《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》262.天空の神の涙
私は、ほろほろと涙をこぼしながら神像を見つめて立ち盡くしていた。
すると。
「……あっ」
流すはずもない、神像のその無機質な瞳から、一粒の涙があふれ出た。そして、それは頬を伝い、伝い落ちていく。
けれど、私の涙と違ったのは、最後だ。
カツン。
そう、質な音を立てて、その涙は床に落ちたのだった。
「……え……」
私は驚いてその涙……いや、涙だった寶石のような無明な石を見つめる。
意識したわけでもないのに、自然と鑑定の目が作していた。
【天空の神の涙】
分類:寶石・材料
品質:超高品質
レア:S
詳細:天空の神が世界を憂えて涙を流すに至ったもの。そのの結晶。彼達の想いすべてをそろえて溶かし、再結晶化することで、至高の寶石が出來る。
気持ち:よく頑張ったね。
……いままでわからなかった使い道がわかった。
鑑定レベルが上がったからなのか。
それとも、すべてがそろったからなのだろうか。
今まで『鑑定レベル不足』と言われ、わからなかった使い道が初めてわかったのだ。
「デイジー?」
涙を袖で拭って、神像の前に歩いて行く私。
そんな私にリィンが心配そうに聲をかける。
「大丈夫よ、リィン。……それより、これの使い方がわかったの」
床に転がっている石を拾いに行く。そして、かがみ込んでそれを指で摘まみとった。
その、指先に石がれた瞬間。
『デイジー』
そんなとき、頭の中に聲が聞こえた。
そう。
耳からではなく、頭の中に直接聲が響いているのだ。
……何事?
『私です』
石を拾うためにかがんでいた顔を上に向けると、くはずもない石像がわずかに微笑んで見えたのだ。
『まずは、世界樹を救い、世界の崩壊を防いでくれてありがとう。私の妹、大地の神の産んだ子、世界樹がこれで枯れずにすみます』
神像は、ただ一方的に私に語ってくる。
『あなたの、世界を救いたいと思う想いに、私は応えました。その結果、あなたは、私達の想いの石をこれですべて集めきりました。あなたが今までに極めた錬金師としての力を、今こそ使って、それを世界を救うための至高のものに作り変えなさい』
神様の言葉はそこで途絶えた。
どうやら、これがグエンリール様がしていたもの。そして、これが最後の一つらしい。
私はそれを握りしめて立ち上がった。
「……管理人さん」
これをもらいけていいものかと尋ねようとする私に、彼が微笑みながら頷いた。
「きっと、神様があなたの涙にお応えになったのでしょう。……お持ちください」
「ありがとうございます」
私は軽く頭を下げた。
グエンリール様がしていた素材が、これですべて揃った。
そして、彼が作りたがっていたものを私が作れる。
不思議と、そんな確信がを占めていた。
神様の言葉があったからかもしれない。
……私は錬金師。
価値のないものから、価値のあるものを。
効力を出せないものから、効力を引き出すことが出來る。
私はやってみせる。
神様が言ったのだ。
『世界を救うための至高のもの』に作り変えられると。
その手の中に握った石を、ぎゅっとに押しつけたのだった。
そして、「早く帰ってこれを錬したい」という私の言葉を、みんなは汲んでくれた。その結果、そのまま急いでウーウェンの背に乗って王都に帰ることにしたのだ。
ウーウェンが人型を解いて、赤竜の姿に戻る。
私やリィン、アリエルはマルクの手を借りて、ウーウェンの背に乗る。そのマルクとレティアは軽々と飛び乗ってきた。
リーフ、レオン、ティリオンも軽やかに跳躍してウーウェンの背に乗り込んだ。
「管理人さん。お世話になりました。挨拶もそこそこで済みません……」
「いいえ、あなたにはなすべきことがおありなのでしょう? そのために、早くおゆきなさい」
私の謝罪の言葉を、管理人さんは穏やかな微笑みと共に首を橫に振って「大丈夫」と伝えてくれた。
「……ありがとうございます。私にはできるかどうかわかりません。確信はありません。……でも、誠心誠意、一杯の努力をしてみせるとお約束します」
「信じておりますよ、し子様」
「はい」
そうして、天空の人々に別れを告げて、私達は王都へと戻ったのだった。
テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記
2021.05.17より、しばらく月・水・金の週三回更新となります。ごめんなさい。 基本一人プレイ用のVR型RPGを始めることになった女の子のお話です。 相変わらずストーリー重視ではありますが、よりゲームらしい部分も表現できればと考えております。 他作品に出演しているキャラと同じ名前のキャラクターが登場しますが、作品自體は獨立していますのでお気軽にお楽しみください。 モチベーションアップのためにも感想や評価などを頂けると嬉しいです。
8 185ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~美人ヴァイオリニストの橫顔、その陰翳が隠す衝撃の真実
ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生シリーズ6作目です。 兄は……本當は俺のことをどう思っているのだろう? たとえ半分しか血がつながっていなくても、ずっと優しくしてくれた。 その意図に裏なんてないと、ずっと信じてきた。 でも、今はもう真実がわからなくなってきた……。 優しかったはずの異母兄が、本當は自分を疎んじていたことを知った藤江周は、ある日、義姉の口から自分の出生の秘密を知らされることになる。 なんとしてでも義姉を兄と離婚させ、本當に好きな男と結ばれるようにしてやりたい。 そう考えたが、現実は思うようにならない。 そんな折、義姉の実家が経営する溫泉旅館『御柳亭』が廃業の危機に追い込まれていることを知る。なんとか経営を立て直すことができないだろうかと、周が和泉に相談したところ、知り合いの會計士を紹介してくれる。 その會計士は旅館従業員の中に橫領犯がおり、その不正が経営を圧迫していることを突き止めるが、真相に迫るにつれ、命を狙われるようになる。 一方そのころ、宮島の紅葉谷公園で白人男性の他殺體が発見される。被害者は結婚詐欺師として捜査2課がずっと追っていた人物だった。 警察は詐欺被害者の內の誰かが犯人だと考え、捜査本部を設置するが、判明している詐欺被害者達には全員、アリバイがあった。
8 131沒落令嬢、貧乏騎士のメイドになります
アニエス・レーヴェルジュは美しく、気位の高い伯爵令嬢である。 社交界の麗しの薔薇と呼ばれた彼女は、高嶺の花であった。 一方で、騎士である貧乏貴族のベルナールは、夜會の晩に生まれや育ちを嘲笑うような蔑んだ目でアニエスに見られたことを根に持っていた。 ――最悪の出會いから五年後、アニエスの家は突然沒落する。父親の不祥事が原因だった。 周囲の人々は冷ややかで、何もかも失ったアニエスに手を差し伸べたのは、ベルナールだけだった。 彼は使用人として働くならば、衣食住を保証すると言った。 提案を受け入れるアニエスを見ながら、ベルナールは一人、ほくそ笑む。 「――ざまあみろ、お嬢様、うちでこき使ってやる!!」 しかしながら、一緒に暮らし始めて、アニエスの本當の姿が判明する。彼女はベルナールが思っていたような娘ではなかったのだ。 仕返しのつもりで家に招いたのに、予想の斜め上の展開となる。そんな元令嬢と不器用な騎士の、ほのぼの戀愛物語 表紙畫像:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
8 188學園の男子が、俺以外全員男の娘だった件!
とある有名學園に入學した どこにでもいそうな平凡な男子學生 青鷺 一樹(あおさぎ いつき)。 彼は入學式の最中とんでもない事実を知らされる。 男の娘だらけの學園で始まる、青鷺 一樹のドタバタ青春ラブコメ! 彼は無事に學校を卒業することができるのか?
8 135俺だけステータスが、おかしすぎる件
この小説の主人公、瀬斗高校2年 迅水 透琉(はやみ とおる)は、クラスで、いじめを受けていただが突如現れた魔法陣によって異世界 アベルに転移してしまった。透琉のステータスは、 あれ?俺〇越えるんね!? 透琉は、アベルで自由気ままに生きて行く? ことは、出來るのか!? ん? 初投稿です。良かったら見てください! 感想やご指摘も、お待ちしてます! あ、言い忘れてましたね。 俺は飽き性です。時々やらなくなっちゃう時があります。 ストーリーも自分のしたいようにやります。 皆さんの期待を95%裏切ります。 萎える人もいるでしょう。 今までの方が良かったと思う人もいるでしょう。 なので気の長さに自信がある人なら作品を最後まで見れる...かな?
8 89あなたの未來を許さない
『文字通り能力【何も無し】。想いと覚悟だけを武器に、彼女は異能力者に挑む』 運動も勉強も、人間関係も、ダメ。根暗な女子高生、御堂小夜子。彼女はある晩、27世紀の未來人から大學授業の教材として【対戦者】に選ばれる。殺し合いのために特殊な力が與えられるはずであったが、小夜子に與えられた能力は、無効化でも消去能力でもなく本當に【何も無し】。 能力者相手に抗う術など無く、一日でも長く生き延びるためだけに足掻く小夜子。だがある夜を境に、彼女は対戦者と戦う決意をするのであった。 ただ一人を除いた、自らを含む全ての対戦者を殺すために。 跳躍、打撃、裝甲、加速、召喚、分解、光刃といった特殊能力を與えられた対戦者達に対し、何の力も持たない小夜子が、持てる知恵と覚悟を振り絞り死闘を繰り広げる。 彼女の想いと狂気の行き著く先には、一體何が待っているのだろうか。 ※小説家になろう、の方で挿絵(illust:jimao様)計畫が順次進行中です。宜しければそちらも御覧下さい。 https://ncode.syosetu.com/n0100dm/
8 183