《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第34話 自分の召喚獣を殺すなんて……酷い!

「必ず儲かるええ話があるんよ。魔王はんも乗りまへん?」

コンのいに対しゼッカが『絶対詐欺ですよ! 有り金ぜーんぶ毟り取られますよ!』と反対していた。だがヨハンはコンがそこまで悪い人間だとは思わなかった為、とりあえずその話に乗ることにした。

二人で氷のダンジョンを出ると、メテオバードに乗って、城塞都市まで戻ってきた。

「そういえば魔王はんは、もう自分の召喚獣を殺しはった?」

「な、何を言っているのよ!? ある訳ないじゃない!」

城塞都市のり口で、ふと騒な事を訪ねてきたコン。ヨハンは必死に否定する。

「なんや。ならはよ殺(や)った方がええよ」

なんでも、自分の召喚獣のHPを自分で0にすることで、新しいスキルが手にるらしい。だがそんな事は出來ないと、ヨハンは言う。

「いやいや、ゲームとはいえ、召喚獣には沢山お世話になっているのよ?」

ヨハンはストレージを開く。

「そんな……自分の召喚獣を自分で倒すなんて真似……かわいそうだわ!」

ストレージから【ダークエルフ】を取り出す。

「私にそんな酷い真似、出來るわけないじゃない!」

「言葉と行が一致しとらんやん。流れるような作で召喚石取り出してるやん」

コンの突っ込みにし照れながら、ヨハンは召喚石を起する。

「召喚獣召喚――ダークエルフ!!」

幾何學的な魔法陣から、スタイルの良い、金髪褐のダークエルフが出現する。服はファンタジーの村娘のような姿になっており、イベント時のような下品さは消えていた。

「あのエロいイベントのやつやね。よう持ってるなぁ」

「この前のトレジャーイベントで手にれたのよ」

「あのイベント復刻してはったん? なんや前は燃えて消されたいうてたのに。まぁええか。じゃ、はよコイツを殺してや」

「うーん。あまりこういうのは、気乗りしないわねぇ……」

『スキル【闘魂・極】を発しました。筋力・魔力の數値が倍になりました』

『スキル【フラワー・オブ・ライフ】を発しました。魔力の數値が3倍になりました』

「めっちゃ乗り気やん……オーバーキルや」

かないでね。そう、じっとしてて――ブラックフレイム!!」

とてつもない火力のブラックフレイムがダークエルフを襲う。どこか諦めたような表のダークエルフは黒い炎の中に消滅する。

何故ヨハンがダークエルフに対し、ここまでの攻撃を行ったのかは誰にもわからない。晝間、仕事中に後輩が犯した大きなミスのせいで自分の仕事が終わらなかったという出來事があったが、それは関係ないはずだ。

『新しいスキルを習得しました』

【ダムドチャージ】

自分がコントロールする召喚獣を破壊し、HPとMPを回復する。

手條件》

自分のコントロールする召喚獣のHPを自分で0にする。

「本當、新しいスキルが手にったわ!」

「あんま使わへんけどな。無いよりええやろ。ほな、行くで」

新しいスキルを手したヨハンは、コンの案の元、銀行と呼ばれる施設へとやってきた。

銀行とは、手持ちのアイテムやゴールドを預かって貰える場所だ。GOOにおけるデスペナルティ……所謂HPがゼロになって死んだ時の代償は、所持金が半分になることのみと、他のゲームに比べて緩い。

だがそれでもかなりキツいので、殆どのプレイヤーはここにお金を預けている。

また、アイテムストレージは無限であるため、アイテム預かり機能は必要ないように見えるが、なんでもかんでもアイテムストレージにれたままにしておくと、肝心な時に探すのに苦労したりする。売りたくない、でも邪魔というアイテムを預けているプレイヤーも多い。

だが、コンの狙いはそんな基本的な使い方ではなかった。

ヨハンは存在は知っていたものの、今まで銀行を利用した事はなかったが、コンから「なんでもええからし預けて」と言われ、使わない素材アイテムと、海賊王戦で手した大量のゴールドを預ける。

「これ裏技って程でもないんやけどな。召喚石って10個までしか持てないやん?」

「ええ、そうね」

「でも銀行にを預けてるとな、11個目を手にれたとき、こっちに転送出來るようになるんよ」

「そ、そうだったの……」

所持數の限界とは、あくまでストレージにれられる數の限界の事である。銀行を駆使すれば、事実上無限に召喚石を集める事が出來る。

「でも、それに何の意味があるの?」

ヨハンは疑問に思った。いくつ集めていようが、結局持って行けるのは1種類につき10個まで。しかも中級以上の召喚獣は、素材を使ってスキルを解放しなければならない以上、沢山持っている事に意味があるとは思えなかったからだ。

