《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》一目(複數形)
割と重要な報告なのでここに書きます
想欄で多くの方から指摘があり、考えた結果「街中でPvPは流石におかしい」ということで
33話~38話の容に大幅な変更を加えたいと思い、そのために數日ほど更新をストップします。
ご迷をおかけして誠に申し訳ありません。
ヴォーパルバニーの國ラビッツ、王たるヴァイスアッシュの住まいである兎殿の一室。王によって見込まれた人間に與えられた部屋に、空間を繋ぐ門が現れる。
「はい逃げ切ったぁ! どうだ見たか廃人共め! ははははははは!!」
「つ、疲れましたわぁ…………」
そこへ転がり込むように俺とエムルは現れ、【座標転移門】が完全に消えたことでようやく俺は安堵のため息をつく。エムルがMPが足りませんわー!とか言い出した時は本當にもう……何かに追われながらやるパルクールには慣れているが神的にはあまりよろしくない。
正直相當ヤバい場面だった。知ってる驚異と知らない脅威が同時に來るのは心臓に悪い。ペンシルゴンはなんか俺のユニーク狙いとは別に何か悪巧みしてそうな気配がしたし、暫くはラビッツで優雅に亡命生活だな。できれば喋るヴォーパルバニー以上のビッグニュースで俺の存在が忘れ去られてくれたりすると大助かりなんだがな。
「あぁー……やっぱ対人戦も悪くないなぁ」
リアルには存在し得ないモンスターを倒すのもこれ以上ない達を齎すが、中のったプレイヤーを出し抜く快もまた捨てがたい。
「時間は……晝か」
一旦飯食ってきた方がいいかな。俺はベッドへと飛び込むように寢転がり、セーブを行う。
「おれはちょっと寢る、起きたらヴァッシュ……兄貴? 親分?どっちがいいかな、まぁいいや……本格的に修練をけることにする」
地面に寢そべったままヒラヒラと手を振るエムルを確認し、俺はログアウトするのだった。
「さて。」
水分補給と即興の食事を兼ねたゼリー飲料で栄養補給しつつ、俺は案の定屆いていたメールを開く。
件名:してやられました
差出人:鉛筆戦士
宛先:サンラク
本文:いやはや、例えるなら雑魚A〜Dとはいえよくもまぁ高レベルプレイヤーから逃げ切ったね。
なんか話を聞くに黒狼の「最大火力」ちゃんが助太刀にったらしいけど知り合いなの?
あとそのうちちょっと話したいことあるからカッツォ君も呼んで円卓で會おう、日程は後程。
一通はまぁ當然と言うか鉛筆戦士(ペンシルゴン)。幾つか気になる言葉があるとはいえ、ちょっと話したい事とはなんだ?
「態々シャンフロ外で話をしようとしてるあたり、怪しい……」
というか何故あいつもなんだ? と、首を傾げながらもう一通を見てみれば、件のモドルカッツォからのものであった。
件名:おい
差出人:モドルカッツォ
宛先:サンラク
本文:鉛筆戦士から明らかに悪巧み臭いおい來たんだが、お前何したんだ。
面白そうだから俺は話を聞くが、當然お前逃げないよな?
俺、モドルカッツォ、ペンシルゴンの三人によるペンシルゴン発案のなんらかの計畫。怪しさマックス、いやマキシマムだが好奇心も同じくらいある。態々巻き込まれた奴から逃げるなよと念押しされては、逃げるわけにもいかない。
「とりあえずカッツォには普通に返信して……」
ペンシルゴンにはファンメ紛いの文章にしておいてやろう、くくく。
「はいおはよう」
「おはようですわ!」
ラビッツのやけにモコモコしたベッドの上で目を覚ま(ログイン)した俺は、エムルに適當に挨拶をしつつベッドから起き上がる。ユニークバレという別の問題が浮上したとはいえ、當初の目的であるラビッツから通常マップに戻る際のランドマーク更新は達できたからまぁよしとしよう。
これでようやっとユニークシナリオに専念することができる。俺はぴょこぴょこ跳ねるエムルの後ろを歩きながら、ホクホクとした気分で兎殿の廊下を進む。
「ここはアタシらが修練、それも実戦的な戦闘訓練をする時に使う闘技場……兎呼んで「ヴォーパルコロッセオ」ですわ!」
「ほー」
中々に広い闘技場に足を踏みれ、俺は辺りを見回す。広さ的には直徑2、30メートルくらいの円形のコロシアムは特に障害があったりはしない、オーソドックスな戦闘フィールドのようだ。
「おとー……けふん! カシラはサンラクサンにここで全部で十のモンスターと戦えと言っていますわ!」
「勝ち抜き式か、オッケー」
「じゃあ早速挑戦しますわ?」
「おうよ」
修行タイプのユニークシナリオであることは分かっていたが、モンスターと戦う実戦的なものだったか。さて何が出てくるやら、今の俺はモチベーションとは別にテンションゲージも高い數値を維持している。普段よりも上手くける自信があるぞ。
にまりと笑みを浮かべ、湖沼の短け「あ、「致命(ヴォーパル)」武以外は使っちゃ駄目ですわ」オーケィ、若干出鼻を挫かれたがその程度縛りですらない。安全優先から若干捨てになるだけだ……まぁ一発で十抜きできるとは最初から考えていない、トライアンドエラーでモンスターの行パターンを覚え、て、確実、に………
「カロロロロ……」
それは、嫌なものを思い出させる漆黒の並みを持つ猛獣。狼……というよりは猟犬と言うべきだろうか? 狼特有のワイルドさは薄く、代わりに軍隊のような統率(・・・)をじさせる一糸れぬきは、それが単ではなく個の集まり、群であることを如実に示している。
「……これ一目?」
「はいな」
「……一目(・・・)?」
「はいな」
ふむ…………
「ヴァオオオオオオオオン!!」
「ガウッ! ガウッ!」
「グルルルァァ!!」
殺到する漆黒の猟犬……その數ざっと見て十以上。明らかに集団戦を得意としている猟犬にきを封じられてHPをゴリゴリ削られながら俺が思ったことはただ一つ。
「せめて一戦目と表記しあぎゃあ」
ユニークシナリオ「兎の國からの招待」、実戦的訓練一戦目。
必ず五以上でポップし、プレイヤーに対して數的有利を確保した上で襲い掛かるモンスター「マジョリティハウンド」……平均レベル65。
どうでもいいけどこれ書いてる最中何度も「マジョリティ」と「マジェスティ」を打ち間違えたのでこいつ嫌いです(理不盡)
マジョリティハウンドの特徴としては必ず5以上でポップし、さらにプレイヤーのパーティの數に応じてさらに頭數を増やす「プレイヤーに対して常に多數派で襲う」モンスターです。しかもAIが結構賢いので雑魚Mobの割に苦戦するプレイヤーは多いです。
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