《【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの年は、眠りからさめた神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】》1-22:ボス部屋へ
僕たちは、ダンジョンに潛った。
がなってしまう。すっかり通いなれた、地下へと降りる階段。
目的地が違うだけで張がこんなにもあるなんて。
「リオン、本気なんだね?」
尋ねるミアさん。
僕は左側にさした短剣を確かめ、顎を引いた。
「はい。今日は最下層のボスを目指します」
ダンジョンにはボスがいる。その名のとおり迷宮で一番強い魔だ。
冒険者はまず、この最下層のボスを目的にする。魔力が得られるからレベルアップもしやすいし、強力なアイテムを落とすこともあった。
ダンジョンのボスを討伐したことは、冒険者の実績にもなる。魔石やアイテムの番人でもあり、他迷宮への挑戦権の番人でもあるんだ。
なにより――ルゥの病の、鍵であるかもしれない。
「ふむ……ま、あたしと2人なら大丈夫だとは思うが」
ミアさんが腕を組む。
「リオンのレベルは9だけど、あたしは30だしね」
「…………はい」
頼りっきりでごめんなさい。
そう、東ダンジョンのボスは、目安がレベル10くらいと呼ばれている。レベル10の冒険者ならソロで、レベル5くらいの冒険者でも3人パーティーなら勝利できる水準なんだ。
初心者用のダンジョンと呼ばれるだけあって、あまり強くはない。
「他のパーティーでも、スケルトンが出るようになってからボスに挑んだ例もある。ボスは、今まで通りだったってよ」
「でも、油斷ですよね」
「わかってるじゃないか。迷宮に絶対はない。冒険者は基本的に冒険しないもんだ」
ミアさんと僕らは探索層を下りて、敵が出る階層までまっすぐ向かった。
『リオン、気を付けてくれ』
ソラーナの聲が聞こえた。
『……だんだんと、いろいろなことを思い出してきている。今日、このダンジョンに來てからだ』
「え?」
『頭の中で、思い出せなかったことが、だんだんと思い出せてきている』
これから話す異変と関係があるかもしれない――ソラーナはそう付け足した。
『ダンジョンというのは、魔が封印された場所。そこは王族のスキルが管理している、だろう?』
僕は頷く。
ダンジョンには強力な封印が施されている。
王族のスキルが影響しているというけれど、あくまで噂でしかない。平民にはあまり報が下りてこないんだ。
『スケルトンが急に現れたということは、おそらく、その封印が緩んだのだろう』
「……確かに、そういうことだけど……」
そんなこと、あるんだろうか?
「あ……」
真っ青になる可能。
もしかして、僕の『封印解除』、知らない間に……!
『君じゃない。そんな様子はなかった。誰かが、ダンジョンの封印を解いたんだ』
今までにない切羽詰まった様子だ。
『……建國の神話には神々が圧勝したとあるけれど、わたしは魔をみると、やはり違うように思えてならない』
ミアさんを橫目で見る。返答しづらい狀況だけど、ソラーナは話を続けていた。
まるで不安を吐き出すように。
『圧勝なんというものではなかった。神々は、むしろ圧されていた。わたしの……』
ソラーナはそこではっと言葉を切った。
『そうだ。どうして、こんなことまで、わたしは忘れていたんだろう……封印が、記憶にもか……やはり、だから、今になって思い出せているのか……』
「どうしたの?」
『わたしの……大切な家族も、終末の戦いで命を落としている』
「死ん……?」
『神の死、消滅だ』
息をのんだ。足を止めた僕を、ミアさんが怪訝そうに見る。
『建國の神話も、この魔が復活したダンジョンも、どちらもなにか気にかかる。悪い、いやな、予がする。リオン、今日は特に慎重に……たとえ勝てそうでも、だからこそ慎重にいってほしい』
了解です。
その意思を込めて、ぐっと前を睨む。
「リオン、どうした?」
「いえ、しその……警戒を」
「なるほどな。確かに今日は、迷宮中がいやに靜かだ」
僕も妙にじていた。なんだか今日のダンジョンは、気配がない。魔のそれさえ。
朝が早いから他の冒険者もいない。2人分の足音が、迷宮に転がっていく。
『ダンジョンの奧は、封印の魔法が強いはずだ。わたしの顕現も時間が限られる』
能力『封印解除』に魔力は使用しない。
けれど、當然だけどソラーナには負擔になる。
「できるだけ、僕自の力でやるようにするよ」
決意と共に僕らはボス部屋への階段を降りた。
――――
人狼が出現しました。
――――
頭に響く、神様からの聲。ソラーナと違って、事務的で生気がなくて、伝達というじ。
暗がりに赤いが、2つ。目だ。
ミアさんが腰を落とす。
「來たよ」
東ダンジョンのボスは、人狼という魔だ。直立した狼のような存在で、直接に見たのは初めてだった。
の丈は、大人より頭一つ高い。
闇のに覆われ、腕や腳に筋の束がうねっているのをじた。
遠吠え。
空気が震え、僕の心臓まで凍りそうだ。
「びびったかい?」
ミアさんに首を振って、僕は青水晶の短剣を構える。
「目覚まし!」
クリスタルが輝き、霊が力を解放した。風の刃が狼に屆く。けど、腕に小さく傷をつけただけだった。
固い!
