《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第43話 上級召喚獣

「さぁゼッカ! 私のこの風の防を突破出來るかしら!」

扇形のユニーク裝備【芭蕉剣・羅剎】を構えながら、ギルティアは不敵に笑う。突風によって餅をつかされていたゼッカとコンは起き上がる。

「あの攻撃範囲ならデコイも意味があらへん……厄介なユニーク裝備や。あれがあの子の戦い方なん?」

最果ての剣のギルドマスターであるギルティアの報はない。いや、逆か。彼報が多すぎる。

戦う時期、戦う場所によって様々なユニーク裝備を使い分けるギルティアの真の戦い方を知っている者は、ギルドメンバーでもない。だからこそ、報通のコンであっても、ギルティアは多くのユニーク裝備で多彩な戦いを見せるという報しか持っていないのだ。

なくとも私と組んでいた時には、あんな剣持ってませんでしたよ。一あれからいくつのユニーク裝備を集めたのか……」

「いや、そもそも何で沢山ユニーク裝備が手にるん? うちかて、一つも持っとらんのに」

「それがあるんですよ。沢山のユニーク裝備を手にれる方法が。あの子の本來のユニークスキルを使えば」

「話ばっかしてないで掛かってきなさいよー!」

攻めあぐねる二人に対し、再び剣を振るうギルティア。凄まじい突風がゼッカ、コンの勢を再び崩す。

「あっははは。近寄る事すらできないの? それが今のアタシとアンタの距離ってわけ?」

勝ち誇ったように笑うギルティア。ゼッカは悔しさで歯がみする。

「調子に乗って……うおおおお!」

立ち上がったゼッカはギルティアに真正面から突っ込む。だが再び芭蕉剣を振られ。

「うわー」

転んでしまう。

「安い挑発乗ったらあかんよ。うちはな、ここでは敢えて負けるんもありやと思ってる」

「はぁ!?」

「あんな提案しておいて何言うとる思うかもしれへんけどな。本番はあくまで來月のギルド対抗戦や。手の見せすぎるのもどうかと思うし」

負けたところで、自分たちには何のデメリットもない。ただ約束通りの金額で召喚石を売るだけだ。本命のヨハンの手のを隠しきり、その上ギルティアの手のを見る事が出來た。この狀況だけで、実質コンたちの勝ちと言っていいだろう。

「コンさん。私は負けて構わない。そんな気持ちで勝負に挑んだ事は、一回もありません! 常に全力!」

「頑固やねぇ……まぁそういうん嫌いやあらへんけど。だったら協力したる」

「は、協力……?」

「いいやちゃうな。一緒に勝つ……やね」

「はい! 私たちで勝ちましょう!」

コンは立ち上がると、召喚石を取り出す。そしてそれを自の拳銃型の魔法杖【ディーパークラック】のスロットにセットする。

「何? 策でも見つかったの? だったらやって見なさいよ!!」

ギルティアは再び芭蕉剣を振るう。

「「きゃっ……」」

ゼッカ、コンは再び地面に転ばされる。だが、転んでも尚、コンはギルティアに向けて銃を撃つ。

しかしその弾丸はギルティアに命中することはなく、彼の足下に著弾する。

「はっ! 當たってないんですけどー?」

笑うギルティア。だが。

「召喚獣召喚――【管狐】」

ギルティアの足下、丁度弾が著弾した辺りに魔法陣が浮かび上がり、蛇のようなをした狐の召喚獣が出現する。

「こん」

「な……いきなりこんな近くで!?」

コンの持つ特異な銃型の杖【ディーパークラック】は攻撃魔法を銃のように撃つことが出來るが、その真価は別にある。本來サモナーのすぐ側にしか召喚できない召喚獣を、銃の著弾した地點で召喚できる。

「はっ! こんな雑魚を召喚したって――【換裝】――【崩雷剣・クワガイガー】!!」

ギルティアは再び換裝のスキルを使用し、チェンソーのような刀を持つ剣へと持ち替える。そしてそれを管狐に向かって思いっきり振り下ろす。

だが。

管狐はガッツのスキルを発。スタンの狀態異常をけるものの、HP1で耐える。

「何ぃ!?」

「うちはここでスキル発――【ターンオーバー】」

コンが召喚獣とパーティーメンバーの位置を換するスキル【ターンオーバー】を発。ギルティアの側に居た管狐と攻撃準備の整ったゼッカの位置がれ替わる。

「ゼッカ!? ――しまっ」

「はあああああああああ」

ゼッカの白い剣の連続突きがギルティアの足を掠める。大したダメージにはならない。だが。

ゼッカはこの攻撃によって4つの【ガッツ】を獲得した。そのガッツ全てを消費し、黒い剣をギルティアのに叩きつける。

「ぐっ……ゼッカああああああ!」

大ダメージをけながらも、ギルティアを倒すには至らない。ギルティアは手に持つ崩雷剣を強く握ると、剣に込められたスキル【放電】を発させる。刀から迸る稲妻がゼッカに襲いかかるが。

「こんーっ」

その電撃をけ止めたのは再び現れた管狐だった。再び【ターンオーバー】を発させたコンにより、ゼッカは既にギルティアの間合いから離していた。

「あのギルマス……大したことあらへんな」

「ええ、沢山のユニーク裝備を持ってはいますが能力は並、プレイヤースキルは私と大差ないです……あと一個ガッツを取れていたら、今の一撃で勝てていたでしょう」

同じギルドに居た頃。ゼッカとギルティアに、プレイヤースキルの差は殆どなかった。あったとすれば、それは裝備の能力の差。ユニーク裝備を自在にるギルティアに、ゼッカはいつも勝てずにいた。今回それを埋めたのは、仲間の存在。

「このままいけばギルティアには勝てます。だからこそ、あそこで黙って見ているロランドさんが怖いんですが」

「あのまま大人しくしてくれてはるとええんやけど」

ロランドは未だかず、フィールドの壁に寄りかかってこちらを見ている。一方のギルティアはまた新しい武を取り出す。彼が氷のような刀を持つ剣を天に掲げると、クリスタルレオとの戦闘中に見た浮遊クリスタルが6枚出現する。

「行け!」

そしてギルティアのかけ聲と共に、こちらに飛んできた。

「剣士なんに、飛び道とかズルいわ~。ゼッカちゃん、あれ打ち落とせる?」

「余裕です。けど、一何を?」

「ちょっと大を呼ぼう思うてな」

「わかりました時間を稼ぎます」

ゼッカは一歩前に出ると、二刀流攻撃スキルを発させ、華麗な連続技で6枚のクリスタルを全て叩き落す。

だが、ギルティアが剣を掲げるだけで、新たなクリスタルが出現する。そしてそれは再びゼッカ達へと襲いかかってくる。

「今のうちに……」

コンはストレージからアンゴルモア鉱石を取り出す。消費する事で、一度だけMPの消費を肩代わり出來るアイテムだ。これにより、自分の最大MPを超えた召喚が可能となる。

コンは取り出した上級召喚獣の召喚石をディーパークラックにセットする。そして、ギルティア目掛けて弾丸を放つ。

弾丸は氷の浮遊クリスタルをうように進むと、ギルティアの黃金の鎧に命中する。ダメージはない。だが。

「く……しくった……」

ギルティアのを中心に、魔法陣が浮かぶ。そしてそこから、無數の植のツタが現れ、ギルティアのに絡まり、締め上げるように形を為していく。

「く……何よこれ……私がこんな!」

「捕獲完了どす。召喚獣召喚――上級【ハイドラプランツ】!」

這い出た無數の植は混ざり合い、絡み合い……そして……竜の形をしていく。

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