われた大巖が森の木々にぶつかり、何度も角度を変えながらどんどんと転がっていく。うん、ピンボールのボールの気分はこんなじなのかもしれない。そして下手な絶マシンよりも怖いってこれ!?

水の作で壁を作って勢いを殺そうと1回頑張ってみたけど、あっさり突破した。うん、これ下手したらツチノコの突進並みの威力かもしれない。自力で止める手段が思い當たらない。もういっそ、どっかのコケを群化して逃げるか? いや、でも流石にそれは無責任過ぎるしなぁ。

「うわ!? なんだあれ!?」

「なに? なにかのモンスターの攻撃!?」

うわっ!? プレイヤーにぶつかりそう!? ある意味間違ってないけど、ごめんなさい! とにかく急回避だ!

<行値を2消費して『スリップLv2』を発します> 行値 6/16(−1)

「はぁ!? 急に曲がった!?」

転がっている最中に回復した行値でスリップを発して強制的に進路変更! なんとかプレイヤーに激突だけは回避出來た。何度かプレイヤーにぶつかりかける度に強引にスリップで進路変更している。何とか強引な進路変更でプレイヤーは轢かずに済んでいるけど迷かけてしまってるな……。まさかこんな事になるとは……。

<ケイがLv8に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント1、融合進化ポイント1、生存進化ポイント1獲得しました>

あ、見えないけどなにか轢いたっぽい。地面に一般生でもいたのかな。ちょいちょい経験値ってくるんだよな。……この経験値もあるから勿なくて離も出來ないんだよな。一応放置するのも無責任だとも思ってるけどね。さて、とにかく本格的にどうしたものか。この巖を止める方法を考えろ!

「なぁ、ケイ?」

「なんだ、アル? 今取り込み中だから、出來れば後にーー」

「なんかすごい勢いでケイのカーソルがあっちこっちに方向変えながらここに迫ってきてるんだが、お前何やった!?」

あ、そうか。俺がランダムリスポーンで飛ばされた南の方は南に行けば行くほどずっと上り坂だった。そして今はずっと北に向けて転がり続けている。ということは北が低くて南が高い傾斜のある地形って事だ。

そしてアル達は北の方にいて、そんなところをこんなもので転がればショートカットにもなると。マップ見てみれば確かにアルの植わっている崖の方へと向かっている。思わぬ移だな! って言ってる場合じゃないわ!?

「大巖転がして蟲を一気に仕留めようとしたらこうなった!」

「何がどうしたらそうなるんだよ!?」

「あ、アルさん、これじゃない?」

「……報共有板か? げ、コケに覆われた大巖が森林の南部から落石中だと!?」

「あ、うん、それが俺だな」

ハーレさんが報共有板から俺の目撃報を見つけたらしい。何人か目撃されてたからな。報告されても仕方ない。というか、これは後で報共有板に謝罪の書き込みするしかないかな。流石にこれはやり過ぎたはある。それにしても止まらないな……。視界が回転しまくらないように固定できるようになってるのが唯一の救いか。これで視界まで回転してたら確実に酔うわ……。あ、また何か轢いた。

「おい、今経験値ってきたけど、もう範囲ってきたのか?」

「あーたった今、立ち向かってきたイノシシを撥ね飛ばしたとこだな」

転がってくる大巖に向かって突進してくるとは良い覚悟をしているイノシシだ。経験値も結構味かった。いや、止められなくて他のプレイヤーを巻き込んでる時點で々と失敗は失敗なんだけど、経験値的には結構功なんだよな。避けきれなかった生はほぼ一撃で仕留めているから次々と経験値はってくる。一応まだプレイヤーには被害はないし、俺の攻撃判定になってるみたいだから衝撃はあってもダメージ判定はないんじゃないかな?

そうしているにもかなりアル達の場所に近づいている。それにしても予定外の事態のおでもうしで合流出來そうだ。……合流した後にお小言と謝罪の書き込みが必須な気がするのが気が重いけども……。

「思ったより早く合流出來そうだね? ……この方法は予想外だけど」

「まぁ今日中に合流出來そうってのはいいんだが、ケイ、自分で止められるんだろうな?」

「あ、ごめん、それは無理! 必死で手段考えてるけど思いつかない!」

「やっぱりか!」

「やっぱケイさんはやる事が違うね!」

「嫌な予が當たっちゃったか……」

「はぁ、これは後から謝っとかないと駄目っぽいな」

楽しそうなハーレさんと対象的に呆れた口調のサヤとアル。くそ、どう考えてもやり過ぎた現狀だと言い返せない!

