《Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜》第98話 コケの兄貴

「ヨッシ、カニ屆いたよ! ありがとね!」

「いえいえ、どういたしまして」

「それで思わぬ狀況が発覚してね!」

「え? なにか送ったカニに問題でもあった!?」

「そっちは何も問題ないよー!」

ハーレさんとヨッシさんがなんか談笑しているな。あ、サヤがログインしてきたな。ここにログインしてきたって事は、サヤは昨日はここでログアウトして終わりにしたんだな。

「ヨッシ、ハーレ、こんにちは」

「お、サヤも來たねー!」

「サヤはここでログアウトしてたんだ?」

「ちょっと仲良くなった他のプレイヤーにここの近くの場所で魔力集中のコツを教えたりしててね」

「あ、サヤもなんだ! 私はんな人と採集換してたんだー!」

サヤたちが談笑しているところに徐々に近付いていく。サヤもハーレさんも昨日は他のプレイヤーと々してたのか。たまにはああいう自由行も良いもんだな。

だが、サヤが近づいて行く俺の方を見た途端に様子が変わっていく。

「……ねぇ、あれ何かな……?」

「えっ……、何あれ!? このゲームってホラー要素はなかったよね!?」

「私、ホラーは駄目なんだよ……!」

「サヤってホラー苦手なんだ?」

頭を抱えて蹲りだしたサヤの様子を見る限りどうもホラー的なものは苦手らしい。もしかしてサヤはログインしたばっかりでまだ夜目を発していないのか? この発の燈りって暖だから地味に火の玉に見えてたりするのかな……? よし、それならゆらゆらと揺らめくように近づいていこう。おー、サヤが更に頭を抱えて震えている。

「……もしかして……あ、やっぱりだ。ねぇ、ケイさん。何やってるの?」

「あ、バレたか」

「フレンドの位置検索したら、ばっちり目の前にケイさんの表示があったからね」

ヨッシさんにはあっさりと正がバレた。そうか、そういう確認手段があったのか。まぁいいや、多驚かせるのには功したし。あ、ヤバい、サヤの顔が怖い事になってる……。

「ケーイー! どういうつもりなのかな!?」

「すまん、サヤ。新スキルと新移方法のお披目のつもりだったんだけど、サヤがホラーが苦手だとは知らなくてな……」

「……新移方法? え、そういやどうやって移してるの、それ?」

「水の作と水中浮遊ってスキルの合わせ技。報共有板での魚プレイヤー達の発想を元に試してみたらこうなった!」

「ケイさん、ってるのはなんで?」

「そっちは発ってスキルだな。『常闇の窟』での果の1つだ!」

「そういやそんな事も言ってたっけ。そっか、そういう風に使えるんだ」

「そっか。スキルの実験だったんだね……。ケイ、怒ってごめんね……」

「あーいや、気にすんな……?」

一応事を話したら納得したのか、サヤが謝ってきた。いかん、スキルの実験だったというのは間違いではないけど、驚かせようという意図があったのは間違いない。ちょっと罪悪が出てきているけど、これはサヤに気付かれたら駄目なやつだ!

「……ケイ、もしかして驚かせるつもりもあったのかな?」

「ヤバい、バレた!?」

「ケーイー!」

しばらくサヤに追いかけ回され、魔力集中を使ったサヤに水球を破壊されて説教されました……。今後はサヤにホラー系のイタズラはやめておこう。後が怖い……。

「そういや、ハーレ。さっき言ってた思わぬ狀況って何?」

「あ、それね。実はケイさんが兄貴だったんだ!」

「ケイのアニキ呼びって今更じゃないかな……?」

「それとは違うよ! ケイさんが私のリアルでの実の兄貴だったの!」

「えっ!? それ本當に!?」

あらま、バラしちゃうのか。まぁ別に構わないか。ヨッシさんには今日の晩飯のカニのお禮も言っておきたいしな。

「まぁ本當だよ。俺たちもびっくりしたけどな。って事で、ヨッシさんの送ってくれたカニはゴチになります!」

「あ、そっか。兄妹ならそうなるよね。え、でもハーレのお兄さんって事は、私もリアルで會った事あるかも……?」

「え、マジか?」

「ハーレの家に何度か遊びに行った時に、ちらっと挨拶をした程度だけど」

「あーそういやそんな事もあった気が……」

そういや友達を連れてきてた事がたまにあったっけ。その時は一応禮儀として軽く挨拶をした程度だから、がっつりとした接點って訳でもないけど。そっか、ヨッシさんとは會った事はあったのか。

「……みんなリアルで顔見知りだったんだね」

「あー!? サヤが拗ねた!?」

「會ったことあるって言ってもし顔を合わせた程度だからな!?」

拗ねたサヤを宥めるのにし時間がかかった。まぁ1人だけ違う狀況だと疎外があるのは分かるけどさ。それを言えばアルが一番仲間外れなんだよな。多分本人は気にしないだろうけど。

「っていうことは、ケイって私たちより1歳年上なのかな?」

「あ、そういう事になるんだ」

「まぁそうなるな」

「ケイ先輩とか呼び方を変えた方がいいかな?」

「いや、そんなのは気にしなくていいぞ。みんな今まで通りの呼び方でいいよ。そもそも年齢で言うならアルがぶっちぎりで年上だしな」

今更年齢を気にしても仕方ないだろう。そもそもオンラインゲームならんな年齢の人がいるんだし、そんな事は気にするだけ無駄だ。ゲームで年功序列なんてやってられるか。

「それじゃこれまで通りって事で!」

「おう、それでいいぞ」

って事でリアル絡みの話はこれでお終い。さて、今日こそ巖の作を使ってみるぞ!

