あまりじっくり見ていなかったスキル一覧を見てみれば、なにやら知らない《応用スキル》とかいう項目が増えていて、その中に『巖の作』があった。『巖の作』って確か、稱號『巖を扱うモノ』を取得した時の報酬だよな……？　これって公表しても良い報か？

「ケイ？　固まってどうしたよ？」

「なぁ、アルは《応用スキル》って知ってるか？」

「はぁ？　んなもん、聞いたこともーーって、まさか……」

「ケイさん、また新発見！？」

「々と新実裝のものが多いんだね」

「とりあえず詳細教えろ！　どんなスキルを手にれた！？」

どうやらこの反応を見る限り誰も知らないみたいだ。とにかく『巖の作』の詳細を見てみよう。《応用スキル》なんて分類だけじゃ細かい事はよく分からない。

『巖の作Lv1』

行値を消費する事で巖をる事が可能になる。作の難易度はLvに依存し、また消費行値も変する。

あ、説明文自は『水の作』と大して変わらないな。えーと、それで消費行値は……。え、20……？　え、ぎりぎり発出來るか？　いや、『夜目』発中だと微妙に足らないから今は無理か……。

「……《応用スキル》は『巖の作』でLv1での行値消費は20だってさ」

「消費が隨分多いね？　今はまだ取得する段階のスキルじゃないのかな？」

「まぁ《応用スキル》って名前からして生で使うもんとは思えないな」

「なんか下位スキルがありそうだよね？　というか『巖の作』が何かの上位スキルかな？」

「アルさん、ケイさん、この報はどうするー？」

「ケイ、どうする？　この報、前の『水の作』の報と合わせたら作系スキルの取得條件がある程度絞れるぞ？」

おそらく大の條件は摑めた。作系スキルはアルの『の作』みたいな固有スキル以外は、多分『〜を扱うモノ』系の稱號と共に貰えるスキルだ。そしてその稱號の取得條件は、推測だけど何らかの方法で自然の中にあるものを利用し、何かの実績を殘して別の稱號を得る事。

『水の作』を手にれた時は『植達の救世主』と同時で、今回の『巖の作』は『森を荒らすモノ』と同時取得だ。他にも條件があるかもしれないけど、試す価値があるだけの條件には絞れている。

「……多分、これはそのうち誰かが気付くよな？　みんなは作系スキルって取得したい？」

「まぁ、そうだろうな。俺は『の作』があるけど、まぁ他にも取れるならそりゃ取りたいわ」

「私もなんとか取ってみたい！」

「そうだね、私も取ってみたいかな」

みんな揃って取得希だった。當たり前と言えば當たり前の反応か。ヨッシさんはどうだろう？　やっぱり取りたいって言いそうな気はする。……うん、決めた。

「條件付きで公開しよう」

「おぉ！　流石、ケイさん！」

「ケイ、いいの？」

「いつか誰かが気付くならね。俺らだけ全員持ってたら匿してるのバレバレで使いにくいしさ」

「意図はわかったが、條件ってのは？」

「それは見てのお楽しみって事で！」

そうと決まれば早速書き込みだ！　さて、途中で書き込み中斷みたいになったけど、今はどうなってるだろうか。

オオカミ　：　手が自由に扱えるヤツは々投げてみるのもありかもしれんな。

サル ：　そういやを投げたら『投擲』は手にったな。まぁこれはオフラインでもあったやつだが。

シカ ：　角で倒木でも突き刺して振り回してみるとか。

トカゲ ：　流石にそれは直接角で攻撃した方が早いだろ。

シカ ：　確かに……。でも崖の上から落石くらいならいけるか？

草花 ：　『の作』をLv上げて、で土を固めて毆ってみるとか出來そう……？

オオカミ　：　そうか、そういう手段もあるか。花だとキツそうだが、木なら大きな巖とかでもいけるんじゃねぇか？　……植系の方がこの手段は応用力高いのか？

草花 ：　あ、そうかもね。すぐには無理だけど々出來そう。

どうやら自然を利用した攻撃方法の考案をしていたようだ。そうなるとこの追加報はかなり有益だろう。その手段の先にあると思われる報だからな。

木 ：　あー盛り上がってるとこ悪いんだが、追加報だ。とっておきのな！

オオカミ　：　ん？　急に書き込みが途絶えたからどうしたかと思ったが、報公開の相談をしてたか？

リス ：　あ、オオカミの人はやっぱり鋭いね！　その通り、相談してました！

クジラ ：　って事は、他にも重要な報が！？

コケ ：　いつもは木に任せてたけど、今回は俺が自分で説明するよ。その代わり條件というか、ちょっとお願いもあるしね。

サル ：　條件？　お願い？　どんな事だ？

オオカミ　：　まぁお詫びの報としてはさっきまでのでも充分だったしな。

コケ ：　まぁ無茶な事は言わないさ。これから公開する報で試して手にった報は極力ここで共有してしいだけだよ。あと他の群集には緒でな！

オオカミ　：　ちょっと待て。そんな前置きが必要ってどんな報だよ、おい！

草花 ：　……かなり応用の効く報？　そういう條件なら問題はないけど。

トカゲ ：　他の群集に緒ってのは賛！　ここで報共有も大賛！　どっかのヤツはフレにすら報隠すからな……。

シカ ：　そうそう。ってこっちのPTの話はいいか。同じく賛。

ライオン　：　今居ない者や見ているだけの者のきは制限出來んが、極力共有をすると約束しようではないか。

オオカミ　：　そうだな。ライオンの人の言う通り全員に守らせる事は不可能だが、最大限の努力はしよう。

クジラ ：　おうともさ！

サル ：　まぁ今まで木の人経由で々報流してくれてたしな。それでいいよ。

今書き込んでいる人達は同意してくれた。ライオンの人が言うようにこの報を見た人全員にという訳にはいかないだろう。まぁそうなったらそうなった時だ。次に何かの報を手にれた時に出し渋ればいい。

