《貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】》22 海辺の部屋
2020.4.17 エバをアンジェがエヴァとかお姉ちゃんとか呼んでいたのをエバに統一しました。
“魔法のドアノブって言ったな。何もないところに扉が開いたぞ。どういうことだよ?それも、向こうは海だぜ。違うところにでも繋がったっていうのかよ”
“そのとおりじゃ。以前、頭目が使った時に、珍しい魔道なので、気になって識別呪文で調べたのじゃ。それによると、魔法のドアノブは、10箇所まで移先が登録できるようじゃ。8に合わせてもらったダイヤルがそれじゃな。ただし、頭目によると、登録先のうち、唯一8だけが使えるだけで、それ以外は、開けてもその先は巖や土の壁でしかないそうじゃ”
“その使えねぇ移先は消して、新しいところを登録とかできねぇのかよ”
“使い方はわかるが、登録のやり方はわしには判らんのう”
“で、この8の先は?”
“わしも一度だけしか行った事が無いし、それももう2,3年ほど前の事じゃから今、どうなっておるかはわからん。たしか、どこかの島のようで、四角い2階建ての広い家が建っておった。そのときには、家の中には何も無かったな。しかし、隠れ家のようには使えるじゃろう。何かをそこに貯めこんでおるかも知れん”
“まぁ、そうだな。どこか遠くの島に行ける魔法のドアノブか...。正直微妙だな。高くは売れなさそうだよな?花都ジョンソンとリリーの街が扉一つでつながるとかいうのなら、すごくしがるのが居そうなんだがな”
マートはそんな念話を魔剣とやりとりしながら、靜かに扉を抜け、向こうの部屋にった。その部屋はそこそこ広い部屋だったが、家類はなにも置かれておらず、床はなめらかな石でできており、彼がってきた扉以外に正面には窓と扉、右には跳ね上げ式の大きな扉、左にも普通サイズの扉が1つあり、この部屋は馬屋か倉庫といったものと思われた。
“今は人が居るようだぜ”
“そのようじゃの”
マートは、外に人の気配をじて、正面の扉から屋外に出た。そこには脇にある畑を耕す30代程に見える落ち著いた腰の長い栗の髪のと、その手伝いをするまだ10才にもなっていないと思われるの子の2人だった。彼らの服裝をみると、かなり継ぎはぎなどがされているものの、清潔に保たれているようだった。
「よう、こんちわ」
彼が聲をかけると、2人はぎょっとした様子で、の方は作業の手を止め、慌ててを後ろに庇った。
「ああ、怖がらなくても良いぜ。何も危害を加えようとは思ってない。俺はただの冒険者だ。あんたたちは何者だ?巨大な(ジャイアント)鉄槌(ハンマー)の頭目の家族か何かか?」
のほうは明らかに警戒しているようだったが、マートがそう尋ねると、全力で首を振った。
「違います。私達はあいつに捕まってたの。家族なんかじゃないわ」
「へぇ、そうか、なら良かった。あいつはもう死んだ。捕まってたっていうのなら、あんたはもう自由のだ」
「えっ?ほんと?あの変態、死んだの?やったね。エバ、これで変な事されなくて済むよ」
が大聲でそんな事を言う。は彼の方を振り返ると、膝をついて抱きしめた。
「ああ、よかったわね。アンジェ」
「あれ?エバ、すごい熱」
「大丈夫よ」
彼はそう言ったが、足元はふらついており、目をつむって何かに耐えているようだった。
「なんだかよくわからねぇが、大丈夫じゃなさそうだな。なぁ、お前、アンジェっていうのか?」
マートに言われて、は頷いた。
「アンジェと、このお姉さんは、あっちの家に住んでるのか?」
マートが自分がでてきた家を指さすと、は頷いた。
「そうか、とりあえず運んでやるよ」
マートはとうとう座り込んでしまったを、橫抱きに抱え上げると、アンジェに道案をさせ、今出てきた家のほうに戻って行くのだった。
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「アンジェは、自分がどこで攫われたとか、自分の親父さんとか、お袋さんとか憶えてるのか?」
ベッドに寢かせたを介抱するの橫で、マートは彼に尋ねた。
「ううん、憶えてないの。でも、エバは記憶はあるとか言ってたわ」
「エバというのは、このお姉さんの事か?」
「うん、すごく無理して、私の事をかばってくれてた。その疲れが出たのかも。ねぇ、頭目がどんなふうに死んだのか教えて。そして、お兄さんの事も」
「ああ、いいとも。俺の名前はマート、貓(キャット)って呼ぶ奴も結構居る。あのとき……」
マートは盜賊団に襲撃をけ、反撃で退治した話をに説明した。
「いい気味。これで私たちは自由の……ねぇ、貓(キャット)、自由ってどんなじ?」
「そうか、ずっと捕まってたのか?」
「うん、記憶があるときには、もう捕まってた。いろんな場所に行かされたけど、ここが一番長いかな」
「そうか、自由っていうのは、なんでもできるって事さ。でも、その結果も引きけなくちゃいけないけどな」
「んー、難しいのはわかんない。とりあえず何をしても良いって事ね。もう一つ質問、この家は頭目を倒したから貓(キャット)のもの?」
「一応そういうことになるな」
「ねぇ、エバがけるようになるまで、ここに居て良い?」
「どこにも行けねぇだろ。病気のを追い出すようなことはしねぇよ」
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