「今日は何する? アルさんとの約束の時間までやる事は決まってないよね?」

「アルが來てから々試したい事もあるんだけど、俺はいい加減あれを使ってみようかと思う!」

「おー! あれって何やるのー!?」

「今、使いたいのがあるのもそうだけど、アルが來てからも々と試したい事があるんだね、ケイ」

「サヤだって、アルさんの進化を待ちかねてるんじゃなかったっけ?」

「ヨッシっ!? ……それはそうだけど! ……それで、ケイは何を使いたいのかな?」

ヨッシさんに言及されてサヤが話を誤魔化すように聞いてくる。そっか、サヤはそんなにアルの進化を楽しみにしてたんだ。1日間が空いてお預け狀態だもんな。それも仕方ないか。まぁそれはアルがログインしてからでないとどうしようもないから、もうし我慢してもらうしかない。とりあえず今は巖の作だ。

「取得したまま放置になっていた『巖の作』を今こそ使う!」

「あ、応用スキルのヤツだね。そっか、まだ試せてなかったんだ?」

「てっきり既に実験済みかと思ってた! 意外だね!?」

「いや、やろうやろうとは思ってたんだけど、あれは行値の消費が半端ないからな。他のを優先してたらついつい後回しになっててな」

「まぁ々あったしね」

ヨッシさんの言うように巖の作を取得してから、アーサー襲來に、みんなの進化に、赤の群集への遠征、ヒノノコリベンジからの一連の大騒々続いたもんな。だけど、明らかに取得が早すぎると思われるこの巖の作、使い方によっては新エリア進出の強大な武になるはず! まず実用Lvにしなきゃならんけど……。

「という事で俺は巖の作の特訓するけど、みんなはどうする?」

「折角だし見學してるよ」

「そうだね! どんな風になるのか気になる!」

「ケイ、また盛大に巖を転がさないようにね?」

「もうやらないって!?」

「心配だから、近くで待機しておこうかな」

みんな見學をしていくつもりのようだ。サヤだけはなんか理由が違うけど……。あれ、もしかしてさっき脅かしたの、まだ怒ってる!?

「別にもう怒ってないからね?」

「はい、すみません!」

やっぱり考えてる事バレてるなー!? よし、意識を切り替えて巖の作だ、巖の作。手頃な巖は、そこの崖のとこにいくらでも転がってるから、それを使うかな。前に盛大に転がった時の巖もその辺にまだ置いてあるけど、あれは丸すぎるから失敗の可能を考慮して使わない。ほんとにサヤの言う通りに転がしてしまったら大慘事だしな。

「さて、やるか!」

「わくわく!」

「……あれ? 何も起きないよ?」

「……すまん。この水の作で浮かんでる最中だと別のスキルの発が出來ないんだった……」

「ケイさん、変なとこで詰めが甘いよね」

「そういうとこがケイらしいかな」

事実なだけに言い返せない……。とりあえず、水の作と水中浮遊を解除しよう。

<『水中浮遊』の発を解除したため、行値上限が元に戻ります> 行値 17/22 → 17/25(上限値使用:3)

<警告:群數が核のみとなっています>

そういやこの警告は昨日紅焔さんと移してた時にも出てたな。他の群から距離が離れて解除になってる狀態で水中浮遊を切ったら出るんだよな。そのまま落ちたら弱っていく事は昨日確認済み。どこにも付いてないのが弱っていく原因だと思われる。

<行値を1消費して『群化Lv1』を発します> 行値 16/25(上限値使用:3)

<行値を1消費して『群Lv1』を発します> 行値 15/25(上限値使用:3)

よし、これで大丈夫。夜目は必須だけど、発はどうしようか。発してるだけで練度稼ぎになるみたいだし、そのままでいいか。

「本當にコケが発してるんだね」

「まぁな。まだ明るさ足りないけど、Lvが上がれば『常闇の窟』での源にもなるだろ」

「ケイさん、あそこに行く気満々だね!」

「おうよ。もうちょい明るさが上がったら、みんなでもう1回偵察に行こうぜ!」

「……クモは苦手だけど、1回は試しに苦手生フィルタ越しに見てみないと判斷もしにくいかな。うん、行く時は予め言ってね。気持ちの整理つけるから」

「サヤも大袈裟だね。クモは私が仕留めてあげる」

「私もだよー! その代わりGは任せたよ!」

「まぁ最悪苦手なのは、アルを盾に隠れてりゃいいだろ。あれ、そういやアルの苦手なのって聞いてない気もするな?」

「それもアルがログインしてから聞いておかないといけないかな」

「そだな。全員が同じの苦手でなけりゃどうにか対処出來るだろ」

まぁ全員苦手な生が被っていれば、その敵を徹底的に避けるだけだが。まぁ余談はそのくらいにして、改めて巖の作をやっていくぞ!

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