《【書籍化】Fランク冒険者のり上がり、俺だけができる『ステータス作』で最強へと至る【コミカライズ】》ダンジョン四層
「おはようございます」
サロメさんと呑んだ翌日、俺は朝から冒険者ギルドを訪れていた。
「あっ、おはようございますティムさん。今日からよろしくお願いしますね」
サロメさんが笑顔で挨拶を返してくる。とても昨晩は二桁にも及ぶ數のエールを吞んでいたとは思えない。
「こちら、酔い覚ましの薬になります」
「ありがとうございます」
俺の調を察してか水がったコップと薬を渡してきた。
苦い薬だが、水で流し込むと自然と胃の痛みが和らいだ。
「さて、ティムさんは今日からダンジョンの四層に挑まれるのですよね?」
「ええ、そのつもりですよ」
昨晩のうちに予定について話してあったので確認をしてきた。
「こちらが四層の地図と出現するモンスターの種類と特徴。そして有効な対策をまとめたものです」
「えっ……? そんなものまで?」
渡された地図は完璧で五層までのルートも書かれている。これならすぐにでも五層へ降りることができるだろう。
「出現するモンスターはゴブリンやコボルトの新種ですね、対策に関してはパーティーが前提になるのであまり參考にはならないかもしれませんが、裝備からすればティムさんなら何とでもなるかと思います」
四層に湧くモンスターは戦士コボルトや戦士ゴブリンに加えてコボルトアーチャーやゴブリンメイジなどが加わる。
解説にはパーティー単位で行をしているので、それぞれが得意な武でスイッチして戦うのが有利だと組み合わせが書かれている。
「確かに、參考にはならないかもしれませんね」
一人で行している以上この戦法をとることはできない。
俺はサロメさんが用意してくれたポーションなどの消耗品がったリュックをけ取る。
「それでは、ティムさんの無事をお祈りしていますね」
彼は満面の笑みを浮かべ、俺をダンジョンへと送り出してくれた。
「それにしても、本當に凄いサポートだな……」
ダンジョンにった俺はしみじみと呟いた。
サロメさんが用意してくれた地図は一層から五層分まであったので、現在は一層を歩き回っている。
「ここから先が突き當り……と。正確なようだな」
地図は過去に攻略した冒険者が殘したらしく、淺い層のなら販売されているのだが高額だ。
駆け出しではそのお金が勿ないのであまり買う人間はいないのだが、俺はサロメさんのお蔭でギルドが所有している地図を貸してもらえた。
そんなわけで、正確な地図なのか判斷するためにこうして歩いていたのだが…………。
「割と混んでるな?」
目を向けてみればダンジョンにりたての冒険者パーティーがチラホラ見える。
『おい、さっさとヒーリングしろよっ!』
『は、はいっ! 直ぐに……』
『ったく、とろい上に回復量もないし……使えない』
『ご、ごめんなさいっ!』
ダンジョンに慣れてないのか、そこかしこで怒鳴り聲も聞こえてくる。
「まあ、めている間はまだ余裕があるってことだ」
俺がパーティーから外された時はギルドを通じてパーティー解散の宣言をされたのを思い出す。
俺は心の中で「頑張れ」と祈ると四層を目指した。
「まずはどのくらい厄介なのか験してみないとな」
ここ四層に降りてくるまでの間に俺は新しい裝備の質を試しておいた。
ミスリルの鎧のお蔭で軽にくことができたので、これまで以上の速さで戦士ゴブリンに接近できた。そして魔法が込められたショートソードの切れ味が素晴らしく、戦士コボルトを一閃。を真っ二つにすることができた。
やはりサロメさんの提案通りギルドに借金をしてでも裝備を揃えて良かった。
今までよりも安全にモンスターを倒すことができる。
「次の突き當りは左……その先二つ目のわかれを右だな?」
地図を片手に進行していると、先の方にモンスターの影が映った。
早速のお出ましか……。俺は地図をしまうとショートソードを抜いた。
戦士ゴブリンと戦士コボルト、それにコボルトアーチャーとゴブリンメイジ。
事前にサロメさんからレクチャーをけていた構なので慌てる必要はない。
ゴブリンメイジが杖を掲げると何やら奴らのが輝いた。
「もしかして支援魔法?」
向こうも俺に気付いたのか、戦闘態勢を取った。
