《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》待ち人來ず、當方蠻族也
場所は変わり、シャングリラ・フロンティアを新規で始めたプレイヤーが最初に拠點とすることになる街「ファステイア」。
夏休みシーズンの到來ということで、さらにサーバーが強化された事で數千人単位の新規をけれる用意の整った、特に何かランドスポットがあるわけでもない平凡な街にそれ(・・)はいた。
「すげぇ……見ただけで高レベルって分かる裝備じゃん……」
「あのエンブレムネットで見たことあるよ、確か攻略ガチ勢クランの……」
「確かあのクランって最低でもレベル90以上ないと加試験すらけられないんじゃなかったっけ?」
「ならなんでそんなガチ勢が初心者の街に……わっ、こっち見た!」
全を包む白金のフルプレートアーマー、背中ではためくマントには剣を咥えた狼をイメージしたエンブレムが刻まれ、初心者が主にベルトに武を吊るしているのに対してなんの力か背中に張り付くように浮遊する大剣。
明らかに初心者のそれではない格好のプレイヤーはまるで誰かを探すように新たにログインするプレイヤーをじっと見つめている。
ストーリーに関係するNPCと勘違いしたプレイヤーに話しかけられたり、スクリーンショットを求められたりと、四苦八苦しながらも粘っていた白金鎧であったが、リアルで二時間ほど経過したところで諦めたように去って行ったのだった。
「これは困った……流石に予想できなかった………」
街などの宿屋とかでなければセーブできないらしく、どうせ暫くはログアウトするつもりもなかった俺はそれからも暫く森の中を徘徊してモンスターを片っ端から狩っていたのだが、ここで問題が二つ発生した。
まず一つは裝備重量。余程大きいものでない限り大のアイテムはインベントリに収納されるのだが、一定量を超えるとアクションにマイナス補正がるらしい。
十二本集めて四本使い潰して今一本ドロップしたので九本目のゴブリンの手斧をインベントリにれたところで、まるで厚著でもしたかのようにきに違和をじた。
とりあえずゴブリン以外にも角が生えた兎(アルミラージ)やゴブリンと雙璧をすオトナファンタジー最強モンスター豚頭(オーク)、珍しいところでは二足歩行の首刈り兎(ヴォーパルバニー)なんてのも倒した。
ヴォーパルバニーはどうも全アクションが首狙いかつクリティカル臭かったが、狙いが一択な行パターンは慣れてしまえば絶好のカモだ、ウサギだけど。
だがヴォーパルバニーが5%で落とすドロップ武である「致命の包丁(ヴォーパルチョッパー)」は中々の有能武だった。
初期裝備の傭兵の雙刃と比較して、全的に上位互換な上にクリティカルダメージに補正がる追加効果は俺の戦闘スタイルに上手く合致している。
それにレベルも上がった。アイテム的にも経験値的にもヴォーパルバニーは中々にオイシイ敵と言えるな。
————————————
PN:サンラク
LV:12
JOB:傭兵(二刀流使い)
9,000マーニ
HP(力):30
MP(魔力):10
STM (スタミナ):25
STR(筋力):10
DEX(用):15
AGI(敏捷):25
TEC(技量):20
VIT(耐久力):1(2)
LUC(幸運):55
スキル
・スピンスラッシュ
・スクーピアス
・ナックルラッシュ
・タップステップ
・フラッシュカウンター
裝備
左右:傭兵の雙刃
頭:凝視の鳥面(VIT+2)
:無し
腰:無し
足:無し
アクセサリー:無し
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とりあえず致命の包丁は傭兵の雙刃が破損するまでは取っておくとして、このゲームではレベルアップでステータスにポイントを割り振ることができる。
12レベルになった事で55のポイントを得たわけだったが、とりあえず半分ほどを幸運に振ってみた。
想としては、まぁ誤差レベルとしか言いようのないドロップ率の変化だったが確かに気持ちアイテムがよく落ちるようにじた。
そしてスキルだが、レベルアップで二つ、ヴォーパルバニーの攻撃をけ流し兎を叩き落としていたら一つ勝手に習得していた。
レベルアップ以外にも條件を満たす事で習得できるスキルもあるみたいだ。
スキルを使ってみた想だが、頭の中で「このスキルはこうけばいい」という確信が付與されるような覚だった。
昔のゲームの中には無理やりがスキル通りのきを取るものもあったが、あれは々悪用できたので今は思考導……というと言い方が悪いな、思考補助という形が主流だ。
最初から覚えていた二つはきが大振りで自分と同等かそれ以下の大きさの敵に対しては効果が薄いがDPSは高い。
新たに覚えたスキルのうちスクーピアスは発生が早く、コンパクトな攻撃かつ一撃の威力は高い……が連発できないことからあまり俺好みではかった。
タップステップは回避行に補正がるスキルで、フラッシュカウンターは対照的にパリィからのカウンターに補正がるスキルだった。
結論から言えば、現狀役立つスキルは辛うじてスクーピアスだけ、と言わざるを得ない。初期スキルは大振りで出番が無いし、回避け流しスキルは自前のプレイヤースキルで十分賄えている。
この程度の雑魚MOB、好き嫌いを通り越してクソとしか言いようのないゲームバランスな數々のクソゲーと比べれば有過ぎて涙が出そうだ。
過しない、分しない、ちゃんと死んでくれる。この最低限の條件すら満たせないからこそクソゲーのバグは笑えないのだ。
話を戻そう。
一つ目の問題はインベントリの容量がカツカツになってきたこと。これに関しては系アイテムを消費すれば何とかなる……のだが、その消費が二つ目の問題なのだ。
「ぬかったな……まさか生狀態だと食べれないとは。」
どうもこのゲームでは系アイテムは最低限焼くなり煮るなりの調理をしなければ空腹回復アイテムとして使用できないらしく、生を何度食べようとしても食が減衰する覚で口の中にれることができないのだ。
そして最大の問題として、サンラクには火を起こす手段が存在しない。
Lv.1から上がりも下がりもしないMPが魔法の一切を習得していないことを如実に指し示している。
「このままだと死でリスポーンになりかねないな……」
せめてモンスターの手にかかってリスポーンしたいものだが、ゴブリンに倒されるのも癪だ。
かと言って死でリスポーンもあまりに間抜け、さてどうしたものかと思案していると、何故か凄く久しぶりにじる自分以外の人の聲を聞き取った。
一応ゲームにおける全ての道屋で購できる確率で火がつく「火打ち石」を買えば火に困ることは基本的にあり得ません。
オーバーロード:前編
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