「……で、問題はどう止める? 多分、この方向だとそこの崖の上から來るよな?」

「ケイに経験値がってるって事はケイの攻撃判定って事だよね? 一応私がけ止めてみようか?」

「お、サヤ! さっすが!」

「……俺もでサヤのを支えてみるか」

「私は……無理だね!」

どうやらサヤがこの大巖をけ止めてくれるらしい。一般生のイノシシはあっさり撥ね飛ばしたが、あのツチノコの突進をけてもダメージは負っても吹き飛ばされなかったサヤだ。け止められる可能はある。

アルのすぐ近くの崖は南側にある。このまま転がっていくと方向的に崖の上から飛び出してさらに下方へと転がっていくだろう。その先には川があるから最悪そこで止まってくれるとは思うけど……。崖の下側に衝突だったならそれで止まれたんだろうが、地形的にそうなっている以上は仕方ない。

「サヤ、無理しなくてもいいぞ? 最悪、その先の川の辺りで止まるだろうし」

「止まらなかったらどうするの? 下手したらそのまま赤の群集エリアまで行きそうだよ?」

「うっ……」

確かに川で止まらずにそのまま行けば、落膽してたヨッシさんと遭遇したマップ切り替え場所までずっと下りだ。運良く何処かに引っ掛からない限り、赤の群集エリアへと突っ込んで行く事になりかねない。そして赤の群集のプレイヤーにはダメージが通るだろう。……うん、大慘事だな。いや、もう既に大慘事か。

「私達でなんとか止めるからね。アル、位置はこの辺りかな?」

「あーもうちょい離れた方が。あ、多分そのくらいだ」

「私は崖の上に行って直接見てくるよ! 見えたら合図するね!」

アルとサヤが崖の下でけ止める準備をしているのだろう。場所を間違えればそのまま素通りしかねない。ハーレさんは直接目視してタイミングを図るようだ。あ、そろそろ見覚えのある風景になってきた。もうアルの植わっている地點まであとしだろう。

「あ! アルさん、サヤ、コケの大巖見えたよー!」

「お、そうか! ハーレさん、方向の微調整を頼む!」

「分かった! えーっと、サヤもうちょい左!」

「このくらい?」

「あ、ちょっと行き過ぎ。うん、そのくらい!」

「あ、やっと見つけた! なぁ、そこのリスーーって、何事!?」

「え? なんで赤の群集の人が!?」

そこに急に現れた赤いカーソルのイノシシのプレイヤー。聲からして男だな。何か用があったのかハーレさんを見つけて猛ダッシュで走って來てから転がってくる大巖に気付いていた。だが、イノシシ故か豬突猛進で止まれない。

「いきなり前に出てくんなー!? 避けろ!?」

「えぇ!? この大巖、プレイヤーなのか!?」

大聲で赤の群集イノシシの人に警告するが、これはタイミングが悪すぎる。スリップでの強制方向転換も間に合わない。というか、なんで赤の群集の人がこんなとこにいるんだ!?

「「あっ……」」

「ぐはっ! なんでこんな事に……」

そして赤の群集のイノシシの人は轢かれて死んだ。……なんか用事があったみたいなのに、なんかごめん。悪気はなかったんだ。……言ったら悪い気もするけど轢いたおし勢いが落ちた。これでしサヤの負擔が減る。

<ケイがLv9に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント1、融合進化ポイント1、生存進化ポイント1獲得しました>

あ、他の群集の人を倒しても経験値は貰えるんだ。……この狀況では知りたくなかった報だな。

「……あっ!? サヤ、今だよ!」

「なんか非常に上の狀況が気になるけど分かったよ!」

唐突に手にった経験値やら俺やハーレさんの會話やらで非常に狀況は気になるだろうが、タイミング的に時間がないのでサヤは意識的にそれらを後回しにする。さて、とうとう崖が迫ってきた。大ジャンプである!

その崖下で待ち構えるのはアルのに巻きつけて安全ロープ代わりにしているサヤだ。ハーレさんの導通りにちょうど俺が飛んでいく真正面で待ち構えていた。その景は非常に頼もしいものであった。

「サヤ、任せた!」

「任されたよ!」

「俺もいるからな!?」

サヤだけに言ったのが不満なのかアルの苦も聞こえてくる。そしてサヤにコケを纏った大巖が直撃する。なんとかけ止めたものの、表面のコケがるのかしっかりと摑みきれていない。

「あ、これって力がりにくい!?」

「よっしゃ、ならこれでどうだ!?」

「アル、ありがと!」

そう言ってアルがばし、巖に巻きつけていく。作は確実に上がっており、大巖にしっかりとを張る。そしてそれをサヤが摑み、ようやく大巖の勢いが止まってくれた。アルがいなければ勢いこそ落ちていたものの、サヤだけではってけ止めきれなかったかもしれない。

「うはー、やっと止まった! サヤ、アル、ハーレさんありがとな!」

「まさかこんな事になるとは思ってなかったけど、ケイ、おかえり」

「おう! ただいま!」

「まったく、世話焼かせるんじゃねえよ!」

「アルさんは素直じゃないねぇ? ケイさんおかえりー!」

々と被害を出したし、迷をかけてしまったので後でその始末はしなければならない。それでも予定外の手段とはいえ、なんとかここまで戻ってこれたぜ!

<規定條件を満たしましたので、稱號『森を荒らすモノ』を取得しました>

<増強進化ポイントを3獲得しました>

<規定條件を満たしましたので、稱號『巖を扱うモノ』を取得しました>

<スキル『巖の作』を取得しました>

あ、そういう稱號を與えられるのか。そりゃあれだけやればそうですよねー!

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