戦士コボルトと戦士ゴブリンが剣を抜き、コボルトアーチャーが矢を番える。
襲ってくる様子がないことからゴブリンメイジの魔法が掛るのを待っているようだ。
「させるかっ! アイスアロー!」
6本の氷の矢が突き進む。前の時と違い、魔力のステータスも上がっているしスキル取得により本數も増えている。
三層までならこれで確殺できていたので俺は深手を負わせられると考えていた。
「ゴブッ!」
「ガルッ!」
ところが、6本の氷の矢は3本ずつ戦士コボルトと戦士ゴブリンに突き刺さると止まってしまった。
「なっ!」
せめて1匹くらいは倒せると読んでいたので足が止まる。
「ガルッ!」
その隙をついてコボルトアーチャーが矢を放った。
「うわっ!」
遠距離から攻撃をされるのはこれが初めてということもあり対処が遅れた。
矢は俺の鎧に當たり地面へと落ちた。
「買っといて良かった……」
衝撃からして、割と威力があるようだ。前のレザーアーマーだったらそれなりの傷を負わされていたに違いない。
「厄介な相手だが、魔法をもう一発撃って前衛を倒してしまえばいい」
接近してしまえばコボルトアーチャーに打つ手はない。俺がそう考えていると……。
「ゴブヒール!」
前衛の2匹が氷の矢を引き抜くと同時にゴブリンメイジが魔法を使った。
順番に2匹の傷が塞がっていく。
「くそっ! 思っているより連攜が取れている」
回復魔法を使えることも書いてあったが、想定していたより魔法の度が高いようで、こうして見ている間にどんどん傷が塞がっていく。
「ファイアアロー!」
黙っていては完全に回復されてしまう。今度は後衛の2匹を狙って火の矢を6本放った。
「ゴブッ!」
「ガルッ!」
「ま、またっ!?」
戦士ゴブリンと戦士コボルトが線を遮ってファイアアローをけ止める。
「まだ倒せないのか……」
治癒魔法で回復されたこともあるのだろうが、三層よりもきが素早く防力も高いようだ。
「あの支援魔法のせいか……?」
パーティーでサポートし合うこのきがとても厄介だ。
「コボボボボボボ!」
俺の魔法を見てとってかコボルトアーチャーが矢を連続で放ってきた。
「くそっ、こっちが魔法を使う暇を與えないつもりか?」
そうこうしている間にゴブリンメイジが再び治癒魔法を使ってしまい振り出しに戻った。
「キリがないっ!」
せっかくの武も接近できなければ意味がない。
「こうなったら一時撤退だ」
俺は本的な対策を練り直すため引くことにした。
乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 【書籍化&コミカライズ】
【TOブックス様より第4巻発売中】【コミカライズ2巻9月発売】 【本編全260話――完結しました】【番外編連載】 ――これは乙女ゲームというシナリオを歪ませる物語です―― 孤児の少女アーリシアは、自分の身體を奪って“ヒロイン”に成り代わろうとする女に襲われ、その時に得た斷片的な知識から、この世界が『剣と魔法の世界』の『乙女ゲーム』の舞臺であることを知る。 得られた知識で真実を知った幼いアーリシアは、乙女ゲームを『くだらない』と切り捨て、“ヒロイン”の運命から逃れるために孤児院を逃げ出した。 自分の命を狙う悪役令嬢。現れる偽のヒロイン。アーリシアは生き抜くために得られた斷片的な知識を基に自己を鍛え上げ、盜賊ギルドや暗殺者ギルドからも恐れられる『最強の暗殺者』へと成長していく。 ※Q:チートはありますか? ※A:主人公にチートはありません。ある意味知識チートとも言えますが、一般的な戦闘能力を駆使して戦います。戦闘に手段は問いません。 ※Q:戀愛要素はありますか? ※A:多少の戀愛要素はございます。攻略対象と関わることもありますが、相手は彼らとは限りません。 ※Q:サバイバルでほのぼの要素はありますか? ※A:人跡未踏の地を開拓して生活向上のようなものではなく、生き殘りの意味でのサバイバルです。かなり殺伐としています。 ※注:主人公の倫理観はかなり薄めです。
8 1253分小説
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