《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》89.勇者、七大天使も余裕で退ける
俺が九頭(ナインヘッド)バジリスクを倒した、數十秒後。
辺境の街の郊外にて。
「ん? 何か來るな」
「! あにうえ……! 上空に! あ、あれは……!」
珍しく揺する義弟のミカエル。
見上げる先にいたのは、6枚の翼を生やした天使だった。
「やぁミカエル。ひっさしぶりねぇ」
「【ラファエル】……」
白いスーツを著た、十代前半の天使。
ラファエルという名前らしい。
俺はすぐさま、近くに居た冒険者を街へと転移させる。
敵意を、天使からじ取ったからだ。
「なにしに、きたです?」
「んー……頭が高いなぁ。【頭を下げろ】」
その瞬間、ミカエルのが、グシャッ! と地面に押しつけられた。
「くっ! かないです!」
「ぼくより下級の天使なんだからさ、もっとぼくを敬えよクソガキ」
ふわり、とラファエルが地面に降り立つ。
「【言霊】使いか」
「へぇ、知ってるんだ。下等生のくせに。生意気だね」
ラファエルは俺を小馬鹿にするように、鼻で笑う。
「ミカ、大丈夫か?」
「だいじょーぶです。それより! あにうえ逃げて! ラファエルの使う能力【言霊支配(ドミネーター)】は、相手に強制的に言うことを聞かせる危険な能力です!」
「しゃべるんじゃあないよ。ムカつくな。【死ね】」
ガクンッ! とミカエルの意識が途絶える。
熾天使さえも殺す能力か。
……ふざけた能力だ。
俺は義弟に右手を向け、【死者蘇生(レイズデッド)】の魔法を使う。
「カハッ! はぁ……はぁ……あ、あにうえ……」
「大丈夫か? 怖い思いさせてごめんな」
ミカエルの頭を俺はなでる。
……大事な弟に手を上げられ、俺はかなり腹が立っていた。
「死者蘇生を使うんだ。なるほど、パパが殺せって命令するのは致し方ないね」
「要件は何だ?」
「この世界の枠組みを脅かす存在である君、大悪魔ユリウスの排除だよ」
腕を組んでラファエルが言う。
「この世界において神の存在は絶対的な支柱でなければいけない。老いること、死の恐怖、それら不條理に対して、救いをもとめる先が、神以外であっては困るのさ」
「もっとわかりやすく言えよ、わかりにくいな」
「目障りなんだよ、君。だから殺しに來た。ただ殺すだけじゃツマラナイだろ? だからオモチャを使ってなぶり殺しにしようとしたんだけど……失敗しちゃってね」
オモチャ、とはおそらく九頭バジリスクのことだろうか。
「おまえ、天使のくせに、無関係の人間を殺そうとしたのか?」
「別に良いだろ? 人間なんてウジ蟲のようにわんさかいるんだ。しくらい殺して遊んでも許される。だってぼくは最高天使のひとり! 強者は弱者(にんげん)をオモチャにしてもいいのさ!」
俺はため息をつく。
「話にならん。帰れ。今なら無傷で帰してやるよ」
「ははっ。ぼくにそんな口をきいていいのかな? ミカエルから聞いただろ? ぼくの最強の力を」
「その程度で最強を語るな、三下」
ビキッ! とラファエルの額に青筋が浮かぶ。
「……もういい。殺す。ただ殺すだけじゃない。苦しんで死ね」
すっ……とラファエルが俺に指を向ける。
「あ、あにうえ! 逃げて!」
「【全の骨が折れろ】!」
バキバキバキバキバキッ!
