《Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜》第66話 採集アイテム
家に帰って來たら、母親から晩飯の食材の買い出しを頼む連絡が攜帯端末に屆いていた。今日の帰宅は6時頃らしいから帰ってから晩飯を作るそうだ。買い出し用の電子マネーの送付もされている。ちょっとログインする時間が減るけどこれは仕方ないな。さっさと買って帰ってこよう。
って事で近場のスーパーまで行ってさくっと買いを済ませて再び帰宅。すると玄関にはぎ散らかされた晴香の靴があった。晩飯の食材の買いに行ってる間に帰ってきてたのか。
「ただいまー」
「お、兄貴おかえりー! それ、今日の晩飯の材料!?」
「おう、今日は唐揚げだとよ」
「やったー! 大好だー!」
「それはそうと、朝は遅刻は大丈夫だったか?」
「兄貴のおかげで、ほんとギリギリセーフだったよ! ありがとね!」
「あんまり言いたくないけど、自分でちゃんと起きろよな? ゲーム、また取り上げられるぞ?」
「うっ……。それは嫌だし、気を付けないと……」
出來るだけ気を付けてくれ。親に沒収されても基本的に翌週には返してもらえるけど、そもそもあれは俺のものなので微妙な気分になるんだよな。
まぁいいや。晴香も自室に行ったし、俺も冷蔵庫に材料放り込んでさっさとゲームしよ。まぁ晩飯の予定の唐揚げは俺も好なので、若干テンションは高かったりする。晩飯が好だとなんか嬉しいよな!
◇ ◇ ◇
諸々の用事を片付けてログインすれば、そこはいつものいったんのいる場所だ。今日は部分には『問題あるプレイヤーの報告はいったんか、GMコールをご利用ください』となっている。今日の晝休みに慎也に聞いた話と昨日のいったんの発言を合わせるとやはりマナーの悪いプレイヤーの存在は運営の悩みの種なのだろう。
それも仕事の一環なんだろうけど、迷行為を平然とする相手の対処は大変なんだろうな。
「お、來たね〜!」
「掲示板で見たぞ。俺ってなんか変な勘違いされかけてたんだな」
「あ〜あれね。運営としてもあの勘違いは流石に慌ててさ。急遽、公式サイトにお知らせれたからね。タイミング的には君がログアウトした後になっちゃったもんで、ごめんね」
「まぁ対処してくれたならそれでいいよ。青の群集のクジラが大暴れしたって聞いたけど、昨日の運営が対応に追われてたってのはそれ関係?」
「他にも細々とはあったけど、一番大きかったのはそれだね〜。暴言に煽り、無差別PKにリスポーンした人の即座狩りとか今出來そうなありとあらゆる事をやりまくってたからね……。散々警告も送ったけど全て無視だったし、流石にあれはBAN以外の選択肢は無かったよ〜」
「なんつーか、ご苦労さま」
「まぁあそこまで酷いのはそうそう現れないだろうし、ある程度沈靜化したからね」
「そうか。そんじゃ行ってくるわ」
「はいよ〜。楽しんできてね〜」
ちゃんとここの運営はやるべき事はきっちりやってる訳だ。とはいえどうしても質上後手に回るしかないのはどうしようもないか。出來るだけ変な奴に出會わない事を祈ろう。って事で今日もゲーム開始だー!
◇ ◇ ◇
ログインしてゲームにれば、視界は暗かった。そうか、今日は夜の日だもんな。日替わりで晝と夜が互にくるとは結構思い切った仕様にしたもんだよな。とりあえずそのままだと暗くて視界が悪いので『夜目』をオンにしておこう。
<行値上限を1使用して『夜目』を発します> 行値 23/23(−1)
さてこれで視界も良好っと。誰かログインしてるかな? フレンド一覧を確認してみよう。お、ハーレさんと水月さんがログインしてるな。まぁ水月さんは比較的近くとはいえエリアも群集も違うから気軽には一緒にプレイ出來ないけども。
お、確認してたら視界にハーレさんを発見。アルにある巣の中でなにかゴソゴソとやっている。こちらに気付いたのか、巣から顔を出して手を振ってきた。
「おーい、ケイさん! ケイさんも今ログインしたとこ?」
「まぁな。その言い方だとハーレさんもログインしたとこか」
「うん、そうだよ! ね、ケイさん。早速昨日教わったの試してみたいんだけど付き合ってもらっても良いかな?」
「おう、良いぞ!」
毎日取得分のポイントを確保しに行きたい気もするが、後回しでも別に良いか。今は俺はポイントよりもスキルのLv上げの方が重要だし、ベスタの言ってた手段なら特訓用に魔法をどんどん使う必要もありそうだしな。みんなの特訓にもなり、水魔法も水の作も練度稼ぎが出來るなら一石二鳥である。
「その前に、柑を回収しようっと!」
「何してるのかと思ったらそういう事か。ログアウト中に自採集だったっけ?」
「うん、そうだよー! でもインベントリの枠が厳しいねー!」
「え、マジか!?」
