《「魔になったので、ダンジョンコア食ってみた!」 ~騙されて、殺されたらゾンビになりましたが、進化しまくって無雙しようと思います~【書籍化&コミカライズ】》第39話 ドレイクの相談事
翌朝、まだ日が昇っていない早朝に俺達4人はプレンヌヴェルトの獣人村を出発することにした。
理由は出発に際して住民が殺到してしまう事を避けるためである。ありがたいことに【黒の霹靂】はレクリアでもプレンヌヴェルトでもかなり人気のあるパーティーとなっていた。
スタンピードやドラゴン騒ぎで有名になったのだが、それだけでなく領主のステッドリウス伯爵からSランクに昇格した事を街の住民に大々的に発表され、人気が発したようだ。
そのため住民がごった返してしまうことを避けるため、早朝に出発することをスパルズやステッドリウス伯爵からもすんなり了承してもらえた。
今見送りに來ているのはその事を知っているバルバルだけである。
「さて、んじゃぁそろそろ出発するか」
「いってらっしゃい! 絶対優勝してきてくださいね!」
「おう! なんかあったら念話で連絡してくれ」
今回の旅は徒歩での移だ。プレンヌヴェルトからは半日程度歩けばミラルダに到著できるため、晝過ぎにはミラルダに到著できるだろう。
ミラルダでは數日かけて武・防やアイテムを見て回り、次の街である王都アルラインまでは1~2回程度の野営を行いつつ大會開始數日前には王都に到著している予定となる。
道中襲ってきた蒼緑平原の魔を片手間に狩りながら旅の予定やしいアイテムなどを話していると、予定通り晝頃にミラルダに到著することができた。
ミラルダは商業都市という事もあり行商人や冒険者、一般人が非常に多く出りする街だ。
街は大きな防壁に囲まれており、街にるためには門での分証明が必要となる。
俺たちの場合は冒険者カードが分証明となるが、Sランクであっても非常事態を除き街にる長い行列に並ばなければならない。
前後に並んでいた行商人と2時間ほど話をしていると、俺たちの順番になった。
「分証を出してください」
「はいよ。これが4人分の冒険者カードだ」
「Sランク冒険者の方々でしたか! どうぞお通りください!」
「おう、ご苦労さん。あ、宿屋ってどのあたりにあるんだ?」
「それでしたら、街の西側に行っていただくと冒険者ギルドの近くに宿屋と酒場が固まったエリアがございます! オススメは『踴る道化亭』ですね! 料理も味しく綺麗な宿屋ですよ」
「お! んじゃぁソコにするよ。ありがとな!」
門を抜けると大通りになっており、中央の噴水広場から東西南北にその道が続いている。噴水広場の周りには屋臺が並んでおり夕方でも活気にあふれていた。
門兵に教えてもらった西區畫へと歩いていくと冒険者ギルドと宿屋が立ち並んでいた。俺たちは教えてもらった『踴る道化亭』へ行き部屋を取ろうとしたのだが……
「申し訳ありません。現在2部屋しか空いておらず……それでもよろしければ是非ご利用していただきたいのですが」
「2部屋か。どうする? 男で部屋割りすればいいと思うが」
「ん。阿吽と一緒が良いけど、我慢する。それにシンクと々お話しできるのも楽しそう」
「兄貴と一緒の部屋っすか! 是非お願いしたいっす!」
「わたくしもキヌ様との一緒の部屋に泊まれるのは、最高の譽れでございます。キヌ様がよろしければ是非」
「よし、なら2部屋で2泊分頼む。食事は今日の夕食のみ付けてくれ」
「はい! ありがとうございます! 食事はミラルダでも評判ですので、ご期待ください!」
そこから男で分かれて部屋に案された。今日は夕食までの時間は自由時間とし、キヌとシンクは裝飾品を見に行くようだ。
俺とドレイクは、部屋で椅子に腰かけ話をしている。
というのもドレイクから相談があると言われたからだ。
「兄貴、実はさっきレベル50にあがったんですが、ステータスが思ったよりびていないんっす。
戦闘方法もこの1か月いろいろ模索してきましたが、何かしっくりこないっていうか……それに俺は竜人族ですので進化はしないんです。
強くなるためにどうすればいいか分からなくて」
「ん? そうなのか? ドレイク以外の3人は元々魔だからな。
進化で大幅に強くなるし何より魔の方が同じレベルでもステータスは高いからな。
人間の中ではドレイクはかなり強い部類にると思うが……」
「そうかもしれません。でも、俺の目標は兄貴なんです。相談に乗ってもらえませんか?」
「それは勿論いいぞ。んー、ってか戦い方かぁ……最近は飛行主で戦ってるんだよな?」
「そうっすね。でも魔法の威力はキヌねぇさんの方が圧倒的に高いですし多彩です。
かといって最前線に出てもシンクねぇさんのヘイト管理の邪魔になっちゃいそうで。
それに兄貴がアタッカーとしても優秀過ぎるので俺の役割が決めきれないんっす」
「あー、そういうことか。パーティーのバランスを考えてくれてたんだな! んじゃぁ、俺が思うドレイクの戦い方で良いなら伝えれるぞ」
「是非お願いします! もう自分では分からないんっす!」
「分かった。
そもそもなんだが、ドレイクはゴリゴリのアタッカータイプだと思ってる。
それこそシンクに遠慮しているかもしれないが、シンクは挑発でヘイトを取れるんだし気にする必要はない。
あと、ドレイクは魔法も使い勝手がいいし耐久も俺より高い。だからパーティーで戦う時、ある程度の被弾覚悟で攻撃ができるから、実は俺よりも継続火力が出せるポテンシャルは持ってるんだ。
強敵と戦うことを想定するならこの継続的な火力はパーティー全を上手く円に回すための必要な要素だ」
ドラゴン狀態のドレイクとの闘い以降に強敵とは出會ってはいないが、ドレイクもそれを想定していたというのは正直嬉しかった。それに近距離でも中距離でも継続してダメージを與えられるドレイクが居ること自がパーティーの安定を上げられるはずだ。
「そ、そうなんっすね。あまりにも俺以外の3人で完されているバランスだったんで、火力不足ってのは全く思っていなかったっす」
「継続火力があるに越したことはないからな。
戦闘を短時間で終わらせられるのは、安全マージン的にもしいところだし、敵が反撃する暇を與えなければ必然的にキヌやシンクの負擔も減る。
そこでだ! ドレイク、この武を使ってみないか?」
そう言うとマジックバッグから『赤鬼の金棒』を取り出す。
今まで用していた武だが、太刀をメインで使っていこうと考えている俺は使う機會が減るだろう。
せっかくの赤武だしドレイクの筋力を考えると近接で戦う時はロングソードで斬るより金棒で思いっきり叩く方が火力も出るだろう。
打撃武という事もあって相手を怯ませる効果や、武の破壊もドレイクとは相が良さそうだ。
「えぇ!? 良いんっすか!? これは兄貴が用していた武じゃ……」
「良いんだよ! 多分俺が使うよりドレイクが使った方が使いこなせそうだしな!
ってか、使いこなして見せろ」
「……了解っす! ありがとうございました! モヤモヤしてたのが晴れたっす!」
そう言ってドレイクは俺から赤鬼の金棒をけ取った。
この瞬間が後に【破壊帝ドレイク】と呼ばれる男の誕生の瞬間であった。
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