《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》263.悩めるデイジー
◆
こうして私達は王都に帰ってきた。
今までは大変だった道のりも、ウーウェンがいるからどこでもひとっ飛びだ。ずいぶん楽になったものである。
……しかも、今回の行き先って天空の島だしね。
今私は、天空の神様が「すべて集めた」と言っていた石を、実験室の機の上に並べている。
世界樹の涙。
氷の王の涙。
火炎王の涙。
大地の神の涙。
天空の神の涙。
この五つだ。
……これをどうしたら上手く奇跡の石が出來るのかしら?
全部一緒に錬金釜にいれて溶かして圧力をかける?
それはなんだか安直な気がしたのだ。
だって、「氷の王」は水、「火炎王」は火、「大地の神」は土、「天空の神」は風。
その四大元素というものを司る屬に當てはまる気がする。
けれど、「世界樹の涙」だけが、どうも異質なようにじるのだ。
「うーん」
私は思わず口に出して唸っていた。
そこに通りがかったマーカスが、ひょい、と機の上に並べた石をのぞき込む。
「これはまた、私では鑑定レベル不足ばかりの品をそろえましたね。で、何をお悩みですか?」
「これは混ぜ合わせて石……多分寶石の類いかな。そういうものになるみたいなのよね」
「なるほど?」
「でも、この四つはいわゆる四大元素に當てはまるようなもの。だけど、これは世界樹。なにか、他の四つとは異質な気がして、『いっせーの!』で混ぜるのは、なんだか違う気がして」
「なるほど。そういうことでしたか……」
そうして、私とマーカスは互いに逡巡するようにしばらく黙り込む。
そして、しばらくしてマーカスが口を開いた。
「神話を一読してみてはどうでしょう?」
「え?」
錬金の悩みだというのに、一見唐突に思える提案に私は首を捻る。
「世界を構する四つの元素と、世界を支えるという世界樹。デイジー様なら、その関係から何かインスピレーションを得ることができるかもしれません」
「なるほどね……」
私は、マーカスのアドバイスに従って、二階へ上がることにした。なぜならそこのリビングにはみんなが読めるように本棚が置いてある。そこに、神話といった類いの本もあるからだ。
「神話、神話……創世神話とか、世界のり立ちとか……」
私は本の背表紙を指でなぞりながら、目當ての本を探す。
「あ、あった!」
數冊のそれらしき本を見つけて、私はそれらを取り出して腕に抱き、テーブルの椅子に腰を下ろした。
◆
この世界には、はじめ天界の神と大地の神が生まれた。
そして火の神が産まれ、やんちゃな火の神を諫めるために水の神が産まれる。
神が作りたもうた世界は球である。
世界には三本の世界樹があり、その球の世界を支えている。
天には、神々の住まう天界。
地下には、死後の魂の眠る冥界。
その間に、平らな大地が広がっている。
天には、晝は太が輝き、夜になれば、月や星々がきらめく。
それに見守られるようにして、人や、エルフや、魔族といった神が自分達に似せて作った種族と、達が住んでいるのだ。
世界樹は、いにしえの神により生み出された。
そして、その枝で天界を支え、その枝で天を支え、で大地と冥界を支える。
世界樹は世界の基盤なのである。
◆
「天も地も、世界樹が支えている……。そして大地には火も水もあるわ」
しばらく本を読んでいて、気になる部分を見つけた私は、それを自分の言葉に直して復唱した。
「支える。基盤……」
なんだろう。なにかが気になった。
これを錬金に當てはめたら。
なにか、なにかがわかりそうな気がしたのだ。
「……そうだわ!」
私はそうんで、ガタン! と立ち上がった。
「基(・)盤(・)」とは「溶(・)(・)」に似ているのだ。
その溶に含まれるすべてのものを包括する存在。それが溶。
溶とは、ポーションを作るときの水とか、生命の水のことね。
……ならば、合點がいく。
世(・)界(・)樹(・)の涙が、他の涙を溶として包み込めばいい。
一は全。
全は一。
すべては第一質料からなり、そして、世界に存在するありとあらゆるものとなる。
そして世界は世界樹が支えている。
ならば、すべてを支える世界樹の涙が、他の涙を包み込めば良い。
だって、世界はそうあるのだもの。
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