《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第46話 ティンときた

とある平日の夜。

【竜の雛】のギルドホームである暗黒の城のミーティングルームにコンがやってくると、そこには名狀しがたいがあちこちに転がっていた。そして、部屋の隅には育座りで落ち込んでいるヨハンの姿があった。

「この慘狀。何があったん?」

「それはねぇ☆」

コンの疑問に、ドナルドが笑いを堪えながら事を話した。

時間は一時間ほど前。いよいよトランスコードを使って、自分たちの裝備の能力を上げようという話になった。

だが、アイテムとは違い、裝備を強化する為にはトランスコードだけでは足りず、【生産職】のスキルを持つ人材が必要となった。それも、高い【用】のステータスを持った人材が。だが、そんな人材は現在の竜の雛にはいない。

『ワタシの知り合いに聞いてみるわ~☆』

そこで、ドナルドが知り合いの生産職プレイヤーに聲を掛けたのだが。

『ダメだわ。みんなもう他の人から依頼をけてて、いつワタシ達の分をやれるかわらからないみたいよ☆』

そう。第三層実裝から既に一週間ほど。隠しイベントをクリアしたプレイヤー達が続々と【トランスコード】を手していた。また來月に開催されるギルド対抗戦もあり、ギルドお抱えの生産職は頼れず(ギルドメンバーを優先するため)、フリーの生産職プレイヤーは引っ張りだこなのだ。

『それなら、私がやってみるわ!』

そこで名乗りを上げたのがヨハンだった。用の數値が1500に達する為、自分でも役に立てると思ったのだろう。余っていたランキングポイントで【初級生産職】のスキルを手。試しに適當な素材で剣を作ってみたのだ。

「それで出來たんがあのヘドロみたいなやつ?」

「そうなの☆ 確かに數値の上での用さは十分なんだけど……ヨハンちゃん本人がダメダメでねぇ」

「だ、だって剣を作り始めたら、いきなり変なリズムゲームが始まって……あんなの聞いてないわ!」

GOOでは生産職がアイテムを作る際、リズムゲームのようなミニゲームが開始される。タイミング良くボタンを押す、音ゲーのようなゲームだ。

そのゲームは生産・強化するアイテムのレア度によって難易度が上がる。このゲームの結果と生産職プレイヤーの用の數値の結果によって、否が決まるのだ。

普通の剣を生産できないヨハンの腕では、到底ユニーク裝備の強化を功させることは出來ないだろう。

「しかし困ったなぁ。せっかく【トランスコード】を手にれたんに、強化出來ひんのは勿ない」

「そうねぇ。でも、この時期に手の空いてる腕のいい生産職のプレイヤーなんて……」

年長組が困り果てて居ると、いつの間にかやってきた著ぐるみゴリラのレンマが言った。

「……ボクに心當たりがある」

「本當?」

「……うん。ほら、前にお姉ちゃんと初めて會ったとき、ボク、【プロデューサーのハチマキ】を持ってたでしょ?」

「ああ、あったわね。ゼッカちゃんが腕のいい生産職のプレイヤーでないと作れないとか言ってたわ」

「……あれを作った人だよ。多分、まだギルドにってないと思う。聞いてみる価値はあるんじゃないかな」

ヨハンとコン、ドナルドは顔を見合わせた。

「じゃあ、紹介して貰おうかしら」

「せやね。腕がよければ、勧してもええな」

「ふふ、どんな人か、楽しみね☆」

「……安心して、腕とデザイン能力は確かだよ。何せ、このゴリラアーマーをデザインした人だからね」

「え……」

「は……」

「……☆」

三人は急に不安になった。

***

***

***

ヨハン、ドナルド、レンマの三人は第二層、城塞都市の中央広場にやってきた。

「【煙條(えんじょう)P】って人を探して」

レンマ曰く、その凄腕の生産職のプレイヤーは30代のおじさんらしい。3人がそれらしい人をキョロキョロ探していると、ちょっとした騒ぎが耳にった。

「なんだよそのふざけた格好は!」

「舐めてんのか!」

「キモいんだよおっさん!」

「ち、違うんです……これは強力なユニーク裝備で」

「遊びじゃねぇんだぞ!」

「ハンパな気持ちでくるんじゃねーよ!」

何やらめているらしい。一人の男プレイヤーが、パーティから追い出されてしまったようだ。

一人項垂れる男の頭上には【煙條P Lv40】と表示されていた。どうやらあの男が、ヨハン達の探す人のようである。

「あの人が……でも格好が」

「……ま、前はあんな見た目じゃなかった」

「ええ、かなりイカれた見た目をしているわね☆」

見た目の威圧とヤバさに定評のあるドナルド・スマイルをもってして「イカれた見た目」と言わしめるその男、煙條P。

そう。彼は何故か、出の多いアイドルの裝にを包んでいた。

グロ注意ってれるの忘れてましたすみません。

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