《【書籍化】オタク同僚と偽裝結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!》好きで、好きで、好きで。
「もっと前半に出てくるかと思ったら、真ん中くらいだったな」
俺は思い出しながら刺を食べた。
「予想よりは良い扱いしてもらえて良かったよ」
片蔵も満足そうにビールを口に運んだ。
今、俺とオタ友の片蔵は福岡に來ている。
無事にファッションショーを見終えて、幸せな酒を飲んでいた。
福岡の刺はどれもこれも旨すぎる。
やはり海の近くは素晴らしい。
「が多かったな……両隣のイベントは気を使って疲れる」
俺は軽く肩を回してストレッチした。
秋葉原のライブ會場にいるのは9割男なので、に囲まれるのは慣れないし、やはり自分が異のような気がして辛い。
「滝本結婚したんじゃねーの? に慣れないって事はないだろ」
片蔵は天ぷらを大おろしにれながら言った。
実は住所が変わることもあり、結婚したことは報告していたが、細かいことは話してなかった。
「いや……実は俺の結婚はし特殊でさ」
片蔵は仕事も関係ないし、デザロズの運営と渡り合う頭の回転の速さと、何百人のファンを管理する力を俺は買っていた。
だからお酒の力も借りて、俺は今までの事を片蔵に話すことにした。
実は最近、相沢さんのことが好きすぎて辛いのだ。
「え? で結局何? 滝本は相沢さんのことがずっと好きだったけど、相沢さんは滝本のこと、好きじゃないの?」
片蔵は獨だ。
よくいる限界オタクのような風貌ではなく、服裝も小綺麗だし、顔も普通なので、バイト先のの子にはモテているようだ。
でも今はデザロズに夢中で、人と付き合う上で一番必要な時間がないようだが。
片蔵は俺が相思相で幸せな職場結婚をしたと思っていたので、なんだか面白くなってきたようで、ニヤニヤしていた。
「いや、嫌われては無いと思うんだけど」
「そりゃ嫌いな人間と同棲は出來ないだろ~。普通の夫婦になりたくないの?」
俺は片蔵が言った『普通』という言葉が、あまり好きではない。
『普通』なんて、人が100人いたら、100通りあると思うが、ここはあえて言わない。
俺だって『普通の夫婦』を思い描くことができる。
「それも憧れるけど……今がすごく幸せなんだよなあ……」
「なんだよ、結局惚気かよ! だったら問題ないじゃねーか!!」
片蔵はきたばかりの唐揚げをむしゃりと食べてんだ。
俺も唐揚げをひとつ口にれてビールを飲んでドンとジョッキを置いた。
「聞いてくれよ。金曜日に夜一緒に牛丼うどん食べたんだよ。俺が作ったんだけど。そしたら『滝本さん結婚してください』って……もうしてるのに、可すぎる……」
俺は頭を抱えて機に倒れこんだ。
あの夜の事を、俺は何度も思い出していた。
俺が使っているのは小さなちゃぶ臺なんだけど、いつも俺が座っている所に相沢さんが座ってただけで嬉しかった。
俺の座布団の上に正座して、しっかりと手を合わせた。
長い指先と閉じられた瞼。
そしてしメガネを曇らせて、頬を蒸気させてうどんを食べながら
『結婚してください』って信じられないほど嬉しかったんだ。
舞い上がりすぎて、完全に挙不審、にうどんがり込んで正直吐く寸前だった。
俺が、はあ……と余韻に浸っていると、目の前にドンと片蔵がビールを置いた。
「なあ、滝本。ひとつ言っていいか。それ飯が旨かったんじゃね?」
「それは、大いに、ある。相沢さんは、大いにある」
さすが片蔵、たぶん正解だ。
相沢さんは味しいがとても好きだと思う。
來る前にカレーを鍋ごと渡したら、それを赤ちゃんのように大切そうに抱え、目をキラキラさせてお見送りしてくれた。
數か月見てきて思うのは、相沢さんは食が適當すぎるのだ。
先日も顔が悪かったので、大丈夫かと尋ねたら「そういえば今日は飴しか食べてないですね。お腹が空いてるんです」と言って、何か食べるのだろう……と思っていたら、おもむろに布団のシーツを替えだして、疲れて途中で眠くなったらしく、生の布団の真ん中で眠ってしまった。
なんだかよく分からない……。
會社ではものすごくしっかりしているのに、家だと気まぐれながすごい。
いや、そんな相沢さんは俺しか知らなくて、本當に好きなんだけど。
「延々と旨いものを提供すればいいのか……?」
「飯炊きおじさんのポジションで良いなら、良いんじゃね?」
「笑顔が見られるなら、それでもいいけどなあ」
片蔵は「なんだよそれ」と苦笑した。
そもそも俺は相沢さんとどうなりたいのだろう。
今まで相沢さんのことをこんな風に相談したことが無くて、口にしてなかった。
でも口にして考えてみると分かってくる。
飯炊きおじさんでも良いのだ、近くにいることを許されるなら。
「俺はさあ、たぶん、好きになってもらえるような男じゃないと自分のことを思ってるんだ」
「おいおい、クソみたいに弱気な話やめてくれるか? ビールが不味くなる」
「世界にはもっとお金を稼いで、仕事が出來て、ドルオタじゃない男が沢山いると思うんだよな」
「やめろ……やめろおおお……!!」
「でもさ、相沢さんは俺と結婚してくれただろ」
「……結局ノロけるの、もっと止めろ」
「俺はこのままずっと一緒にいたいんだ。俺が相沢さんのことを好きなまま、一緒にいることを許してほしい」
