《Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜》第52話 アルマースの進化

さてサヤの進化も終わり、次はアルの番である。俺は相変わらず死ぬのを繰り返している。さて、アルの進化はどうなるのやら?

「あ、そうだ。聞くの忘れてたわ」

「ん? 何をだよ、アル?」

「俺の進化先。みんなオフライン版やってるから木の一番初めの進化は進化先が多いの知ってるだろ?」

「なになに!? アルさん、私たちの要聞いてくれるの!?」

「アルさん、やるじゃない!」

「良いってことよ!」

「アル、本當に良いの?」

「おうよ。1枠しかないなら流石に悩むが、あと2枠もあるしな。それになんだかんだで、居心地良いからな。集まれる場所になるくらいはむとこだぜ!」

「おー、アルも良いとこあるじゃんか! カッコつけんなよ、こいつ!」

「ケイに言われたくはねぇわ!」

薄々そんな気はしていたけど、やっぱりアルは々考えていたようだ。殘り2枠あるとはいえ、知り合って間もない俺らの為に進化先を一緒に選ぼうとしてくれるとは。良いやつに出會えたもんだ。

「つっても、移はしたいからとその系統に限るけどな」

「その言い方だと移が出來ない進化もあるんだね?」

「え!? 移不可の木なんてオフライン版でいたっけ!?」

そういやハーレさんはサファリ系プレイヤーだったっけ。あれはあちこち見て回りたい人と1ヶ所にずっと留まって観察する人がいたはずだけど、世界樹ルートを知らないって事はハーレさんはあちこち見て回ってたタイプだな。まぁ公式としても隠し要素だったらしいから知らなくても仕方ないか。

「ハーレさんは知らないのか。隠し條件で一切移せずに最終進化まで行くと世界樹っていう特殊進化先が出るんだよ」

「へぇー!? そんなのあったんだ!」

「そうそう。世界樹になると人類種を発展させる街発展のゲームになるんだよね」

「あれ、地味に難しいんだよね。でも流石にあれはオンラインでは無理じゃない?」

「まぁそのままでは無理なんだろうが、移不可の進化先があるから何かしらけない事にも要素はありそうだぞ」

「てか、みんなしっかり世界樹ルートもやってんだな?」

「ケイもだろ?」

「まぁな!」

系隠し進化ルートの世界樹は移用ののスキルをわざと取らずに初期位置から最終進化まで行けば発生する特殊進化で、進化後は世界樹に集まったモンスター達を人類種への進化を促す街作りゲームになる。でも流石にオンライン版ではそれは出來ないと思うから、移不可の進化先があるのも何かの新要素なんだろうな。

「とりあえず出てる進化先は『桜』『松』『杉』『柑』『栗』『樫』だな。それぞれ移可と不可があるから計12種類か」

「へぇ、結構種類あるんだね。でもリアルの樹木と比べたらこれでも圧倒的にないんだよね」

「まぁそこはゲームだし仕方ないだろうな」

柑食べたいなー! でも栗も食べたいなー! やっぱりそのまま食べられる柑かな!」

「ハーレの選ぶ基準って食べられるかどうかなんだ? 相変わらずというか、ゲームの中でもそれなんだ」

「良いじゃん! こっちじゃいくら食べても気にしなくていいんだもん!」

ハーレさんは食べ中心らしい。桜の実はそのままじゃ味しいものではないらしい。松、杉、樫の実は知らない。

オフライン版を基準に食べる以外の面で考えるなら松と栗は松ぼっくりと栗の実が投擲出來るようになったはず。樫は防の高い木だったな。杉は花で狀態異常だった。桜は花びらが飛ぶ武で、桜吹雪が似非風魔法とか言われてたやつだ。柑は回復アイテム兼モンスター引アイテムになっていた。よほどの仕様変更がない限りはどれを選んでも悪い方向ではないだろう。

「アルはどういう方向に進化させたいんだ?」

「そうだな……。移速度は遅いだろうから、後衛になる事を考えたら多分回復支援向きの『柑』か遠距離攻撃の『桜』のどっちかと思ってるが……」

「はい! それなら私、柑がいい!」

リスの小さな手を一生懸命上げて自己主張しているハーレさんの姿が目に浮かぶようだ。アルの選択肢の中に『柑』があったのが嬉しいのだろう。理由はどう考えても食べたいからだろうけど、回復手段を持っているというのは確かにありがたい事ではある。理遠距離攻撃のハーレさんに、遊撃や中衛になりそうな俺とヨッシさん、前衛のサヤというバランスならば後衛の回復役のアルというのも有りだろう。

「こりゃ決まりか? 誰か意見ある人?」

聞いてみるけど誰も異議を唱えない。もうこれは決定だな。

「よし、んじゃ俺は『柑』に進化するってことで決めた! 水月さん、待たせてすみません」

「さぁ、第2回進化のための死亡戦が始まります! 今回の挑戦者はこちら、木のアルマース選手となります! 対する相手は第1回の覇者、クマの水月選手ー!! さぁ、この勝負をどう見ますか、解説のヨッシさん?」

「えっ、またやるの? っていうか私が解説なの!?」

「頑張れ、ヨッシ!」

また始まったよ、ハーレさんの実況タイム。今回の解説役はアルじゃなくてヨッシさんが選ばれて、本人は困している。サヤは他人事のように楽しそうな聲音だ。今回は実況される側でもなくする側でもないから気楽なのだろう。

