《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第35話 超強化
初級召喚獣……1000ゴールド。
中級召喚獣……5萬ゴールド。
上級召喚獣……20萬ゴールド。レアは100萬ゴールド!
その他、裝備や各種素材と換致します!
場所:城塞都市中央広場
時間:今から3日間 19:00~24:00
コンはこのような価格設定をトレード掲示板に流す。集まってきた召喚石を、ヨハンの資産2億ゴールドと、コンの資産10億ゴールドで集めていく。
威嚇にならないようカオスアポカリプスを外しながら、そんな雑な価格設定で大丈夫か? と思ったヨハンだったが、案外多くの人が取引場所へとやってきてた。
プレイヤーは、始めて間もない小學生くらいのプレイヤーから、歴戦の強者溢れるプレイヤーまで様々だった。
だがこれは、コンの狙い通りだった。初級、中級の召喚石はどの職業でもダンジョンを探索していれば自然と手元に集まってくる。
仲間に召喚師がいればいいが、召喚師は今や絶滅危懼種。渡す人もいなければ、トレード材料にもならない。なぜなら需要が無いからだ。
かといって、初級召喚石をNPCの運営するショップへ持っていっても、初級は1ゴールド、中級は100ゴールドで買い叩かれてしまう。しでも金になればと売ってしまうプレイヤーもいるが『なんか勿ない』『後で使えるかもしれないし』と、とっておくプレイヤーも多かった。
「それにな。今って新ボスで盛り上がっとるやろ? こういうときはみんなお金がしいんよ」
階層ボスを一発でクリア出來る人はない。攻略畫や報が充実した昨今ではあるが、VRゲームの特上、やはり畫で見るのと実際に闘うのでは、得られるものに大きな違いがある。つまり、で學習していく事が求められる。
「一回負けて思うんよ。『あーあのアイテムがあれば』とか『あの裝備が使えるかも』てな。するとみんなお金が沢山必要になるんよ」
そこでこの儲け話だ。そんなに高く売れない召喚石をこれだけ高く買ってくれるという話があれば、誰だって普通は怪しむ。だが第三層にみんな早く行きたいのだ。今更ちょっとお金がないからといって、別のダンジョンに潛ってお金稼ぎなんてしたくない。手っ取り早く対策裝備を整えて、第三層へと行きたいのだ。
「召喚獣を集めるには、絶好のタイミングという訳ね」
「そのとおりや」
そして、ヨハンが殆ど持っていない上級召喚獣も、稀にではあるが、集まっている。
上級召喚獣は、召喚師しか手にれる事が出來ない。それはドロップでもクエストでもそうだ。だからこうして上級召喚獣の召喚石を持ってくるのは、引退した召喚師と友達だったプレイヤー。
「フレンドが引退するときに貰ったんだが……金に困っててな」
一人の大柄なプレイヤーはどこか後ろめたそうにやってきた。
「ええやん。お兄さんのストレージで眠っとるより、全然ええ。これは今後の新人召喚師達の為にも、一端うちらが預からせてもらいます」
一応『新人召喚師達をサポートするギルドを作りたい』というていでやっている。
代金の9000萬ゴールドを渡しながら、コンは相手の罪悪を消し去るような言葉を言う。そのプレイヤーは「まぁ、役立ててくれや」と去って行く。
そして次にやってきたのは、どこか見覚えのある小學生のプレイヤーだった。
「よう……」
「えっと……」
ヨハンはその頭上の名前を見てようやく思い出す。オウガ。蟲のダンジョンで襲いかかってきた小學生パーティのリーダー格だった人だ。
(ああでも、この子は周りの子を止めようとしていたんだっけ)
あの時は驚かせてしまったなと思い出したヨハンは優しく話かけた。
「君も召喚石を持ってきてくれたの?」
「い、いや、俺じゃねーし。俺は何も用はない!」
オウガはし赤くなる。そして、自分の後ろに隠れるようにうずくまるを促す。黒い長い髪をしたが顔を真っ赤にしながら、に抱えたヒナドラに顔を埋めている。
(なんだこの可い生き……ヒナドラとの組み合わせ、最高かよ)
そんな事を考えながら、ヨハンはの言葉を待った。
「ほら、話があるんだろ……」
「ま、待って……心の準備が」
「えっと……」
「コイツ、アンタのこの前の戦いを見てて、それでこのゲームを始めたんだよ」
「あ、あの!」
「あ、お嬢ちゃんヒナドラ持ってるんやね~それじゃこっちに」
ようやくこちらに気が付いたコンがのヒナドラを取り上げようとするが、それを拒む。
「違うんです! 私、クロノドラゴンがしくて!」
「?」
ヨハンとコンは顔を見合わせる。
「わ、私……ヨハン様……じゃなかった、ヨハンさん達と海賊王の戦いを畫サイトで見て、それで召喚師で始めたんです。私もヒナドラと強くなりたいと思って」
「ちなみにこのヒナドラを上げたのは俺な」
「ちょっと待って畫サイトとは?」
兄弟ぽくはないから、同級生なのだろうか。とにかくゴールデンウィークあたりを利用して、一気に第二層までやってきたらしい。
「でも、クロノドラゴンがどうしても手にらなくて……」
