《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第54話 黒き暴

挿絵はありませんが、蟲が苦手な方はご注意を。

「――【ダブルスラッシュ】!!」

「――【ブラックフレイム】!!」

庭に湧いていた敵を殲滅したヨハンとゼッカは城の中に戻り、ロビーに居た敵へ攻撃を始めた。とは言っても殆どは上の階層へと侵攻しており、それほど多くの敵は殘って居なかったが。

「このまま上に進めば、ベリアルカーサンを挾み撃ちに出來ますよ」

「ここの敵は倒し終わったし、行きましょうか」

「ええ」

中央の階段を上り、そこからさらに上の階層へと続く螺旋階段を上る。

「そういえば、ベリアルカーサンってどんなモンスターなの?」

「半人半蜘蛛の化けですよ。とんでもなく素早くて……攻撃を全く當てられないんです。イベントの海賊王より早いかも」

「じゃあ、あの時みたいに、何か倒す為のギミックがあるのかしら?」

「殘念ながら……。解析系スキルを持った人が流した報によると、スキルでスピードを上げているみたいです」

ベリアルカーサンの持つスキル【アクセラレーション】。ベリアルカーサンが壁、地面、天井を蹴り飛び上がるだけで、スピードがどんどん加速していくというスキル。その分、防力は落ちていくのだが、攻撃を當てられない以上、それはデメリットにはなり得ない。

「全く、このイベントの為に作られたようなスキルですよ」

ゼッカはプンプンしている。當然だ。速度をどんどん上げながらも、こちらが隙を見せれば扉を開いて奧へと進んでしまうのだから。

「なるほど。それじゃあ召喚獣での防は無理ね」

「ええ。だからこそ、定期襲撃限定の敵なんでしょう。こればかりはプレイヤーが対処するしかありません」

2Fの扉を開く。すると、本來ここに配置されている筈の上級召喚獣は居らず、ドナルドとレンマがベリアルカーサンと戦闘を繰り広げていた。だが、主に戦っているのはドナルドで、レンマはベリアルカーサンが先へ進まないよう、上への扉を塞いでいる。

「あらあら來たのね~丁度良かったわ☆」

戦闘中のドナルドはヨハン達を見つけると、一瞬だけウィンクする。

「私も參加します!」

「ええ、そろそろコイツ、倒しちゃいましょう☆」

「もちろんです! ヨハンさんはり口を塞ぎながら、援護をお願いします」

「わかったわ」

ヨハンはレンマに倣い、自分が今ってきたり口を塞ぐように立つ。しでも不利になると、ベリアルカーサンは扉から逃げていくのだ。それを防ぐ為の作戦である。

ヨハンが見てみれば、確かに下半が蜘蛛、上半が青白いの魔が、凄いスピードで部屋の中を飛び回っている。そして、時々、通りすがりにドナルドの屈強なを切り裂いている。

ヨハンはとりあえず、プレレフアの第3のスキル【蝶の狂演】を発。フィールドに居る味方に3分間のHP・MPが回復し続ける狀態を付與する。

そして、敵を狙って【ブラックフレイム】を撃ってみるものの、當たらない。壁や天井を縦橫無盡に飛び回るベリアルカーサンは、どんどん加速する。そして、目で追えなくなったと思うと……。

「キシャーッ!!」

天井に張り付いて、地面に向かって毒のブレスを放ってくる。その毒々しい息にれたヨハン達は、たちまち毒の狀態異常をける。

「ぐぬぬ……確かに厄介な敵だわ」

海賊王ほど理不盡に強い敵という訳ではない。だが、嫌らしい。倒しにくいという點においては海賊王を超えるのかもしれない。

「アンチポイズンフィールド!!」

レンマが仲間全の毒を解除するスキルを使用し、ヨハン達の毒は消え去った。

「ありがとう!」

「助かったわレンマちゃん☆」

「……それより、敵を」

ベリアルカーサンは再び天井を蹴って加速を開始。ゼッカが攻撃をなんとか掠らせたが、すぐに追いつけなくなってしまう。

「あーんもう! イライラするわー☆」

「ドナルドさん落ち著いて……必ず勝機はあります」

「……良く観察するんだ」

(レンマちゃんの言う通りだわ。観察……観察)

ヨハンは敵のきを目で追い続ける。

(壁や天井を蹴って直線に進む。その先の壁を蹴って加速……再び壁へ……そうか)

「このモンスターの攻略方法がわかったわ」

ヨハンがぶ。

「マジ!? それじゃあお願いするわ☆」

「任せて……えっと、今回は6人くらいでいいかしら」

「んん?☆」

ヨハンは【増】を発させ、新たに二の分を誕生させる。そして、その分にも【増】を発させる。こうして、合計6の分が現れる。

「……お姉ちゃんが7人……ゴクリ」

「一何が始まるのかしら☆」

「私にもわからないですね」

見守る3人は固唾をガブ飲みした。

「みんな行くわよ、せーの……【バグ】!!」

バスタービートルのもう一つのスキル【バグ】を全ヨハンが発。漆黒の鎧の隙間という隙間から、小さな黒い、メスのカブトムシのような蟲がカサカサとあふれ出す。

「ちょっとちょっとちょっと~なんなのあのスキル~ゴキブリ召喚なんて鳥が止まらないんですけど☆」

「ゴキブリじゃないです。似てるけど……そうとしか思えないけど、違うんです。というか、ヨハンさんの狙いって……」

青ざめた顔でゼッカが呟くがもう遅い。7人のヨハンからあふれ出した蟲たちは、地面、天井、壁をワラワラワラ覆い盡くしていく。

「……キシャ!?」

天井に著地したベリアルカーサンは、再び蹴って飛ぼうとして、止まる。もう、彼が進む先は無い。彼が進む先は、全て黒い蟲によって覆い盡くされているのだ。

「止まったわね。今よ!」

ヨハンのかけ聲で、黒い蟲たちは一斉にベリアルカーサンを覆い盡くす。

「キシャ……キシャアアアアアアアぶぐぐ」

「あわわ……口を開けているから、口の中にも蟲が……」

「……酷い」

蟲が敵の全を覆い盡くすのを確認して、本であるヨハンが手を握りしめるジェスチャーをすると、蟲たちは一斉に発する。

そして、ベリアルカーサンの討伐に功した。

「ふぅ……最終日にしてようやく役に立てたわね……さぁ、この調子で最後まで頑張りましょー! あらどうしたのみんな? 口元を抑えて」

青ざめた表のドナルドとゼッカ。

「いえ、別になんでも無いですよ?」

「ええ。それに今のヨハンちゃんの戦い方、ギルド対抗戦でも使えそうよね~。グッドアイデア☆」

「そ、そうかしら? じゃあ、もしこの城が攻められる事があったら、試してみようかしら。やろうと思えば、もっと數を増やせるから」

「凄いですヨハン! 最強の神攻撃!」

「ええ。私たちだけこんな気持ち悪い思いするなんて不公平。他のプレイヤーにも験して貰いましょう☆」

ドナルドとゼッカは、自分たちがじた苦しみを他のプレイヤーにも味わってしい、道連れになってしいと、心からそう思った。

今回の戦法、さっきクイズ番組に出てた蟲柱を見て思いつきました。

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