「ケイ、水月さんからの返答だ。『仕留めてくれて構わない』ってよ。PTの會話越しに相當荒れた聲が聞こえてたみたいで、水月さんも怒ってるじだ」

「そっか、なら遠慮なく仕留めさせて貰うよ。いい加減苛つくし」

許可も出たし、もういい加減我慢の限界だ。俺だって他人に迷をかけることはあるけど、それでもやり過ぎたら謝るし、反省だってする。無自覚で迷を振りまくだけのこいつなんかはここらで退場しろ。

「あぁ！？　やんのか、このコケ！」

「いい加減、その勝手さには腹が立ってたんだ。ここで送り返してやるよ」

「ふざけんじゃねぇぞ、ただの種族野郎が！」

ただ勝手な怒りに任せてイノシシが突っ込んでくる。そんな単調な突撃が通じるとでも思ってるのか？　というかコケが雑魚だとでも見下してるのか、こいつ。

＜行値を1消費して『群化Lv1』を発します＞ 行値　20/21

イノシシの進行方向の前にあるコケを群化する。進化したけども、一度失った地上適正を取り戻した事で生の頃と同じように扱えている。いや、以前より反応速度も上がってるな。これが進化した力か。

＜行値を2消費して『スリップLv2』を発します＞ 行値　18/21

「ぐはっ！？　くそ、何しやがった！？」

群化したコケの上に突っ込んだイノシシを盛大にらせてやった。思いっきりってそこらの巖場に顔面から衝突していた。コケだからって舐めてかかるからそういう目に合うんだよ！　とりあえず、スリップもLv2なら長にも有効か。

＜行値1と魔力値4消費して『水魔法Lv1：アクアクリエイト』を発します＞　行値　17/21　：　魔力値　36/40

せっかくなので今までの水と何が違うのか試す為に『水魔法』で魔力から水を生する。まさか進化後の初戦が対人戦とは思わなかったけど、遠慮なくやろう。

＜行値4を消費して『水の作Lv4』を発します＞ 行値　13/21

「……なんで水が出てくるんだよ！？　お前、一何をやってんだ！？」

「誰が教えるかってんだ。報の重要さをちょっとは考えろ！」

必要な事は言わず、必要のない事ばかりする奴に教えるような報はない！　そもそも対人戦で戦法ベラベラ喋る訳ないだろうが！

そして水魔法で作った水を作する。自分で作った水だからか支配指定は必要なかった。そして明らかに今までの水とは作が違う。圧倒的にスムーズにかせてきも早い。分裂數は今までと変わらず2つまでだけどそれで充分だ。

2つの水球を作し、今までよりも早い速度で何度も何度もイノシシのに打ち付ける。このイノシシは長にこそ進化しているが行が単調過ぎてプレイヤースキルが欠片もなっちゃいない。この程度の水球ならサヤは簡単に打ち落とすし、ヨッシさんには簡単に避けられるぞ。これ、水魔法のおかげか、進化の影響か、確実に威力が上がっている。両方の影響かもしれないな。

流石に長のイノシシなだけにそれなりに丈夫ではあるけど、ただそれだけだな。水魔法がただの水の作よりも強力だから充分ダメージが通る。イノシシのほうは、ただ闇雲に走り回るだけで何も出來ていない。何度も何度も水球で打ち付ける。

「くそっ！　ふざけんな！　なんでこんなに一方的なんだよ！？」

「そのくらい自分で考えろ！」

劣勢の理由すら自分で考えようともしない。イノシシなら走り回って地面のコケをしまくるくらいしてみやがれ。そろそろ水の作が厳しくなってきた。魔法で作った水のほうが作時間も長かったけどな。とにかく一旦解除しよう。

もうこれ以上、こんな弱い者イジメみたいな事はやってられない。次の一連の攻撃で終わりにしよう。

＜行値を1消費して『群化Lv1』を発します＞ 行値　12/21

＜行値を1消費して『群移Lv1』を発します＞ 行値　11/21

「なっ！？　何処行きやがった！？」

いつかの殘滓のカブトムシを仕留めた時のようにイノシシの真下に移する。ふん、同じ長なのにツチノコにも氷狼にも遠く及ばない雑魚め。

＜行値1を消費して『毒生Lv1』を発します＞ 行値　10/21

「がっ！？　くそ、毒もあるのかよ！！」

＜行値1と魔力値4消費して『水魔法Lv1：アクアクリエイト』を発します＞　行値　9/21　：　魔力値　33/40

＜行値4を消費して『水の作Lv4』を発します＞ 行値　5/21

毒は耐がなければけるかどうかは単に確率の問題だけど、あっさりと通った。水魔法で作った水での攻撃では魔力値は回復しないけど、毒生でのダメージで魔力値は1回復している。これは行値と相談しながら合間に毒やスリップも混ぜながら運用するのがいいのか。

再度水を用意し、イノシシの足元へと水を集中させる。逃げようとはしているけどきが単調すぎる。そんなので回避できるとでも思ってんのか。ともかくこれでイノシシを空中に打ち上げてやる！