「さぁ、どう見ますか、解説のヨッシさん!」

「うぅ……、そうですね、ここは直に戦ったサヤ選手の所見を聞いてみるのはどうかな?」

「……え?」

「それもそうですね! 水月選手との戦いは如何でしたか、サヤ選手?」

「わー!? ヨッシに巻き込まれた!?」

サヤがヨッシさんに引きずり込まれて、混沌とし始めた。いいぞ、もっとやれー! 自分が巻き込まれない分にはこういうのは聞いていて面白い。とはいえ、相手がアルでなければ実況と解説は立しなさそうだな。

「あー、そろそろ始めて良いか?」

「はい、改めまして実況を再開します!」

「まだ実況やるのかよ!」

「えーやりたいのにー!」

「ごめん、ハーレ。私は無理……」

「私も無理だよ……」

「もう仕方ないなー。んじゃ普通に、試合開始!」

「水月さん、お願いします!」

そうして水月さんとアルの勝負が始まった。いや、アルが線しかけたところを軌道修正しようとしたのに実況に戻るとは思わなくてついツッコミれてしまった。

「……実況って何やってんだ、ケイのPTは?」

そんな風に考えていたら、目の前から聞き覚えのある聲がする。目の前を見てみれば、以前よりし黒く並みに艶が出て、し大きくなったオオカミの姿が見える。カーソルのは灰で名前も見覚えがある相手だ。

「あ、ベスタか。こんばんは」

「おう、こんばんは。っていうか何でこんなとこいるんだ? 昨日合流したんじゃねぇのか?」

々あって、絶賛ランダムリスポーンを何度も繰り返してる真っ最中!」

「いや、ほんと何やってんだ?」

「あ、またそろそろ死にそうだ。そんじゃまたなー!」

<環境適応外の為、群が全滅しました>

<リスポーンを実行しますか? 『群分離』場所へ / ランダムリスポーン>

えーと、これで40回目の死亡だったっけな。もう會話しながら何度も死にまくってるけど、まさかベスタの目の前にリスポーンするとは思わなかった。まぁランダムだとこういう事もあるか。さてまたランダムリスポーンだ。後何回で適応進化が発生するかな?

「……いや、ほんと何だったんだ?」

ランダムリスポーンの直前にそんな呟きが聞こえたけど、説明する時間がないからまた今度って事で。すまんな、ベスタ!

「よし、俺も進化完了!」

「お、アルも進化終わったんだな。試合どうだった?」

「いや、普通に何もせず倒されたぞ。ケイはオオカミの人と遭遇してたっぽいな。後で説明しといてやれよ?」

「なんだ、試合しなかったのか。ベスタには後でフレンドコールれとくよ。んで進化後はどんなじ?」

「『木』から『柑』になった。『・移種』だとよ。腳ってなんとなく意味分かるけどもうちょいなんとかならなかったのか……?」

ベスタと遭遇してたからアルの戦闘が聞けなかったけど、サヤみたいに試合はしなかったらしい。まぁけないアル相手にの水月さんでは勝負にもならないか。なんて直ぐに引き千切られて終わりそうだし。

そして進化の方は、まぁ見たまんまが腳代わりになってるってことなんだろうな。そういや木はオフライン版と移仕様が変わってるけどその辺どうなんだろう?

「あー気にしてそうだから今から確認して教えとくぞ」

「くっ、やはりアルはエスパーじゃないのか!?」

「いや、大想像つくだろ」

「だよね」

「うんうん!」

「まぁこの場合はみんな気になってるだろうし?」

どことなく気を遣っているじのヨッシさんの言葉が逆に辛い!?

「えーと、固有スキル『腳移』が移用か。こっちの固有スキル『下ろし』ってなんだ? あ、これはセットのスキルか!」

「移する時に『腳移』で、移してない時が『下ろし』かな?」

「アルさん、仕様はどうなってるの?」

「今読んでるから、ちょい待て。なるほど『下ろし』中は今までと同じじで、『腳移』使用時には行値上限が半減か」

「そういう仕様か。移中は他の行に制限がかかるってわけだな」

「まぁ元々植って歩くものでもないし仕方ない仕様じゃないかな?」

「まぁな。ほうほう、『腳移』のLvが上がれば移速度アップか。なぁ、水月さん、折角移出來るようになったから俺も赤の群集エリアに行ってもいいか?」

あ、アル自らも出向く気か。うーむ、自ら選んだ道とはいえ、俺一人置いてけぼりか。さっさと適応進化出ないかな? 進化したなら即座に合流するんだけど。

「うわ!? あ、なんだコケの人か」

「ん? あ、トカゲの人? 報共有板にいた人か?」

「おう、そうだぜ。コケの人、何やってんの?」

「その前に直接言わせてくれ。昨日潰してごめんな?」

「良いって、気にすんな! で、今度は何事?」

「ちょっと実験兼ねて、進化でランダムリスポーンを繰り返しまくってるとこだ」

「……どうやんの、それ?」

功したら後で報流すから、それ待っててくれー! んじゃまた死ぬのでさらば!」

「おう? 相変わらず々やってんなぁ?」

今度はトカゲの人の前にランダムリスポーンしたな。うん、この人には直接言っておきたかったからある意味ラッキーだったかもしれない。これで45回目の死亡。50回目くらいで進化來い!

「んじゃ、ケイ、俺ら赤の群集の森林エリアに行ってくるからなー!」

「おうよ。もし進化が間に合って追いつけそうなら、追いかけるからなー!」

「アルの速度に合わせるから、ゆっくりになるから急げば追いつけるよ!」

「ケイさん、待ってるよー!」

「ケイさん、頑張れ!」

さて頑張っていこうと言いたいけども自発的にはどうにもならないのがどうしようもないとこだ。まだ低い進化階位だから無茶苦茶な回數ではないと思いたい。

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