《反逆者として王國で処刑された隠れ最強騎士〜心優しき悪役皇様のために蘇り、人生難易度ベリーハードな帝國ルートで覇道を歩む彼を幸せにする!〜【書籍化&コミカライズ決定!】》【99話】働き方改革を実行せよ!③(ブラッティ視點)

々と問いただすと、何故、アルディアさんやリツィがこんなに激務とも言える大量の仕事をこなしるのかということを教えてくれた。

「え〜! 今ってそんなに大変な時期なんですか⁉︎」

驚き過ぎてかなり大聲でんでしまった。

聞けば、どうやらこんなに仕事詰めなスケジュールはヴァルトルーネ様が皇帝となってからであると分かった。

アルディアさんは申し訳なさそうに頭を下げる。

「すみません。こちらの不備でかなりの仕事量となってしまったことは謝罪します。リツィアレイテ將軍にそんな無理を強いていたとは知らず……」

「いえ、私は特に無理をしていた認識はありません! それよりも、アルディア卿こそ休んでいないのでは? 先程から顔も悪いようですし」

私から言わせれば、どっちも同じようなものだ。

私は二人の話を遮りつつ、軽い口調で尋ねた。

「でも、どうしてそんなに忙しくなったんですか? ヴァルトルーネ様が皇帝になったのと特設新鋭軍の仕事量が増えたのって何か関係しているんですか?」

純粋に疑問であった。

ヴァルトルーネ様が皇帝となられた今、特設新鋭軍の規模は拡大した。

それに伴い請け負う仕事が増えたということもなんとなく分かる。

でも、仕事が増えても人員が増えないわけじゃない。

二人がそこまで無理しなくとも、問題なく組織の運営は続けられると思っていた。

アルディアさんは、視線を逸らして再び申し訳なさそうに眉を顰めた。

「ルーネ様が皇帝となられたことが原因で特設新鋭軍が激務になったわけではありません」

アルディアさんは靜かに告げた。

それに対して、リツィも頷く。

「その通りです。元々はここまで忙しくなるとは私もアルディア卿も予想していませんでしたから」

二人の言葉を聞き、私は再度聞き返す。

「じゃあ、別の理由があるんですよね?」

「はい。まあ……ただ、これは、完全に俺の落ち度となるのですが」

アルディアさんの落ち度?

先程から伝わってきていた負い目のあるような態度は、個人的な罪悪を抱いていたからなのかと瞬時に理解できた。

しかし、アルディアさんが何かを失敗するというのは、あまり想像できない。

普段からだいたいのことを完璧にこなし。

苦手な分野なんて存在しない。

いつも冷靜で、揺なんてしない……私の中のアルディアさんに対する印象はこんなじだった。

「アルディアさんでも、失敗するんですね」

「これでも、人間ですから」

「因みにその失敗ってどういう容なんですか?」

理由は意外なことだった。

「……帝國部の整理をし過ぎて、仕事の回りが格段に遅くなったのです。國の膿を取り除くことに注力するあまり、その後のことまで考えを巡らせることができていませんでした」

帝國部の整理……というのは、つまり。

ヴァルトルーネ様に敵意を向けている貴族や縁者に対する制裁のことだろうか?