「んな！？　なんじゃこりゃ！？」

俺の水によって打ち上げられたイノシシは困しつつもんでいた。打ち上げるのに使った水を上空へと移させ、角度を調整する。狙うのは崖下の巖場部分だ。これで終わりだ。死にさらせ、勝手なイノシシめ。

現在最高速で打ち出した水の塊でイノシシを巖場に吹き飛ばす。イノシシの顔面は巖にぶつかり潰れていて、もうほぼHPは殘っていない。

「……お前、なんなんだよ……」

「ただのコケだっての。お前、マナー違反も大概にしろよ。こっちにだって我慢の限界ってもんがあるんだ」

「……ははっ、こういう事なのか？　いつか誰かをブチ切れさせるから態度を直せって言ってたのは……」

それだけ言い殘してイノシシは毒のダメージをけ、僅かに殘っていたHPも無くなり息絶えてポリゴンとなり砕け散った。おそらくリスポーン位置に戻ったのだろう。水月さんは散々忠告していたんだろうな。いつか誰かを本気で怒らせるって。どうせ馬の耳に念仏だったんだろうけど。

俺は楽しんでゲームをやりたいだけなんだ。マナーの悪いやつは嫌いだっての！

＜ケイがLv3に上がりました。各種ステータスが上昇します＞

＜Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました＞

あ、Lvも上がったか。まぁ弱い者イジメみたいでスッキリしない展開だったけど、鬱憤晴らしにはなったかな。あとしだけど水魔法の検証は出來た。

「あー、アル。イノシシ狩り終わったぞー」

「意外と早かったな？」

「あいつプレイヤースキルも何もなかったぞ？」

「よくそれで今の段階で進化出來てたね？　え、あ、そういう事ですか」

「あーなるほど！　納得といえば納得かな。あの格ならやりそうな事だしね」

「……ん？　どういう事？」

おそらくは水月さんが話しているんだろうけどPTではないから會話がわからない。

「PTプレイしてた時は指示聞かずにほぼ寄生プレイで、ソロの時には周りからの苦から推察になるけど、弱った敵のトドメばっかり橫取りする橫毆りの常習犯だったそうだ。運営からも警告來てたのも無視して、水月さんがゲームを取り上げようか検討してたとこらしい」

「……マナー違反の塊だな」

「というか、さっきログアウトした時にゲーム機を一時的に取り上げてたらしいんだが……」

「……ネカフェか何処かにでも行ってログインしてきたのかもね」

「そこまでやるか、普通……」

本當に自分勝手の塊みたいな奴だったって事か。まぁ運営からも警告されてての水月さんも対応を考えてるなら、俺らが関わる事でもないな。というか関わってくれって言われても斷ります。

さて変なのも送り返したし、アルたちと合流して赤の群集の森林エリアに向かおう！　あ、そういやまたあのイノシシいるかも知れないけど、次に遭遇したら即座に逃げよう。雑魚だったからあっさり倒せるけど、あれは俺の楽しみ方とは全然違う。PKは否定しないけど、あんまり個人的には好きじゃないんだよな、PKって。

とにかく合流だ！　一発蕓・りを再登録して時間短で行くぞ！

『一発蕓・り』

登録容：『群化Lv2』・『群移Lv2』・『群化解除Lv2』・『群化Lv2』・『群移Lv2』・『群化解除Lv2』・『群化Lv2』・『群移Lv2』・『群化解除Lv2』・『群化Lv1』・『群移Lv1』・『群化解除Lv1』

行値の上限も増えたから効率も上がった。急斜面でもお構いなしでショートカットしていたら柑っぽいものが生ってる木が見えてきた。移速度はあまり早くはないが、確実にいている。もうし近寄れば、クマが2匹にハチとリスの姿も見える。間違いなくあれはアルだな。よし、灰の群集エリアでなんとか追い付いた！

「おーい、みんな！」

「あ、追いついてきたんだな、ケイ」

そして何故か水月さんがこっちに向かって走ってきた。あれ？　どうかしたのだろうか？

「ケイさん！　一アーサーに何をしたんですか！？」

「えぇ……。仕留めていいって聞いたから全力でブチのめしただけだけど、やっぱり不味かった……？」

「いえ、それは何も問題はないのですが……実は、その……」

「……一何が……？」

「……リスポーンした後に無言でログアウトしたかと思ったら、しばらくして再ログインして戻ってきたのですが、何故か皆さんに素直に謝りたいと申してまして……。私としても何が何やら……」

「……はいっ！？」

水月さんも非常に戸っている様子。だけども俺はもっと戸っている。ついさっきまであの調子だった奴が謝りたいとかどういう事だ？　あーどっか打ち所が悪かったのかな？　ってゲームなんだしそれは無いか。……何がどうしてそうなった！？

【ステータス】

名前：ケイ

種族：水陸コケ

所屬：灰の群集

レベル　1　→　3

進化階位：長・複合適応種

屬：水、土

特：複合適応

群數　1/1000　→　359/1400

魔力値　33/40　→　33/44

行値　5/21　→　5/23

攻撃　7　→　11

防　15　→　19

俊敏　6　→　10

知識　15　→　21

用　15　→　21

魔力　20　→　28