《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》48.勇者、家を出ようとして弟に引き止められる
俺がヒストリアを城に屆けた、翌朝のこと。
いつもはスッキリ目覚められるのだが、この日は朝から気が重かった。
「薬って……やり過ぎだろ……」
そのときだった。
「ちょっと兄さん! いつまで寢てるんだよ!」
部屋にってきたのは、弟のガイアスだ。
「朝練の時間だったな。悪い、起こしに來てくれて」
「勘違いするな。あんたのためじゃない。ボクの貴重な時間を、寢坊のせいで削られたくないだけだ!」
ガイアスはそっぽ向いて部屋を出て行く。
俺はきやすい服裝に著替え、弟の後へ続く。
庭にて。
朝靄がかかっている中、俺たちは打ち込み練習をする。
カキンッ! キンッ! ガッ!
「せやぁ!」
弟が間合いにると、死角から鋭い一撃を食らわせてくる。
俺は利き手と逆、さらに片目をつむり、その場から一歩もかないという縛りで打ち合いをしてる。
弟の進歩は目覚ましい。
今の彼の剣は、常人では目で追うことができないくらい、鋭く速い。
攻撃も一辺倒じゃない。
雙剣を使って、攻撃とフェイントを同時に行う。
ガキンッ……!
「もらった!」
ガイアスの剣が俺に薄する。
俺はそれを避けると、カウンターを打ち込む。
ガンッ……!
「くそ! また負けたっ!」
「いや、よく見てみな?」
「! に、兄さんが……半歩だけ、いてる……?」
俺はタオルを創生し、弟のそばまで行って、手渡す。
「やるじゃん」
「へへっ! どうだっ! すごいだろ!」
ガイアスは無邪気な笑みを浮かべた。
「…………」
一方で俺は、昨晩のことが頭をよぎって、突発的に嫌な気分になった。
「どうしたんだよ、兄さん。ボクが勝ったんだから、もっと喜んでよ」
「え、ああ……すまん。昨日のことで、ちょっとな」
「昨日……王から薬を飲まされそうになったってヤツ?」
ガイアスは不愉快そうに顔をしかめる。
「……最低なだよね。助けてくれた兄さんに、酷いことしようとしやがって」
「え、もしかして俺のために怒ってるのか?」
「はぁ!? そ、そんなわけないだろ!」
顔を真っ赤にしてガイアスは聲を荒らげる。
「ボクは、ヒストリアたちの振るまいが許せないだけだ。王族や貴族は、平民達の模範となるべき存在。誰より高潔であるべきなのに」
弟は人の上に立つ存在であることに、誇りを持っているようだった。
「やっぱ、立派だよ。俺なんかより……うん。なぁガイアス」
「な、なに? 急に真面目な顔してさ」
戸う弟に、俺は言う。
「この家、継いでくれよ。俺、家出て行くからさ」
ざぁ……と風が吹く。
しばしの沈黙の後。
「なに……言ってるんだよ……?」
「正直、両親や國王の振る舞いに、嫌気がさしたんだよ」
俺は別にガイアスのように、家を継ぐことにこだわっていない。
それに貴族としてのプライドもなければ、貴族意識というものもない。
「俺が出て行けば、おまえのみ通りこの家の當主になれる。俺は面倒ごとから解放される。いい話だと思わないか?」
俺の話を黙って聞いていたガイアスは、肩をふるわせながらつぶやく。
「……ふざけるなよ!!!」
ガイアスは瞳に怒りの炎を宿し、俺に詰め寄ってくる。
俺のぐらを摑んで言う。
「そんなことされて、ボクが喜ぶと思ってるのかよ!?」
「え、だって家を継ぎたいって言ってたじゃないか」
「ああそうさ! けど! あんたからおけでもらったところで、何も嬉しくない!」
弟は本気で怒っていた。
「自分の力で、兄さんを乗り越えて! 手にれることに価値があるんだ! それを、いらないからもらっとけだと? 馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
ガイアスは俺を突き飛ばし、指を俺に突きつける。
「ボクにはボクの矜持がある! カーライルの家名は、正々堂々と、あんたから実力でもぎ取る!」
だから! と弟がぶ。
「ボクの許可無く家を出るな! ボクがアンタを超えるその日まで、ずっとボクのそばにいろ!」
朝日が差し込み、弟の金髪を照らす。
青い瞳が、涙で濡れていた。
「おまえ……泣いてるのか?」
「なっ!? べ、別に泣いてない! 全く泣いてない!」
慌てる弟が面白くて、俺は笑っていた。
「わかった、家は出て行かないよ」
俺は立ち上がり、弟の頭をなでる。
「おまえが俺を超えてくれるその日まで、ずっとそばにいる。約束だ」
「ふんっ。當然だろ。勝ち逃げなんて、絶対許さないからな」
弟はいつも、真正面から、兄(おれ)と向き合い、乗り越えようとしてくれる。
そんな真っ直ぐすぎる弟のことが、俺はますます好きになったのだった。
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【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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8 67最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。
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