《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第22話 裁きの門
分割したら後半が短くなってしまいした。行けたら今日中にもう1話行きます。
「先走った馬鹿共が消えたか……」
森でヨハン達を待ち構えていたプレイヤーの一人、ドロソは遠くから仲間達の死を見屆けると、深くため息をついた。
仲間とは言っても、所詮は今日出會ったばかりの人ばかり。団結力など無く、烏合の衆という言葉がよく似合う。だが、ここ數日、掲示板越しではあるが一緒にヨハンを倒そうと共に頑張ってきた仲だった。ドロソとて、思うところがない訳ではない。
「しゃーねぇ。敵討ちと行くか!」
ドロソは自慢の剣を構える。チラリと周囲を見やれば、を潛めた同志達も皆同じ思いのようである。
ある者は覚悟を決めたような顔をして。
ある者は清々しい微笑を浮かべ。
ある者は大丈夫かと心配になるほど青い顔をしている。
「ま、40人同時に攻め込めば、倒せない相手じゃない……さて」
攻めるか! ドロソがそう思った時だった。
「……ありゃ、何だ?」
空に向かって、の柱がびているのが見えた。柱の數は三本、雲の向こうへと吸い込まれていく。
「おいおいおい……なんだよありゃ……」
の柱が消えた頃。雲を突き破り、白い大きな三つの門が姿を現した。大きな音を立てながら、扉が開く。
【ゲート・オブ・ヘブンズ】。ソードエンジェルの最強スキルを、三に増したヨハンが発させたのだ。一につき、一つ。
だがソードエンジェルのスキルまでは未研究だったドロソ達プレイヤーは慌てる。
「そうだ……何かの攻撃があるかもしれない……準備を……あれ、スキルが発しないぞ?」
門から何か攻撃があるのでは? 例えば水が流れ出たり、モンスターが出てきたり。そんな想像にを震わせたドロソは防用のスキルを発しようとする。だが、何故かスキルは発しなかった。バグか? と思い、ステータスを確認してみると……。
「俺のHPが0だとおおぉ!?」
ステータスに表示された自分のHPがゼロになっている。周囲のプレイヤー達も、おそらく同じ狀況だったようだ。全員がいきなりHPが0になった事に戸いを隠せないでいる。
レベル30以上のプレイヤーともなれば、即死対策は必須となる。即死対策の裝備や裝飾品、即死を肩代わりしてくれる守りアイテム等、どれか一つはしておくのが常だ。
だが今回のヨハンとの戦いにおいて、殆どのプレイヤーがクワガイガーのスタン対策にリソースを割いた事で、この広範囲に及ぶ即死攻撃に対応することができなかったのだ。ヨハンの進化を予測できなかった彼らのミスだった。彼らがこの一月で長したように、ヨハンもまた、このゲームを楽しみ、長していた。
「糞……こんなイベントじゃなきゃ……俺だって」
ドロソとて、普段ならば不意の即死を防ぐ為、守りアイテムを持ち歩いている。対人でなくとも、見慣れぬモンスターがいきなり即死攻撃を使ってくる可能だってあるからだ。だが今回のこのイベントはアイテム持ち込み止。當然、持っていない。
「あ……なんだ……あわあああ」
終焉の時。ドロソや他のプレイヤー達のが浮かび上がる。彼らのはすぐに森の木々を超え、はるか上空へ。そこでようやく、あの門へ吸い込まれているのだと気が付いた。
そして地上を見てみれば、ヨハンとその仲間であるゼッカ、レンマが、門に吸い込まれていくプレイヤーに向かって手を振っている。
「ちくしょう……チクショおおおおおおおおお」
最早戦うことすら出來ず、ドロソをはじめとした待ち伏せプレイヤー達は門の向こうへと吸い込まれていった。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
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