僕とミアさんは互いにフォローできる距離を確保しながら、人狼に相対する。
『……気配が妙だぞ』
ソラーナが言った。
人狼は傷をけてもかない。まるで痛みをじていないみたいだ。
じゃらりと鎖斧を構えなおして、ミアさんも訝る。
「妙だね。攻撃的な魔のはずだが」
もう一度、頭に聲が響いた。でもそれは、いつもよりずっと暗くて、濁っている。
――――
人狼が出現しました。
人犭&出?しま※た。
――――
こんな聲、聞いたこともない。ぞくぞくした何かが全を這い回る。
恐怖。
ギデオンに裏路地に連れて行かれた時の、あの怖さが、を摑む。
――――
狼(ウェアウルフ・ゾンビ)が出現しました。
――――
空間中の闇が、人狼に向かって収束した。
【電子書籍化】婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣國へ行きますね
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。 幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿學校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決斷。エミーと名前を変え、隣國アスタニア帝國に渡って書籍商になる。 するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出會う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。 ※エンジェライト文庫での電子書籍化が決定しました。詳細は活動報告で告知します。 ※この作品は他サイトにも掲載しています。 ※「小説家になろうnavi」で2022/10の朗読作品に選ばれました。
8 147異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした
『異世界転移』 それは男子高校生の誰しもが夢見た事だろう この物語は神様によって半ば強制的に異世界転移させられた男がせっかくなので異世界ライフを満喫する話です
8 170ダンジョン潛って1000年、LVの限界を越えちゃいました
世界樹ユグドラシルの加護により、13歳で肉體の壽命が無くなってしまった変異型エルフの少年‘‘キリガ,,は、自由を求め最難関と言われるダンジョン、『ミスクリア』に挑む。 彼はそこで死闘を繰り返し、気が付くと神が決めたLVの限界を越えていたーーーー もう千年か……よし、地上に戻ろっかな!
8 142ラノベ獨學の最強スキル3つを選んでみた。~チートって一體~
ラノベ1萬冊を読破した友達がいないラノベマスター(自稱)玉田 大輔は、ある日、ちょっとした不慮の事故で死んでしまう。 だが行き著いたのは天國でも地獄でもなく暗闇の中。 そこで現れた女によって最強のスキル三つを手に入れたラノベマスター(笑)。 さぁ行け!新たな世界の幕開けじゃ!
8 181極限まで進化した頂點者の異世界生活
主人公の黒羽海斗は他の人間とは違うものを持っていた。完全記憶能力、そして、絶対なる力・・・破壊と創造の力を・・・ これは人間が進化をした先にもつ頂點の能力だった・・・ 力を使い、大切な物を守り抜く。 これはそんな主人公の異世界生活の物語。 注意無雙はしません。 応援お願いします。 更新は進みしだい更新します。 不定期の更新だと思います。
8 174ルームメイトが幽霊で、座敷童。
とある日のこと。そうだ、その日だ。その日を境に、変わってしまったんだ。俺の日常は。幽霊や妖怪の退治からトイレ掃除まで行う『なんでも屋』を経営する俺にやって來た數々の依頼。さてと、今日も行きますか。 ◆攜帯版ので見づらい方は、エブリスタ版(http://estar.jp/.pc/_novel_view?w=21377746)をご覧ください。第七話までまとめた形となっています。 ◆第一部完。第二部は2016年連載開始。 ◆「電子書籍大賞2013」最終ノミネート作品です。
8 115