骨がいくつも折れる音がした。
ただし……。
「うぎゃぁああああああああああ!」
ラファエルはその場に膝をついて、悲痛なるび聲を上げる。
「痛い痛い痛いぃいいいいいいい!」
「あ、あにうえ……今のは?」
「俺に言霊(のろい)が通じなかっただけだ。常に【呪い返し】の防結界が張ってあるからな」
「ば、馬鹿な!? 最高天使の能力だぞ!? 熾天使(ミカエル)すら言うことを聞かせられるんだぞ!?」
「所詮その程度だってことだろ?」
悶え苦しんでいたラファエルは、治癒魔法を使って立ち上がる。
「い、今のは何かの間違いだ! もっと魔力を込めて……【死ね】」
しぃーん……。
「なぜだぁ!? なぜ死なないぃいいいいいいい!?」
「【死ね】って言われて死ぬやつがどこにいる。子供だってわかるだろ」
「ばかな! 相手にどんなことでも強制する天使の能力なんだぞ!? それに呪い返しの結界を破るほどの、強大な魔力を込めて放ったのに!?」
『くくっ、馬鹿め。言霊支配はあくまでも、魂のレベルが同格もしくは格下にしか通じぬ。文字通り規格外の魂を持つ勇者に、天使程度の言霊は通じぬよ』
の魔王が、実に嬉しそうに言う。
だが俺にしか魔王の聲は聞こえていない。
ラファエルはどうして通じないのかわからない様子で、焦っていた。
「【焼け死ね!】【窒息しろ!】【凍り付いて死ね】!」
俺に命令を出しているが、しかし全く通じない。
天使よりも魂としての格が上である以上、言うことは聞かせられないのだ。
「なんでだ!? 何で効かないんだよぉおおおおおおお!?」
「そろそろ終わりで良いか? 殺す気で來たんだ。……殺される覚悟はできてるな?」
義弟を傷つけられて、俺はかなり頭にきていた。
「お、おおお【落ちろ隕石】! 【吹き上がれ溶巖】!」
言霊を、俺ではなく宙と大地に使う。
空中から無數の隕石が降り注ごうとし、そして地面からは溶巖がふきあがる。
「【消えろ】」
ぱっ……! と一瞬で、それらが消滅する。
「ほぉ、便利だなこの能力」
「そんな馬鹿なぁあああああ!? ぼ、ぼくの……天使の固有能力を、使っただとぉおおおおおおおおお!?」
「こんなお末な能力、一度見ただけで再現(マネ)できるさ」
『そう言えばおぬし、相手の能力を分析することにたけていたな。さすが勇者だ』
ぺたん、と力するラファエルの前に、俺は立つ。
「最高天使の能力が通じず……逆に一度見ただけで覚えてしまうなんて……化けすぎる……」
「よくも俺の弟を殺したな。……殺す程度で、許してもらえると思うなよ?」
俺は殺気を込めてラファエルをにらみつける。
「あば、あばびゃ……びゃ……」
ラファエルは小便をらし、泡を吹いて……絶命した。
「あ、あにうえ……なにをしたです? 【言霊支配(ドミネーター)】を使ったです?」
「え、ただ本気で睨んだだけだぞ?」
『睨むだけで天使をショック死させるとは……見事だ、勇者よ』
「まあ、向こうも殺した程度じゃ、死なないだろうけどな」
そのときだ。
上空から、の柱がびてくる。
それはラファエルを包み込むと、死がゆっくりと上空へと上がっていく。
「な、なんです……これは?」
「パパとやらが、ラファエルを回収しに來たんだろ」
俺は頭上を見上げる。
「見逃してやる。けれど……これは忠告だ」
その先にいるであろう、何者かに俺は言う。
「命を狙うなら、俺だけにしろ。次また無関係な人間を狙う場合は容赦しない。そっちに直接乗り込んで、皆殺しにするのも容易いんだからな。覚えておけ」
何の回答もなかった。
ただ、ラファエルを素早く回収すると、は速やかに消えた。
ま、これだけ脅しておけば、しばらくは大丈夫だろ。
「あにうえ……ぐす……あうにえ~……」
ミカエルは立ち上がると、俺に抱きついてきた。
「ごめんね……ぼく……なにもできなくて……あにうえの……足を引っ張って」
「気にするな。弟を守るのも兄貴の仕事なんだからよ。ほら、帰ろうぜ?」
俺はミカエルの頭をなでる。
義弟は笑みを浮かべると、俺の頬にキスをする。
「はいです! あにうえ……大大だぁいすきですっ!」
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8 145比翼の鳥
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8 71ただの世界最強の村人と雙子の弟子
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8 152量産型ヤンデレが量産されました
朝起きたら妹の様子が超変だった。 不審に思いつつ學校に行ったらクラスメイトの様子が少し変だった。 そのクラスメイトから告白されて頼み事された。 俺は逃げた。 現在1-13話を改稿しようとしてます 文章のノリは14話以降が標準になるのでブクマ登録するかの判斷は14話以降を參考にしていただけるとありがたいです。 現在1-3話を改稿しました
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