3階層に上がると一気に視界が開けた。ダンジョンの中であるはずだが、そこには草原や巖場が広がっている。空を見上げてみると雲まで浮かんでいる。しかし太はどこを探しても見當たらない。明るいのに源が無いという不思議な景だが、それがダンジョンの中であることを示しているようであった。

「これは次の階層を見つけるの苦労しそうだな。まぁこんだけ広ければ暴れやすいか」

次は俺もスキルを検証してみよう。

「お、さっそく巖場のからブラックウルフがこちらを見てるな！　キヌ、次は俺に試させてくれ」

『コォン』

よし、了承も得られたことでやっちゃいますか！　ブラックウルフはＤランクの魔だから検証はしやすそうだ。巖場の方へ歩いていくと、巖のから3匹のブラックウルフが姿を見せた。

「電玉」

こぶし大の黃くる電気の球が3つ現れビリビリと俺の近くで停滯している。

狙いを定め電気の球が飛んでいくイメージをすると高速で電玉が飛んでいく。1発ずつ命中するが、これだけでは倒し切れていない。威力に関しては弱めだが、電玉に當たったウルフはが思うようにかせていない様子だ。

「もしかして狀態異常効果？　となると、かなり有用なスキルだな」

正直なところ火力はバフ発して毆れば楽に出せる。相手のきを遅くさせることができるスキルとなると俺の長所をさらにばす事が期待できた。ただ、現狀の俺の欠點も見えてくる。

「範囲攻撃がないんだよなー。同格の敵が複數出現した場合を想定すると範囲攻撃もしいな」

そんなことを考えているとブラックウルフのきが戻ってきている。

「さて、仕留めるか」

【迅雷】を発させると、俊敏を発した時よりもさらに周囲がゆっくりとなったのが分かる。試しに全力で移し1発ずつブラックウルフ達を毆って頭を砕した。振り向いてキヌの方を見ているとキョトンとした顔をしている。正直、キヌにカッコいいところを見せたかったのは緒だ。

歩いてキヌの所へと戻っていくと、4本の尾をブンブン振り回して目を輝かせている。ドヤっ！！

「お前の相棒は強ぇだろ？」

『クォン！！』

この調子なら裝電・迅雷のコンボはボスまでお預けかな。

その後はまた數時間キヌのレベル上げを行いながら平原を歩き回った。Ｄランクの魔相手でもキヌなら全く問題はなく、出會った魔はキヌが全て倒していた。

ダンジョンだからか、全然夜になる気配はない。魔になってからはあまり眠らなくても大丈夫にはなったが、キヌは大丈夫なのだろうか？

「キヌ、疲れてないか？　眠くなったりしてたら休憩するぞ？」

『クオォン？』

橫に首を振っているから大丈夫って事なんだろう。キヌのＭＰも自然回復をしておりし減ってはいるが、連続での戦闘がない限りは問題なさそうだ。

「んじゃ一気にこのダンジョン攻略しちまおう！」

そう話をしていると遠くの方に建造が見えてきた。

よく見ると大きな扉があり、ボス部屋のようだ。しかし、その前に陣取っているのはＣランクの魔が6。トロールが3とグレーターウルフが3だ。

トロールに関してはの再生能力があるため、中途半端な攻撃では再生速度に負けてジリ貧になってしまう。

「グレーターウルフの方は任せるぞ」

『クォン！』

俺とキヌは左右に分かれ、それぞれの魔を導していく。俺に関しては挑発なのだが……

「おいデカブツども、3まとめてこいや。1分持ち堪えたら尾巻いてダンジョンから出ていってやんよ」

俺がそう言うとトロールはびながら3同時に攻撃を仕掛けてくる。意味分かってるのかな？　と考えつつも【裝電】を発し、赤鬼の金棒をマジックバッグから取り出し先頭の1を思い切り毆ってみた。

右肩が弾け飛ぶがそのまま左手に持っているカトラスで攻撃をしようとしており、痛覚耐ももっているようだ。しかし、傷口はあまり再生している様子はない。そこまで再生能力が高いわけではなさそうだな。

「早く再生しないと1分持たねぇぞ？」

右手に持っている赤鬼の金棒は、重さを全くじず、妙に手に馴染むじがする。

トロールの武目掛けて右手で持った金棒を振り上げる。一撃で砕し、その勢いのまま回し蹴りを顔面にぶち込む。左の拳を脇腹にめり込ませると1目は絶命していた。

2目のトロールも棒での攻撃を躱し後ろから後頭部を金棒で思いっきり毆る。そのまま頭が吹き飛んで回復もしない。3目は金棒をマジックバッグに収納し、4発程度毆ったらかなくなってしまった。

「3で12秒か。もうし粘るかと思ったんだけどなー」

キヌの方を見ると、2のグレーターウルフをエネルギーウェイブで牽制しつつ、1に集中してエネルギーボールを連し仕留め終えていた。容赦ない……

殘りの2が同時に攻撃を仕掛けてくると、けるダメージを無視して1に標的を絞り當たりをする。もう一匹のグレーターウルフに背中を嚙まれながらも、倒れている個にエネルギーボールを連する。途中でヒーリングを挾んでおりHP管理はしっかりと行なっている。

2目を仕留め終えると攻撃の合間を見計らい、後ろ足で蹴り上げて距離を空け、エネルギーボールの連で決著をつけていた。

終わってしまえば1対3でも圧勝していたしキヌにしかできない戦い方だが、噛みつかれたときはドキッとして助けに向かおうとした。

ただ、この先の事を考え「過保護になりすぎないようにしなければ」と我慢したが、俺の手のひらには爪が食い込み地面にが滴り落ちていた。

『クオーーン！』と大きく勝鬨を上げるキヌをみると、我慢して良かったと思うのだが……

一応手のひらの傷はバレないようにポーションで治療しておいた。

「キヌ、お疲れ。凄い戦い方だったな」

『クゥン』

「さてと、ボス戦だが、し休んでMP回復してから行くか。ん？」

扉に目を移すと寶箱が出現している。はついていないノーマルなタイプのものだ。罠を警戒しキヌにはし離れてもらってから開けてみると、罠はなく中には裝飾品のようなものがっていた。品評眼で鑑定してみると、

≪匿のピアス：鑑定からステータスを匿できる。高位の鑑定は防ぐことができない≫

「おぉ！　これは當たりだ！」

街にるにしてもこのアイテムがあるのとないのでは安心も違う。レートは青となかなかレアな裝飾品だ。

「キヌ、これ俺が使ってもいいか？」

そう聞くと首を縦に振っている。ありがたく使わせてもらおう！

匿のピアスを左耳に著け1時間ほど扉の前で休憩した。

新たな魔は現れず、キヌのMPも8割ほどまで回復したため、気合をれ直しボス部屋への扉を開いた。