《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》87.勇者、Sランクパーティに認定される

俺たち兄弟で、邪神アクアエレメントを討伐した、數日後。

8月上旬のある日。

ダンジョンのボス部屋にて。

「ゴォオオオオオオオオオオ!」

部屋には巨大な、巖でできた巨人がいた。

こいつは巖巨人(ゴーレム)。

SSランクのボスモンスターだ。

巖巨人(ゴーレム)は大樹を彷彿とさせる太い腕を振り上げる。

「サクラ、防の護符を!」

「任せとき!」

弟ガイアスの指示で、サクラが懐から札を取り出す。

が札を投げると、空中で聖なる結界を張る。

巖巨人の強烈な一撃が、結界とぶつかる。

ガキィイイイイイイイイイイイイン!

「エリーゼ、準備は!?」

「できてるよ、ガイアス君!」

「よし、サクラ、押し返すぞ。それまで耐えろ」

「了解やで!」

そんなふうに、ガイアス、サクラ、エリーゼが、ボスモンスターと戦闘している。

一方、俺と義弟は、その様子を離れた場所で見ていた。

「あにうえー!」

「ん? どうした、ミカ?」

俺は壁際に座っている。

膝の上に、ミカエルがあぐらをかいていた。

「どうしてぼくらはお留守番です? ぼくも戦いたいですー!」

「今回は海底のダンジョンだからな。暴れると水沒して危ないからよ」

「でもでも~! ずるいー! 3人ばっかり楽しそー!」

ガイアスたちはボスモンスターを圧倒している。

流れるような連攜を見ていると、なるほど楽しそうという意見もわからなくはない。

「仲間はずれはいやです! ぼくもやるでーすー!」

「はいはい、大人しくしてような」

俺は義弟の頭をでる。

「大人しくするです~♪ だからもっとでてしいです~」

ミカエルは頭をでられると、子貓のように目を細める。

「あにうえ獨占できるから、これはこれで良いものですっ。がまんしてやるです!」

「おー、偉いぞミカ。あ、そろそろ終わるな」

巖巨人はすでにボロボロの瀕死狀態だった。

「ゴォオオオオオオオオオオ!」

最期のあがきに、ゴーレムが自分の右腕を分解し、エリーゼに出する。

エリーゼは魔法を打つため、神を集中させていた。

以前なら、怖がっていただろう。

けれど今の彼は怯まない。

「悪いけど、ボクの仲間は傷つけさせないよ!」

ガイアスはエリーゼの前に立ち、雙剣を振る。

スパパパパパパパパッ!

神速の連撃により、巖は々になる。

「結界の用意はできてるで! エリーゼ、いつでも撃ってやぁ!」

「うん! いくよ、極大魔法【煉獄業火球(ノヴァ・ストライク)】!」

その瞬間、巖巨人の真上に魔法陣が展開する。

巨大な火の玉が、巖巨人に激突する。

ドガァアアアアアアアアアアアアン!

激しい発。

しかしその周りを、サクラの張った結界が包んでいた。

熱と衝撃波は結界に留まり、ダンジョンを傷つけることはない。

巖巨人はドロドロに溶けると、消滅したのだった。

「ふぅ……お疲れ、ふたりとも」

ガイアスが言うと、エリーゼ達は笑顔で言う。

「あんたもお疲れさん」

「ガイアス君ありがとう! 守ってくれて」

「べ、別に……仲間を守るのは、リーダーとして當然だからね」

ふんっ、とそっぽを向くガイアス。

エリーゼは手をばし、弟の手を握る。

「いつも本當にありがとう。ガイアス君がいるから、わたし、敵の攻撃が怖くなくなったよ」

「あ、あっそ……」

戦闘が終わったので、俺は義弟とともに、ガイアス達のもとへいく。

「いやー、お疲れお疲れ。良かったぞ」

「に、兄さん!」

バッ……! とガイアスはエリーゼの手を払う。

「あの、その……エリーゼとのこの握手には、別に深い意味ないから! 勘違いしないでよね!」

「がいあす何慌ててるです? あ、わかったー! 浮気してるって思われたくないです? 本命はあにうえだもんね!」

「ば、ばかミカ! へ、変なこと言うなよ!」

顔を真っ赤にするガイアスに、ニヤニヤとサクラが笑う。

「ほーんまあんたユリウスはんにゾッコンラブやな~」

「違うから! ほんと、違うからね兄さん! 誤解しないように!」

くすくす、とエリーゼ達が笑う。

以前と違って、パーティメンバーの間には、なごやかな雰囲気が漂っている。

俺はガイアスが、子チームと仲良くしてるのを見れて、兄として満足だった。

「じゃ、帰ろうか、みんな」

「あ、ちょっと待ってな弟よ。すぐ終わるからさ」

俺は部屋の奧においてある、人間大の結晶のところまで行く。

虛空剣で空間を裂き、そこにこの結晶をれる。

「あにうえ、なにしてるですー?」

「【迷宮核】を回収してたんだ」

「めーきゅーかく? なんです?」

仲間達がぞろぞろと、俺に近づいてくる。

「そう言えば兄さん、毎回ボス戦のあと、こまめにこれ回収してたよね」

「ああ。迷宮には心臓があってな。それがこの結晶なんだ。これがある限り迷宮はモンスターを生み続ける。ボスモンスターを倒した冒険者は、これを回収するのが通例とされてるんだ」