コケ ：　とりあえず今回手にれた稱號の事からーー

大雑把に手にれた稱號と《応用スキル》の存在、そして推測した取得方法を説明していく。これは実際にんな人に試してもらい、その結果を書き込んでもらうのが良いだろう。その為の條件だ。そしてここで公表した以上はPTメンバーで全力で取得を目指して目立っても問題ない。そして、一通りの説明が終わる。

オオカミ　：　……なるほどな。《応用スキル》って上位スキルの存在に、作系スキルの取得條件、それに関わる稱號か。こりゃ確かに有用過ぎる。さっきまでの検証も無駄じゃないどころか最優先だな。

シカ ：　確実に『巖の作』って取得が早すぎるスキルだよね。行値20消費はヤバい。

トカゲ ：　ヤベェよな。俺、行値上限20もないから発すら出來ないやん。

コケ ：　取得したものの、行値が足りなくて発出來ないっていうね？

クジラ ：　そうなんだ？　コケの人、今レベルいくつ？

コケ ：　今は9だな。

リス ：　あ、追いつかれてる！？

木 ：　あーリス、そういうのは後でPTの方でな？

リス ：　あ、そうだね！　ごめん、ごめん。

ライオン　：　コケの人、禮を言う。これは確かに重要な報だ。

草花 ：　そうだね。これなら『巖の作』の下位スキル辺りに『土の作』とかありそうだし、取得狙ってみよう！

クジラ ：　うわっ！？　マジか！？

カツオ ：　おい！　クジラ、今度はなんの真似だ！？

オオカミ　：　なんだ？　カツオっていうと午前中にクジラに呑まれたヤツか。どうした？

カツオ ：　なんだも何もねぇよ！　いきなり口から水を吹き出しやがって！　ぶっ飛ばされたじゃねぇか！？　おいこら、クジラどういうつもりだ！

クジラ ：　あぁ！？　巻き込んじゃったのか！？　ごめんなさい！

ライオン　：　カツオの人、し落ち著くと良い。

カツオ ：　落ち著けも何も……ん？　これは何かの報の検証中だったのか？

オオカミ　：　まだログは流れきってないから、し遡って見てこい。クジラの人、何をしたか説明を。

クジラ ：　思いっきりスキル使って海水を吸い込んで吐き出したら『海を荒らすモノ』と『海流の作』ってスキルが手にった……。ちなみに《応用スキル》だね。

リス ：　早速再現が出たよ！？

木 ：　こりゃ、條件はほぼ確定っぽいな。ただ、周りに被害が出るのか……。

カツオ ：　おい、なんの冗談だ？　この報なんだよ！？

オオカミ　：　いきなり試してみてカツオの人が巻き込まれた訳か。カツオの人、災難だったな。

クジラ ：　カツオの人、ほんとごめん！　わざとじゃなかったんだ！

カツオ ：　あーちょうど落ちようとしてたタイミングで邪魔されてイラッとしたけど、この報見て気が変わった。面白そうな事やってんじゃん！

サル ：　あ、一気に態度が変わった。そりゃこの狀況に居合わせられたならそうなるか。

早速クジラの人が推測の條件から《応用スキル》を取得したか。もっと検証に時間かかると思ってたけど予想以上に早かったな。やっぱり報公開して正解だったかな？

気が付けば朝日が昇り始めている。夜と晝の切り替えは実際の時間で夜の12時だから切り替わり始めるのは夜の11時か。今日は々あった1日だったけど、なんとか本日中には合流出來た。それに々迷かけたとはいえ、重要な報も手にったもんだ。

「さてと、一區切りもついたしそろそろ俺はログアウトするよ」

「あ、もう11時なんだね。私もそろそろかな」

「私はもうちょっとやっていく！」

「俺もだな。こんな極上の報の検証を放り出して寢れるかってんだ！」

「そうだそうだー！」

サヤは俺と同様にログアウトするつもりで、アルとハーレさんはこのまま検証を続行と行くつもりらしい。俺も気にならない訳ではないけど、どんな結果になったかは後日2人から聞けばいいか。下手に付き合えば夜更かしし過ぎて明日に影響がありそうだしな。明日が休みなら夜更かし上等だけど、流石に學校があるから適度な所で切り上げよう。

「それじゃまたなー！」

「おう、またな！」

「ケイさん、またねー！」

「ケイ、またね」

みんなに別れの挨拶をしてログアウトを選択すればログイン畫面へと戻される。いつもの如く管理AIであるいったんが待ちけていた。部分の文字は『二日目もうしで終了〜』と書いてある。

「お疲れ様〜」

「今日はなんかお知らせある？」

「特に何もないよ〜。『仲間の呼び聲』の配布でほぼ苦はなくなって至って順調さ〜！」

「お、良かったな。それじゃ今日はこの辺で」

「はいよ〜。またログインするのを待ってるよ〜！」

2日目もゲームは終了し現実へと戻ってきた。ベッドで橫になっていたのからを起こし、VRゲーム機を頭から外す。

さてと明日は普通に學校だ。さっさと風呂って寢てしまおう。うちの親は遅刻とかにはうるさいからな。下手に大遅刻したらゲームを取り上げられる可能もあるし、安全対策をしておかないとな。

【ステータス】

名前：ケイ

種族：コケ

所屬：灰の群集

レベル　6　→　9

進化階位：生

群數　632/1200　→　632/1500

行値　8/17　→　8/20

攻撃　6　→　9

防　15　→　21

俊敏　6　→　9

知識　11　→　17

用　15　→　21