アルに乗ってそれをサヤが引っ張ってどんどんと森の中を進んでいく。自己強化もなく、普段の移速度なら激しく揺れる事もなくて快適だ。アルもどんどん慣れているようで揺れはなくなっている。もしかしたらの作もLvが上がって度が良くなっているのかもしれない。

そういえば移しているに纏火は効果時間切れになった。ヨッシさんの纏氷は輝石の方を使っているのでまだ効果時間中。まぁあとしで切れるとは思うけど。それにしても統率持ちが使うとスキルで生み出す統率されたヤツが屬のもので形されるとはびっくりしたね。ハチ3號が使わずに殘ってたから見せてもらったけど、氷製のハチだった。

もしかしたら特によっても形狀が変わってくるのかもしれないし、今度進化の輝石持ちで集まって検証會でもやろうかな？

そんなことを考えたり話したりしながら、アルに乗ってしばらく進んでいくと湖が見え始めてくる。その畔にポツンと1本の木が植わっているのが見える。あれが紅焔さんの言ってた移種のNPCかな。あちこち移していると言ってたけど、今は下ろし中という事か。なんでそうなのかはわからないけど。

「言ってた湖ってあれかな？」

「おー綺麗そうな湖だー！　ねぇ、到著したら飛び込んで來ていい！？」

「ダーメ、水中にも黒の暴走種がいるかもしれないんだから」

「あーそっか……。やっぱり自作の池が必要だね！」

「池作りはみんなが揃ってない時の合間でやるからな？」

「うん、それは分かってるよ！　揃ってる時は今みたいにあちこち探索だよね！」

わざわざ全員が揃っている時は地道なスキル上げをするよりも々と探索だろう。アルがどうしても夜からになるから、池作りは夕方がメインになるだろう。

「……そういやこっちのエリアとの行き來はどうすんだ？　帰りは『帰還の実』があるから良いとしても、そればっかりって訳にもいかんだろう？」

「それはまぁ普通に集合か、こっちのエリアにアルのリスポーン位置を設定してもらって、アルから順番に死んでリスポーンを使って移かな……？」

「そういう手もあるにはあるか。でも、それにデスペナ回避の1回分を使うのか？」

「私は、毎日取得分のポイントと移の事を考えたら妥當だとは思うけど？」

「……私が一番困りそうな気がするかな……？」

「サヤは、あれだな。『常闇の窟』に行ってだな？」

「やっぱりあそこになるんだね……。1回覚悟を決めて行ってみるしかないのかな……」

やっぱりサヤはクモに苦手意識があるようだ。だけどあそこは多分行けたほうが良いとは思うし……。もしくは殘滓のボスに突っ込んでみるかだな。まぁ死んでのリスポーン移は最終手段で、基本的には普通に今みたいな移かな。まだ隣のエリアだし、なんとかなる範囲だろう。

「まぁいいか。『往路の実』とやらも気になるし、もしかしたら移手段もあるかもだしな」

「そういやエンからそんな実を貰えるって言ってたっけ。この先の移種の木からも何か貰えるのかもな」

「エンから貰えるのが『往路の実』なら、『復路の実』とかかな？」

「そうかもね。まぁ行けば分かるんじゃない？」

「そうだねー！　もう見えてきてるしね！」

「そうだね。それじゃちょっと飛ばすね！」

「飛ばしすぎるなよ、サヤ」

「ケイじゃないんだから大丈夫だよ！」

「サヤ、自分の事を棚に上げないの」

「うっ、ヨッシにそれを言われるとは思わなかったかな……。うん、気を付けます」

ヨッシさん、ナイス！　俺は否定出來ない実績があるから言い返せないんだよね。でもサヤも大暴走の片棒を1回擔いでるからな。まぁヨッシさんはヨッシさんで初日に大暴走してるけど。……このメンバー、何気に大暴走率高くない……？　……よし、気付かなかった事にしよう。そうしよう。

そしてそれ程時間はかからずに湖へと辿り著いた。広さ的には全が見渡せる程度なのでそこまで広くはないだろう。深さは……うん、パッと見では分からない。あ、なんか魚影が見えたって事は魚もいるんだな。今は夜目を使っているから明るく見えているけど、晴れていて月も出ているので夜目を切ってみたら月が水面に映って綺麗かもしれないな。

『おやおや、今日はお客さんが多いわね？』

「あ、どうも」

『あなた達はグレイからの協力依頼をけてくれた人達みたいね。ありがとね』

「えっと、ここに派遣された方で合ってますか？」

『あらまぁ、自己紹介もせずにごめんなさいね。私は『群集支援種』のヤナギよ。黒の暴走種になっていた時は『不桜』だったのよ？』

どうもほんわかしたオバさんといった雰囲気が似合う木のNPCだった。木の種類としては枝垂れ柳みたいなじか。大きさとしてはアルより大きくて、3〜4メートルくらい……？　それにしてもやはり黒の暴走種のボスの中の人には倒された後に役割があるようだ。これは高原エリアでは元『氷狼』が、原エリアでは元『沼ガメ』の暴走種がなんらかの役割を持ってそうだな。

『あぁ、先ずは話しておかないとならない事があるのよね』

「あ、それならお願いします」

「どんな事！？」

『そう？　なら順を追って話していくわね。グレイから聞いたとは思うけど、今は浄化の要所を探していてねぇ？　見つけ次第、私に教えてしいのよ。私も私で探しているから、あちこち移する事になるんだけどね』