「滝本おお……お前……今どきどこの漫畫でもそんな純粋な話ないだろ?! 飲もう!!」
片蔵は無駄に興してビールのお代わりを注文した。
でもきっと純粋とか、そんな綺麗な気持ちじゃなくて。
好きだということがバレたら、今の関係が崩れてしまう気がして怖い、ただの臆病者だ。
自分を好きな男が二階に住んでいて、橫でコテンと眠ってしまったら襲われてしまうのでは……と警戒するのが普通の人間だろう。
だって相沢さんが俺と結婚した理由は『オタク仲間だから都合が良いから』なのだ。
あまりに気持ちが盛り上がったら、相沢さんにれてしまうかもしれない。
れたら最後……
「恐ろしく嫌われそうで怖い……」
「クソみたいに々しいな」
仕方ない。
俺は信頼より恐怖が上回るほど、相沢さんが好きなんだ。
大いに飲んで話して俺たちは解散した。
そしてホテルで一泊して、朝いちばんの飛行機で東京に戻った。
始業時間には余裕で間に合った。やはり飛行機だと福岡は近い。
昨日夜行バスにのった片蔵はまだ名古屋にいて『腰が痛い。ここから新幹線にしたい』と泣いていた。気持ちはよく分かる。
出社すると、この日はちょうど月に一度の定例報告の日だった。今月は當番ではないので、一番後ろの席に座った。
相変わらず社長の話は眠くて暗い。
丁度いい……朝から疲れたので隠れてこっそり眠ろう……と腕を組んだら、元でスマホが揺れた。
Lineの相手は相沢さんだった。
『おかえりなさい。カレー味しかったです』
チラリと顔を上げると、デザイン課の一番奧に相沢さんが見えた。そして目元だけで微笑んでくれた。
『良かったです』
と俺はシンプルに返した。
飯炊きおじさんで良いのか?! という片蔵の言葉が耳元に殘っていた。
すぐに既読になって、次のメッセージがきた。
『久しぶりに二日間ひとりで、家が広くじました。原稿も終わったので、今日は家で飲みませんか?』
俺は文面をみてスマホを握りしめた。
好かれる自信なんてない。
でも、俺がいなくて『家が広くじる』と言ってくれる人と一緒にいられるなら、もう何でもいいや。
俺は
『そういえば、味しいローストビーフをデパ地下で見つけました』
と打った。
暗闇の向こう、相沢さんの顔がピョコンと上がって、笑顔になった。
さあ、仕事を定時で終わらせて家に帰ろう。
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8 113Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
全校集會で體育館に集まっていた人間達が全員異世界に召喚された!? おいおい冗談はよしてくれよ、俺はまだ、未消化のアニメや未受け取りのグッズを元の世界に殘してきてるんだ! え、魔王を全て倒したら元の世界に返してやる? いいよ、とっととやってやるよ! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 學校関係者全員が勇者召喚されたとある高校。 〜元の世界に殘してきた、あなたの大切な物の數だけ、代わりにチートスキルを付與します〜 神のその言葉通りに全員が、それぞれ本當に大切な所持品の數だけチート能力をもらうことになる。 全員がだいたい平均2〜4くらいしか付與出來なかったのだが、重度のコレクション癖のある速水映士だけは1000ものスキルを付與できることになっていて!? しかも最初に極運を引いたことで、後に付與されたスキルが超再生、超成長、更には全屬性特攻etc,etc……というあからさまに強そうな能力たち! 元の世界ではただのヲタクソ野郎である彼がこの世界では英雄! しかし、彼は英雄の座には興味を一切示さず!? 「魔王なんてサクッと全員倒してやる。俺には、さっさと地球に戻って未消化のアニメを消化するっていう使命が殘ってるからな!」 ギャグ要素強めな情緒不安定ヲタクソ野郎×チート能力の組み合わせによる、俺TUEEEE系異世界ファンタジー! ※小説家になろうにも投稿しています 《幕間》噓つきは○○の始まり、まで改稿済み 2018/3/16 1章完結 2018/6/7 2章完結 2018/6/7 「いや、タイトル詐欺じゃねぇか」と指摘を受けたため改題 第63部分より3章スタート 第2章まで完結済み 2月3日より、小説家になろうにて日刊ランキングに載せていただきました! 現在作者都合と病弱性により更新遅れ気味です。 《番外》は一定のテーマが當てられてます。以下テーマ。 2018バレンタイン→初めてのチョコ作りをするシルティス 2018ホワイトデー→理想の兄妹の図が出來上がるエイシルコンビ 2018エイプリルフール→策士な王女様と騙された勝気少女 ◇◇◇ ご不明な點がございましたらコメントかTwitterのDMにどうぞ 7/9 追記 公開しようと予約した一括投稿のうち最終話のみ、予約ではなく後悔にしてしまっていたので削除しました。 全體的な更新はまだ先になります。
8 156職に恵まれた少年は世界を無雙する
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8 198ファルダーミール -明日の世界-
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