《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》264.祈りの石
私は寶石作りのための小型の錬金釜を持ちだしてきた。
……さぁて。最初は世界樹の涙さんね。
コトリ、と釜の中に世界樹の涙を落とす。
まぶたを閉じて、手をかざす。
そして、魔力を注いで溶けるよう、世界樹の涙に対して念じる。
まぶたを開くと、とろり、とした無明な狀に溶けていた。
……さあ、次に混ぜるのは?
この世界に最初に生まれたのは天界の神と大地の神。
でも、雙子とはいってもほんのしの差で天界の神のほうが先に生まれた。
ならば。
私は、天界の神の涙を溶けた世界樹の涙がっている錬金釜の中に落とし込む。
ぽとりとおちたそれは、空の円を幾重にも描いて溶け込んでいく。
次に、私は大地の神の涙を落とす。
今度は土の円を描いて石が溶けていった。
……次は、火、そして、水ね。
私は火炎王の涙を錬金釜の中に落とす。
すると、鮮やかな赤い円を描いて石は溶けていった。
最後に、氷の王の涙。
それは水の円を描いて溶けて消える。
私は撹拌棒を使ってすべてを混ぜたを均等になるように混ぜる。
……でも、これは、まだすべてが混ざっただけのもの。
それじゃ、ダメよね。
錬金は、無から有を生むもの。
ならば、このの中に潛んでいる有益な能力、可能を引き出すことこそが、錬金。
さあ、私はいにしえの神々がんだ本當の想いを引き出すのよ。
きっとそれが、この石達に託された、神々の想いのはずだから。
私は、撹拌棒を取り出し、作業臺の上に置く。そして再び、まぶたを閉じて錬金釜の上に手をかざす。
……私は、世界が平和であってしい。誰もが笑顔でいられるような、そんな世界に。
神様の想いはどうだったのだろう?
戦を嘆いて去って行ったいにしえの神々の想いも、私の願いと同じだったのではないだろうか?
そうであってしい、そう思いながら、私は魔力を注ぎながら念じていく。
まずは、冷やし固め、石狀に。
そして、さらに魔力と想いを注いで、寶石に変えていく……!
……お願い! 世界を救う力をください……!
魔力と思いの丈を思いっきり注ぎ込み、私はそ(・)れ(・)を寶石に変していった。
そうして私の魔力も盡きたあと。
そうっと私はまぶたを開く。
すると、錬金釜の中には無明なのに、をけて虹に輝くしい一粒の寶石が転がっていたのだった。
「でき、た……?」
その、たとえを思いつかないほどしい寶石を見つめながら、私は呟いた。
あまりにしくて、しばらく私は呆けたように見つめ続ける。
「あ、そうだ、鑑定をしなきゃ……」
ようやく思いついて、鑑定の目で、その寶石を見つめてみた。
【祈りの石】
分類:寶石
品質:最高級品質
レア:SSS
詳細:いにしえの神々と奇跡のの、平和への思いが込められた至高の寶石。あらゆる狀態異常を解除し、人の心の中にある善を引き出す力を持つ。
気持ち:みんなを笑顔にしてあげて!
「出來たわ!」
私は、アトリエ中に響き渡るほどの聲でんだ。
すると、何事かとアトリエのみんなが私の元へとやってきた。
「これはまた、しい寶石ですね」
マーカスにはまだ鑑定レベルが不足しているのか、その容まではわからないようだけれど、その見た目のしさを褒め稱える。
「わああ」
ルックは、目を輝かせて寶石に見っている。
「でも、寶石のままでは持ち運びに困りますね」
ミィナが首を傾げていた。
「落っことしたらなくしちゃうよ」
そう言うのはウーウェン。
全く。彼の恩人のグエンリール様が作りたがっていたものが、多分これなのに、それには気がついていないみたい。
「いつものように、リィンさんに指かネックレスにでも加工してもらったらどうですか?」
そう提案してくれるのはアリエルだ。
「そうね。なんだかんだと裝備品で指が増えちゃったから、これはネックレスかブローチにしてもらおうかしら……」
私はアリエルの提案をけれることにして、リィンの工房に出かけることにしたのだった。
◆
「またこれは、とんでもなさそうなものを持ってきたなぁ……」
鑑定は持っていないリィンといえども、持ち込まれたその石を見た瞬間、目を瞬かせ、呆けたような顔を一瞬してから、呆れたように私に告げる。
「まあ、確かに非常に貴重な品よ。……例の、あの石で作ったんだもの」
「作れたのか!」
テーブルに両手で手をついたせいで、ガタン、と音を立ててを乗り出してぶリィン。
「……うん。世界を救いたいと……願ったら……出來ちゃったの」
「そっか……」
すると、リィンの片手が私の方へとびてきて、くしゃりとらかくでられた。
「デイジー。本當にお前はいい子だな。……心の底から気のいい、そして、優しいいいやつだ」
そうしてくしゃくしゃとしながら、目を細めて私に微笑みかけたのだった。
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