「意味? 意味なんてあらへんよ。うちが言いたいのは、こういうシステムがあるいうことだけや。でな、これを踏まえた上での相談なんやけど……海賊王レイドで大金手にれたやん?」

「ええ……」

「それつこうて、召喚石買い占めへん?」

「か、買い占め……?」

「そ。買い占めや」

コンはにやりと笑う。

「私初心者だからよくわからないんだけど、それって他の召喚師の人が困るんじゃ……」

「困る? そんな事あらへんよ。なぁ魔王はん。今のGOOに定期的にログインしてる召喚師が何人居るか知っとる?」

「えっと……」

ヨハンは記憶を探る。ランキングイベントに參加した時の順位が10萬位くらいだったので、そこから想像してみる。

「1000人くらいかしら?」

「10人や」

なっ!!」

「しかも、イベントで結果出せる程のプレイヤーとなると、うちと魔王はんれても3人や。ナーフ前にやっとったプレイヤーは、もうほとんど全員違うゲームに移しはったわ」

その時、しだけコンが表に悲しみを見せたことを、ヨハンは見逃さなかった。

「だからな、うちらが買い占めても、だーれも困らへん。むしろストレージのやし買ってやるんやから、謝されてもええくらいの善行や」

「でも、善行じゃないんでしょ?」

「當然。お金儲けや。うちの摑んだ報によると……」

コンの言うことには、どうやら近々召喚石の需要が大幅に上がる機能が追加されるらしい。今、氷のダンジョン攻略でプレイヤーが金に困っている狀況を利用して、大量の召喚石を集めておきたいらしい。

コンの報に信憑があることは、ヨハンにはわかっていた。前回のイベントでも、彼はトランスコードの報を事前に摑んでいたからだ。

だがその上で、ヨハンは彼の話を斷った。

「でも、やっぱり良くないわよ」

「なして?」

「だって、恩著せがましく安く買い叩いて、後で狀況が変わって需要が上がったら、今度は高く売りつけようっていう事でしょ?」

「おおよそ社會人の言葉とは思えまへんな。ええやん別に。それが経済やろ」

「そういうのを忘れたくてここに來てるのよ」

「けど、お金、もっと必要なんやろ? わかってるんやで?」

「うっ……」

海賊王レイドで大量のゴールドを手にれたヨハンの現在の資産は約二億ゴールド。だが、カオスアポカリプスをトランスコードで強化する場合に掛かるゴールドは二億五千萬ゴールドで、さらに腕利きの生産職プレイヤーも必要になってくる。

もしコンの話が本當で、この作戦が上手くいけば、鎧の強化は容易になり、さらにゼッカやレンマの強化の為の手助けにもなるかもしれない。

「で、でもダメよ……なんかイケナイ気がする」

「んもう、真面目やね。そういう所も好きや。でもな、考えてみて」

コンはヨハンにそっと近づくと、耳元でささやく。さながら、悪魔のように。

「バチモンコラボイベントの時にログインしとったプレイヤーは10萬人や」

「そ、それがなんなの?」

「ヒナドラは配布ログインボーナスやろ? つまり今、この世界には最低でも10萬のヒナドラが眠っとる。最低でも……や」

「……ッ!!!!!????」

ヨハンは固唾をガブ飲みした。

「でもな。ヒナドラちゃんを召喚して可がってあげられるのはたった10人の召喚師や。かわいそうな話や思わへん? ヒナドラは『もきゅうもきゅう』鳴きながら、ずっとストレージで寂しい思いをしてはるんや」

「……ヒナドラ……誰にも召喚されず……なんてかわいそうなの……」

ヨハンの頬を涙が伝う。

「せや、かわいそうなんよ。だからうちらで助けてあげへん? その方がヒナドラも幸せやと思うんや、うちは」

「私もそう思うわ。手を貸してコンさん! ストレージのやしとなっている全てのヒナドラを、我助けて見せる!」

コンはにやりとつり上がる口角を必死に隠す。実の所、この提案はコンからヨハンへのアピールである。コンはヨハンがギルドを作るなら、絶対に自分もりたいと思っていた。

だが、不安もあった。

もしヨハンが今の狀況に満足していて、ゼッカ、レンマと三人での関係を優先するならば、ギルドは作らないのではないか? という不安だ。

余裕な態度に見えるが、コンは心焦っている。いわばこれは売り込みだ。自分はこれだけ貴方の役に立てる。それをヨハンに直接証明するチャンスなのだ。だからコンは、ヨハンがこうして乗ってきた事への喜びを必死に隠す。まだ笑うときでは無い。

「ほな決まりや!」

「ええ、早速市場に行くわよ!」

こうして、ヨハンとコンによる『ヒナドラ救済作戦』……ではなく『召喚石買い占め作戦』が開始されることとなった。

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