《【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの年は、眠りからさめた神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】》2-7:狩神と雷神

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<スキル:狩神の加護>を使用しました。

『野生の心』……探知。魔力消費で、さらなる効果。

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戦闘層へ降りた後、僕は神様の力を起き上がらせた。

北ダンジョンの第2層。木々は相変わらず壁や天井を覆って、深い森を歩くような景だ。でも1層と違って地面は平らで、道幅も広い。

や人間がよく戦うから、草木が踏みしめられているのかもしれない。

そんな階層へ覚が広くいきわたる。小が駆ける音、風が渡る気配、それらを敏け取った。

『ボクのスキルを使ったようだね』

狩の神、ウルの聲がした。

「ええと、ウル様……」

『おや? ウルでいいよ。呼び方で君の敬意が損なわれたりしないさ』

そ、そういうものなのかな。

狩人のお兄さん、というじの神様だ。姿も年上で、なおのこと呼び捨てに抵抗がある。

けど、お願いを無視するのもダメな気がした。

「ウ、ウル……」

『はは、よろしく、若き狩人よ! 北ダンジョンはボクが封印されていたダンジョンだ。スキルを教えるにはぴったりだ』

聞こえる足音から、魔の大きさや位置がわかる。

音がする方向からは獣のそれをさらに悪くしたような、特有の臭いがじられた。

目を閉じると覚がさらに研ぎ澄まされていく。

「探知スキル、だね」

『そうさ。まだ自然がかであった頃、人間は狩りをして暮らしていた。當時の狩猟覚が君に宿る』

文字通り野生の心だ。

大昔の狩人が持っていた、そして今は失われた狩猟覚。

「8……? いや、10かな」

明らかにじゃない足音がある。姿が見えなくても位置がわかれば、鉢合わせるリスクは減るだろう。

普通のパーティーならから手が出るくらいほしい力かもしれない。

迷宮で一番怖いのは不意打ちなんだから。

「この道、先に敵が出ます」

の戦士団は驚いたみたいだった。

先頭の人が槍をつく。

「1程度は出ると思っていたが……どうしてわかる? 俺の索敵でも位置まではわからない」

「スキルです。多分、息をひそめていますけど」

まだどの程度まで戦士団と協力できるのかはわからない。知らない部分は多くある。

でも、冒険者として力を合わせたかった。

『リオン』

頭にウルさ……ウルの聲が響いた。

『魔力を消費してみよう。効果はまだある』

ウルはちょっと楽しそうだった。

『彼らの度肝を抜いてあげようよ』

から魔力が大きく減る。

進む先に赤いが見えた。50メートルくらい先は分れ道になっていて、は右側の角に隠れている。

『魔は魔石を宿している。つまり、魔力を発散するんだ』

目線を外し、周囲を見回す。

あちこちに赤いが見える。道の先に潛んでいると比べると、どれもし小さい。

よく見ると四足型とか、人型とか、魔の形までうっすらと見えた。

「離れた魔を、で探知できる?」

『うん。強力な魔であるほどは強い』

臭いや音の探知に比べて、魔力はかなり消費する。1日に10回くらいが限度だろう。

でも『視』と言い換えていいこの能力は、とんでもない。

ダンジョンで壁の向こうが見えたら、それって迷(・)宮(・)っていえるんだろうか?

僕は戦士団に向き直った。

「け、気配はいていません。やっぱり待ち伏せで、おそらくワーグよりは強い魔だと思います」

どうしますか、と問うたところで敵の方がいた。

の戦士団が聲を張る。

「オークだっ」

遠目にも巨大。

に、皮を張り合わせた防をまとう。振り上げた棒は人間をまとめて5人は吹き飛ばしてしまいそうだ。

でも待ち伏せに気づいていたおかげで、まだ50メートルほど離れている。

『リオン、やるじゃないか』

また別の聲が聞こえた。

「ええと、トール神さま……?」

『俺もトールでいい。戦場で呼び合う時に「さん」付けは不便だろう』

すごく大きな神様だったからそう呼んだけれど、あっさり呼び捨ての許可が出た。

『俺の力も使ってみろ』

ぐっと短剣を握った。

『でかいやつの倒し方、教えてやる』

オークが咆哮した。東ダンジョンとは明らかに違う、空間を揺らす威嚇聲。

地を揺らす巨歩が瞬く間に距離を埋めていく。

「僕がいきます」

地面を蹴って飛び出した。

「リオンさん、勝手に……!」

「任せましょう」

フェリクスさんがそう言ってくれるのが、視界の端に見えた。

オークの走りと僕の加速。距離はあっという間にゼロになる。

『黃金の炎』の能力向上を使っていないことに、今更に気づいた。でも焦りはない。オークには要らないって、がわかってる。

「はっ」

すれ違いざま、僕はオークの足を切りつけた。

走った勢いのままオークが転倒、木々を巻き込んで転がる。

「があああ!」

足を庇いながらも起き上がる。でたらめに振り回される棒は暴風のよう――とし前なら表現したかもしれない。でも狼骨スコルの攻撃と比べればそよ風だ。

オークはすでに足を切られている。片膝で無理やり立っているから、後ろを振り向くことはない。

『やり方はシンプルだ。力をこめて……』

青水晶の短剣に、青白いがまとう。

それはパリパリと弾け、雷となった。

『雷を落とせ!』

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<スキル:雷神の加護>を使用しました。

『雷神の鎚』……強い電撃を放つ。

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一閃。

鋭いがオークのを駆け抜け、地面へと伝わる。

黒い煙を吐いて、オークは仰向けに倒れた。やがて灰になって拳くらいの魔石を散らす。

フェリクスさんが咳払い。

「……リオンさん、レベルいくつでしたっけ」

「18です」

の戦士団が顔を見合わせていた。

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