「なるほど、そういう理由……」

なんかヤナギさんの雰囲気的についつい丁寧な口調で答えてしまっている。親戚の叔母さんに似てる話し方なんだよな。特にハーレさんは気にした様子はないけども……。

とりあえずヤナギさんが移種である理由と、あちこち移している理由は分かった。ただ待っているだけではなく、NPC自も探して移しているって事か。

『あとね、赤の群集の人達が躍起になって同じ事をしようとしているから、その対処もお願いしたいの。あんまり強くないのよ、私』

「あーとりあえず1PT分は追い返しときましたよ」

「ぶっ倒して送り返したけど、あれでいいんですよね？」

『あら、そうなの？　えぇ、それで問題ないわよ。早速ありがとうね。あぁ、そうそう。それで重要なのが、報共有の手段も用意したのよ。私の影響力はまだ弱いからこの地域をぎりぎりカバー出來るかどうかになるんだけどね？　利用出來るようにしておくから、活用してちょうだい』

「お！　これが聞いてたやつかな！？」

＜現在地のエリア限定で『競爭クエスト報板』が開放されました。ぜひご活用ください＞

これが紅焔さんの言ってた競爭クエスト報板か。今いるエリアでしか使えない報共有板みたいなもんだろうな。これでプレイヤー同士で探索狀況を教え合ったり、赤の群集との戦いになったら援軍を頼むというのもありか。妨害も可能みたいだし、赤の群集のヤナギさんに相當するNPCを狙って足止めというのも有りだろう。

『あとは、これを渡しておくわね』

「あ、ありがとうございます」

＜『復路の実：群集拠點種エン・灰の群集エリア2（限定）』を獲得しました＞

＜『復路の実』を使用する事で任意に群集拠點種への帰還が可能になります＞

ヤナギさんからみんなの所にそれぞれ実が落ちてきて、自的にインベントリにっていった。リスポーン云々は出なかったけど、帰還の実とはやっぱりちょっと違うのか？　ちょっと詳細を見てみよう

【復路の実：群集拠點種エン・灰の群集エリア2（限定）】

競爭クエスト『無支配地域を占拠せよ：名も無き森林』への參加中及び、開催中のみの限定アイテム。

使用すれば群集拠點種エンの元への転移が可能となる。ただし、ヤナギが下ろしをしてエンとの同期を行っている時にのみ使用可能。

使い捨てで所持制限1個。ヤナギにて再取得が可能。（1日1個まで）

やっぱり無制限に使える訳ではないんだな。でもこれならリスポーン活用の移方法がなくても行き來は可能か。1日に何回も行ったり來たりはしないだろうしね。あと、これはエンの方で貰える『往路の実』も似たような條件がついてるんだろうな。

『使用制限があるのはごめんなさいね？　定期的にエンとの報の同期をする時にしか使えないのよ』

「そうなんですか。ちなみに同期はどのくらいの周期で何分くらいですか？」

『そうね、明確に決まってる訳ではないんだけど、大2〜3時間に1回で30~40分程度かしら』

「その間ならこの実を使えばすぐに來れるって事で良いのかな！？」

『そうよ。エンの方で配布している『往路の実』で私の位置にすぐ來れるわ。使えるタイミングは限られるのが難點なんだけどね？』

「何処かで留まってる事は出來ないのかな？」

『赤の群集がいなければそれでも良いのだけれど、下手に1ヶ所に留まれば狙われるのよ』

「……狙われない為に移してるのか」

『それも1つの理由ね。もう1つは人任せにせずに私も探しながら調査をしているからよ。黒の暴走種になって迷をかけてしまったものね……』

まぁゲーム的な都合もあるんだろうけど、々と行理由は設定されているんだな。

『エンとの同期中は分かるようになっているから、それを目印にしてくれれば良いわ』

「うん、分かったよ！」

「通知に合わせて実を使って移してもいいし、自分達で移しても良いってことだな」

『えぇ、そうなるわね。……あら、ごめんなさい。そろそろ同期が終わるから、移を再開しようと思うのだけれども』

「あ、はい。どうぞ」

『バタバタしてごめんなさいね。それではあなた方の協力に謝を。また會いましょう』

「はい、また會いましょう！」

そうしてヤナギさんは歩いて、どこかへ向かっていった。設定的には浄化の要所を探しに行ったんだろうな。ゲーム的にはプレイヤーが見つける事になるんだろうけども、そこは気にしても仕方ない。

「さてと、そんじゃ俺らも探索に移りますか！」

「ケイって、ああいうじの相手だと口調が変わるんだね？」

「あ、それはねー！　ケイさんって、親戚のーー」

「ハーレさん、それ以上言えばVR機がどうなってもいいんだな？」

「うん、なんでもないよ！？」

「……そういえば、ハーレってお兄さんからVR機を借りてるって言ってたよね？　もしかして……？」

「おう、それは俺の所有だ！」

「うーん、勝手にリアルの個人報を話そうとしたハーレにも問題あるから、これはどっちもどっち？」

「まぁそんなとこだろうな。あんまりやり過ぎて兄妹喧嘩すんなよ？」

「うー気を付けようっと……」

俺が所有権を握っている以上は、知られたら嫌なリアル報の暴は確実に阻止させてもらう！　というか、頼むからサラッとリアル事は話さないでくれよな。似たような口調の親戚の叔母さんが妙に俺に厳しくて苦手意識があってつい丁寧になるとか、そんな報はバラさなくていい報だからな！