ハーレさんはあちこちでんなものを採集してるし、そりゃインベントリ100枠じゃ厳しくもなってくるのか。ハーレさんって、そういやどの位の數を採集してるんだろう? あの拾い方からしたら100枠くらいじゃ全然足りてない気もする。特に投擲用の石とか木の実はどうなってるんだろうか? まぁ本人に聞いてみればいいか。
「參考までに今まで採集したって何がある?」
「えっとね、枇杷、柑、小石、ドングリ、木苺、さくらんぼくらいかな? 他にもあったけど使い切っちゃったから忘れちゃった」
「思った以上に多かった……。そりゃインベントリ足りないわ……。え、でもそれじゃあ石とかどうなってんの?」
「回復系はスタック出來ないけど、小石とかドングリはスタック出來るよー! ちなみに100個でインベントリ1枠だね!」
「ほーそういう風になってるんだな」
「果系はによっては種がスタック出來るようになるねー! 枇杷の種とかね」
投擲用に必須な小石などの弾向けのアイテムはスタック可能と。そりゃそうだよな。弾切れになったら困るのに、インベントリを圧迫するんじゃ使い勝手が悪過ぎる……。小川の水もスタック出來たら良かったのに……。いや、能バランスを考えるとあれは多の制限があった方が良いのか。それでも回復アイテムや討伐取得も考えたら100枠じゃ厳しいよな……。拡張用のスキルとかないかな……?
「さてと回収完了! 1晩で柑5個かー。良いのか悪いのかよく分かんないなー?」
「そういや回復量ってどんなもんなんだ?」
「あ、そっか、ケイさんHPないから回復アイテム使ったことないんだ。この柑は5%回復だね!」
「割合回復なんだ? オフライン版だと固定値だったのにな」
「固定値回復のもあるよー? そこら辺で採集出來るのは固定値で、アルさん産が割合だねー!」
「プレイヤー産と自生産で回復値が違うのか」
「そうみたいだね! ちなみにアルさんがログインしてた時に採集した柑は10%回復だよー!」
回復アイテムと言っても々と設定されているらしい。Lvや進化階位が低いうちは固定値の回復アイテムのほうが便利かもしれないけど、どちらも上がってくれば割合回復のほうが便利だろう。昨日ベスタからアイテム貰えたからアイテム自のやり取りは可能みたいだし、こりゃ果系の回復アイテムはしいアイテムとの換に使えるかもしれないな?
このゲーム、お金がないからやるとしたら々換だな。不種が店代わりになったりして……。ん? 何気なく思ったけど、不種が拠點の役割があるならマジでそういう仕様か?
「さてと、これで準備はいいよ! ケイさん、水魔法で的をお願いねー!」
「おう、任せとけ」
<行値1と魔力値4消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』を発します> 行値 22/23(−1): 魔力値 42/46
<行値を4消費して『水の作Lv4』を発します> 行値 18/23(−1)
さてどんどん水魔法も使って、Lv上げていかないとな。今のままじゃ水の作とセットじゃなきゃ使いにならないし。まぁそれでも相當作も威力も上がってるから文句はないけど、行値の消費激しいし。あとLvが上がったらどんな新魔法を覚えるのかも気になってる。
「とりあえずただの水球を1つ用意するだけにしとこうか」
「かしてくれても良いんだよー!」
「趣旨が変わってくるから今はこれで我慢な。とりあえず一回やってみよう」
「それもそうだね! とりあえずやってみよ!」
ベスタは『魔力集中』は覚頼りと言っていたが、うまく行くだろうか? ハーレさんは、小さなリスので一杯力を溜めていますといった雰囲気で石を握って構えている。神集中をした上で、ハーレさんが石を水球に目掛けて投げ放つ。
「……え?」
「……なるほど、こうなるのか」
水球に向かって勢い良く投げられた石は、當たっても水球を割る事もなければ、水球の中にる訳でもなかった。投げられた石は表面で弾かれ、水球は何も無かったかのように存在していた。この様子だと魔法産の水はただの水とは全く別と考えた方が良さそうだ。
そして、なんでベスタがあの報を教えに來たのかもよくわかった。魔法は今までの攻撃とはまるで別なのだろう。これが攻略出來なければおそらく火魔法だと思うあの火を吐くツチノコの攻撃に一方的に殺られるだけか。
水魔法持ち1人だけでどうにかなるのかは実際に試してみないとわからないけど、対抗策は多く用意していた方が良いかもしれない。
「うん、これは難しいね!」
「覚頼りって言ってたし、そうだろうな」
「よし、予定変更! ケイさん、ちょっと手伝ってー!」
「え? ちょ!? ハーレさん、何やる気!?」
何かを思いついたかのように突然走り出したハーレさんを追いかけていく。一ハーレさんは何をするつもりだ?
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