クロノドラゴンはバーチャルモンスターズコラボイベントの中でも、かなり排出率が低かった召喚石だ。30周したヨハンですら、一つしか手にらなかった。召喚師以外が周回をするメリットのないあのイベントで、手にれた者が一どれだけいたのか。今日は既に3000個近くの召喚石を買い取ったが、その中でもクロノドラゴンは3つしか來ていないのだ。
「こ、これと換してください……」
が差し出してきたのは、いくつかのバチモンの召喚石だ。
《イヌコロ》や《ソードエンジェル》《メテオバード》など、6個。おそらくコレもトレードで手したのだろう。
「だ、駄目ですか?」
「駄目じゃないけど……これじゃクロノドラゴンの価値には釣り合わないわね」
正直、ヨハンはこんなの子が現れて踴り出したいくらい嬉しかった。別にタダで上げても良かった。それでも、施しのような真似は、良くないと思ったのだ。
「貴方が召喚師なら、この子達はきっと貴方の力になる。だから持ってて。換するなら、別のアイテムがいいな。何かない? 自分じゃ使わないけど、ちょっと珍しいかなってアイテム」
「えぇ……と。これかな」
が取り出したのは【アンゴルモア鉱石】と呼ばれるアイテムだ。金を積めばそこまで手難易度が高い訳では無いが、これが彼がドロップした中で、最高級のアイテムなのだろう。ヨハンはそれをけ取ると、にクロノドラゴンを手渡した。
「や、やった!」
「大切にしてね」
「は、はい。私、絶対にトランスコードを手にれて、ヒナドラをクロノドラゴンに進化させてみせます!」
「いや、上級召喚で普通に呼んだらええやん……レベル40や。それで覚える」
「ほらオウガ、行くわよ……」
「なっ……ちょっと、俺もあいつらに話があああ」
は嬉しそうに髪をぴょんぴょん跳ねさせながら、オーガの手を引いて去って行った。ヨハンの前ではしおらしかったが、本當はかなり活発な子なのだろう。
「よかったん? 正直、価値は全然釣りおうてへんよ?」
「いいのよ。なんていうか……未來への投資みたいな?」
「それええな。うちもこういうのがやりたくて、この作戦を始めたんよ」
二人で笑い合う。
そして。
ヨハンとコンの共同作戦は無事に終了する。
手にれた召喚石の數は合計三萬個。
これにより、ヨハンはユニーク以外の全ての召喚獣をコンプリートすることに功した。
未だ上級は使えないものの、今までほぼ手を付けていなかった中級召喚獣が大量に手にった事で、ヨハン自の能力も大幅に上昇した。
まず《敏捷》を+50する【高速移能力】を持つ初級召喚獣イビルバットを10手持ちへ。
これにより、敏捷のステータスが合計500+される。
続けて、ステータスを上昇させる事の出來る中級召喚獣をストレージにしまう。
《筋力》を100上昇する【筋力増強EX】を持つ熱トレーナーを10個。
《防》を100上昇する【ゴールドメタル】を持つゴールドスライムを10個。
《魔力》を100上昇する【魔力放出EX】を持つマジックギアデスゴーレムを10個。
《用》を100上昇する【オートメーション】を持つテックノームを10個。
その他、使えそうなスキルを持つ召喚石をストレージに仕舞い込んだヨハンは自分のステータスを確認する。
名前:ヨハン Lv:22
職業:召喚師
HP:30/30
MP:75/45(+30)
筋力:20(+1500)
防:20(+1500)
魔力:20(+1500)
敏捷:20(+500)
用:20(+1500)
頭 :カオスアポカリプス
:カオスアポカリプス
右手:カオスアポカリプス
左手:カオスアポカリプス
足 :カオスアポカリプス
裝飾品:マジックリングZ
裝飾品:
裝飾品:
スキル
【初級召喚】【中級召喚】【シフトチェンジ】【視覚共有】【闘魂・極】【ダムドチャージ】
【スタン耐・小】
ちなみに敏捷を上げる中級モンスターは存在しない(敏捷が100上昇すると、並のプレイヤーでは攻撃を當てられない召喚獣となるため、無い)。
だがそれでも、向かうところ敵無しの、化けらしいスペックへと長を遂げた。
「ほな、こんなもんか。流石に買い占めは無理やったけど……十分や」
「けど、良かったの? 集めた召喚石を全部私の口座に預けるなんて……」
コンはこの作戦で集めた召喚石を全てヨハンに託した。
「ええよ別に。魔王はんはうちを信用してくれはった。うちもそれを信用で返す。それだけや」
「そう……」
「ほな、後はうちらも第三層を目指すだけや……5月中旬にギルドホームシステムが解放されたら……楽しみやわ」
「そうね……あら、ゼッカちゃんからメッセージが屆いているわ」
「ほんまに? なんやろ、第三層到達報告やろか?」
「えっと……」
ゼッカ『もぅマジ無理……』
「まるでメンヘラやね……」
「どうやら苦戦しているみたいね」
ヨハンとコンは、再び氷のダンジョンへと向かった。
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