「「「へぇー……知らなかった」」」

「なんだ、こんなの常識だぞ?」

「兄さんに言われると……なんだろう、釈然としないよ……」

はぁ、とガイアスがため息をつく。

「まあうちら本業の冒険者やないからな、冒険者の常識っちゅーのがイマイチわからん」

「迷宮核って回収した後、どうするのユリウス君?」

「ギルドが買い取ってくれるんだ。そうだ。結構たまったし、今日は売りに行ってみるか」

「「「さんせー!」」」

俺は虛空剣を使って、空間の壁を切り裂く。

裂け目をくぐると、ダンジョンの外に到著した。

「毎回思うんやけど、転移魔法使えない迷宮で、転移できるのってほんま凄いと思うわ……」

「さすがユリウス君だよね! ほんと、尊敬するなぁ~」

雑談しつつ、俺たちは街の冒険者ギルドまでやってきた。

ギルドは、手前が酒場になっている。

俺たちは冒険者の間をいながら、奧の付カウンターを目指す。

「……おい聞いたか、【すごいパーティのウワサ】」

ふと、冒険者達のウワサ話が耳にった。

「……きいたきいた。短期間で凄まじい數のダンジョンが突破されてるって」

「……ああ、しかも同じパーティがだろ? 信じられるか?」

「……あり得ない。も葉もないウワサだろ?」

そんなふうにしながら、俺たちはカウンターまでやってきた。

付嬢が、俺たちに笑顔を向けてくる。

「これはユリウス様。ギルド會試験以來ですね」

「そうだな。2週間ぶりか? 今日は買い取りをお願いしたい」

「かしこまりました。どちらの品を買い取りで?」

「【迷宮核】を100個」

付嬢の笑顔が、ビシッ……! と凍り付く。

「え、ええっとぉ……今、なんとおっしゃりました?」

「え、迷宮核が100個くらい溜まったから、全部買い取ってしいって言ったんだけど?」

そのときだった。

「おいおい兄ちゃん、噓はいけないぜぇ~?」

「あ、チンピラ冒険者です。よく見るやつです?」

柄の悪い男が、仲間を引き連れて、俺たちのもとへやってくる。

「え、別に噓なんてついてないぞ?」

「ハッ! おまえら冒険者ランクいくつよ?」

「Fだけど?」

「くくく……あーはっは! これはお笑いだ! 最底ランクのてめえらが、いったいどうやって迷宮を100個も突破できるっていうんだよぉ!」

チンピラが部下とともに、ゲラゲラと笑う。

「どうやってって、普通にこのパーティ組んで、1日に5つくらいダンジョンクリアしてたんだけど?」

「はいはい、そんなの夢語り。できるわけねーっつーの。ダンジョン1つクリアするのだって、とても苦労するんだぜ? 1日に5つクリアなんてできるわけねーだろボケが」

「あにうえー。こいつあにうえ以上に世間知らずです?」

俺はもめ事起こさないよう、義弟の口を手でふさぐ。

「まあでも、クリアできてるからな実際」

「ハッ! なら証拠見せろよ。え? 迷宮核100個をよぉ? 見せられなかったら鼻からスパゲッティ食ってもらうぜ?」

「見せられたらどうするんだ?」

「そのときはおれがやってやるよ!」

俺は虛空剣を使って、空間を切り裂く。

ザラザラザラザラザラザラザラ……!

亜空間に収納していた、迷宮核が、いっせいに出てきた。

「ど、ど、どしぇ~~~~~~!? め、迷宮核がこんなにぃ~~~~~~!?」

チンピラが目をむいてぶ。

「これで信じてくれたか?」

「ま、まだだ! どうせこれ偽だろぉ! おい付嬢ぉ! 鑑定しやがれぇ!」

「あにうえ、ぼくスパゲッティ買ってくるです」

ややあって。

「鑑定の結果……すべて、本でした」

「な、なんだってぇえええええええ!?」

愕然とした表で、チンピラが俺たちを見やる。

「そんな……あり得ない。おまえら、たった2週間前くらいにギルドに登録したばかりだろ! ダンジョンを100個クリアなんて前代未聞だぞ!?」

「え、そうなの?」

周りに集まっていた冒険者達が、こくこくとうなずく。

「しかも驚くことに、突破不可能とされていた海底ダンジョンの迷宮核すらありました……」

付嬢が、俺たちに信じられないものを見る目を向ける。

「そんな! あそこはSランクパーティ25組が結集して數十日かけても突破できなかったんだぞ!?」

「え、そうなの? 今朝出発して、晝前にはクリアしたよな?」

こくこく、と仲間達がうなずく。

「すごすぎる……なんだ、なんなんだよ、おまえらぁ!?」

「「「ただの、冒険者パーティだけど?」」」

「噓つけぇえええええええええ!!!」

ぶチンピラ冒険者をよそに、付嬢が俺たちに近づく。

「上と掛け合ってみますが、ユリウス様たちのパーティは、Sランクに認定されると思います」

「え、最高ランクじゃん。2週間でなれるものか?」

「いえ……ギルド創設以來、こんな短期間でSランクになれたパーティは前代未聞です。ですがあなた様がたは、それほどまでに素晴らしい功績を殘したということです」

かくして、なんかよくわからないが、とりあえず俺たちパーティはSランクになったのだった。

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