でも、よくよく考えてみれば「確かに」と思えることは多かった。

「じゃあ、悪事に手を染めていた貴族とかを一斉に検挙したことが裏目に出たってことなんですか……?」

「概ね、その認識で合っています。政にしても、帝國軍部にしても、予想以上に腐敗が進んでいたので、仕方のないことではあったのですが……はぁ」

つまり、これまで表向き帝國を回していた貴族の多くを斷罪してしまい、そのせいで仕事が滯っていると……。

「本末転倒ですね……」

「そう言われても仕方のないことをしました。ですが、遅かれ早かれ、行うべき措置でしたので、いつかはこうなる日が來ていましたよ」

特設新鋭軍に出命令が多く出ていた時期があった。

それがちょうど、ヴァルトルーネ様が皇帝に就任したし後くらいである。

容に関しても、汚職に手を染めた貴族に対する粛清。

私はそれらの任務に駆り出されなかったけど、リツィは頻繁にそういう貴族と戦っていた。

「諸悪は絶やしにしなければと、私も思っていました。不屆き者たちを徹底的に叩いたヴァルトルーネ様とアルディア卿の判斷は正しいことだと思いますよ」

リツィの意見に私も同意だ。

でも、それを理由にリツィやアルディアさんが壊れるくらい働くのは間違っている。

「その、代わりの人とかは用意できなかったんですか?」

「用意はしましたが、まともな引き継ぎなどもなかったので、元の仕事効率よりも格段に仕事を捌くスピードが落ちてしまいました。それに、特設新鋭軍の影響力が拡大したのも、激務に拍車をかけた理由の一つです」

「特設新鋭軍が擔う仕事の範囲が大きくなりましたよね」

「はい。リツィアレイテ將軍の言う通り、特設新鋭軍は過去の帝國軍が行っていた業務の大半を回している狀況です。こちらも貴族や汚職に手を染めていた者たちを処罰し、役職を解いたことが原因です」

なるほど。

よくあるやつだ。

慣れてる人がごっそりと居なくなったから、教えられる立場の人がなく、立て直しが遅れている。

だからどれだけ人員を増やしてもアルディアさんやリツィの仕事が減らない。

悪循環が出來上がっていた。

「じゃあ、落ち著くまでは暫くこのままってことですか?」

「そうなるでしょうね。特設新鋭軍の新規部門の立ち上げもまだですから、その分の仕事も特設新鋭軍上層部に皺寄せがきてしまいますかね」

二人だけではないのだろう。

アルディアさんの執務室で働いていた人たちは死んだような顔で必死に書類と睨めっこをしていた。

私の仕切る軍に負擔がないことを考えれば、きっと特設新鋭軍の部門ごとに割り振られる仕事量がアンバランスになっていることは容易に想像がついた。

「じゃあ! 私がリツィの仕事をいくらか肩代わりするよ!」

「ダメですね」

「な、なんで!」

「リツィアレイテ將軍に任せている仕事は、軍の基幹を擔う重要なものが殆どです。お手伝い覚で統括部門とは別部門に仕事を割り振れるほど簡単な話ではないのですよ」

役に立てないことがとても悔しい。

しかし、アルディアさんは優しく肩に手を乗せてきた。

「ですが、ご心配ありがとうございます。リツィアレイテ將軍に関しての業務もこちらで可能な限り調整しようと思います。彼に任せている重要な仕事を擔える人材も早急に育していきます」

リツィも私の手を取ってくれた。

「ブラッティ、心配してくれて嬉しかったです。もし困ったことがあったら、その時は真っ先に相談するようにします」

生真面目なリツィらしい答えだった。

きっと彼はギリギリまで相談してこないだろう。

でも、言葉にして伝えてくれたことが私は嬉しかった。

リツィは私のことを信じてくれている。

それが分かっただけで十分だ。

「では、俺は仕事に戻りますね」

「はい、ストップです!」

しんみりしたいいじの空気。

アルディアさんは優しく微笑んでそのまま戻ろうとしたけれど、

どさくさに紛れてそんなことはさせない。

「アルディアさん、私、二人のことをとても心配してるんです。仕事ばっかりで疲れてるんじゃないかなって」

「え……はい。存じてますが」

「因みにですが、アルディアさんは仕事以外の時間は何をしてるか聞いてもいいですか?」

「仕事以外だと……ルーネ様のために……」

「それは専屬騎士の仕事でしょ!」

この人は……何が仕事か分からないくらい仕事漬けなのかもしれない。

リツィの仕事を減らすことを約束してくれた。

それ自はありがたいし、納得できる。

ただ、

「アルディアさん! リツィはもちろんですけど、貴方もちゃんと休むべきです!」

努力するのはいいが、やっぱり看過できなかった。

「いえ、でも……俺が抜けると、業務の進行に大きな遅れが……」

「アルディアさんが抜けて崩壊するような貧弱な組織なら崩れてしまえ〜!」

「えぇ……」

その日、リツィとアルディアさんは午後の仕事を休むことになった。

有無は言わなかった……いや、言わせなかった。

お待たせしました!

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